小沢議員
(問)小・中学校教職員の人事権の移譲について
1.県費負担教職員の任命権に係る条例による事務処理特例制度について伺う。
2.「教員人事権移譲に関する検討会議」のメンバー構成について伺う。
3.平成27年1月の地方分権改革に関する閣議決定について伺う。
4.教員の給与負担と人事権は、基本的に都道府県にあるが、人事権のうち任命権とは、どんな権限なのか伺う。
5.定数配置権について伺う。
6.平成30年8月16日「教職員の人事権をめぐる問題」の検討会議第1回小委委員会のメンバー構成について伺う。
7.特色ある教育や郷土を愛する心を育成するには、松江市採用職員でなければできないのか、松江市の意見を伺う。
8.松江市では、既に生活の本拠地を置く教員が大多数を占める中で、更に地元採用の教員が必要なのか、松江市の意見を伺う。
9.11町村議会などから提出されている移譲反対意見に対し、松江市はどのように考えているか伺う。
10.1つの学校の中に県費負担教職員と市費負担教職員が一緒に勤務すると、本人も管理職も互いにやりにくいと思うが、松江市の意見を伺う。
11.松江市が移譲を受けたい人事権の内容について伺う。
12.現在、松江市内の小・中学校に勤務する教職員の総数及び松江市が移譲を受けたい教職員の人数規模について伺う。
13.移譲を受けた教職員のその後の人事交流の方法について、松江市の意見を伺う。
14.「教職員の人事権をめぐる問題」の検討会議小委員会を今後どのように進めるのか伺う。
(答)教育長
1.地方教育行政の組織及び運営に関する法律等によりまして、県費負担教職員の人事権は、学校設置者である市町村ではなく、都道府県が担うこととなっております。
「事務処理特例制度」は、都道府県条例を制定することによりまして、都道府県教育委員会が権限を持つ事務を、市町村教育委員会が行うことを可能にした制度であります。
この場合、市町村が行う事務は、市町村教育委員会が管理し、執行すると定められております。
この制度によりまして、県が持つ人事権を、特例的に、市町村に移譲することが可能であるというふうにされております。
2.平成17年度の検討会議の委員は、次のとおりであります。
松江市、出雲市、益田市、江津市、雲南市の教育長。
東出雲町、斐川町、津和野町、海士町の教育長。
これに、県政策企画局政策企画監及び県教育庁義務教育課長が加わりまして、合計11名の委員でございました。
3.この平成27年1月の閣議決定におきましては、その基本的な考え方におきまして、「地方分権改革の推進は、地域が自らの発想と創意工夫により課題解決を図るための基盤となるもの」とされ、地方公共団体への事務・権限の移譲を推進することとされております。
県費負担教職員の人事権等の都道府県から中核市等への移譲につきましては、1つ、広域での人事調整の仕組みにも配慮した上で、中核市等に権限を移譲する方向で検討を行うこと。
1つ、小規模市町村を含めた関係者の理解を得て、結論が得られたものから順次実施すること。
とされております。
4.まず、人事権について申し上げますと、次の4つの要素で構成されております。1つ、先程委員からお尋ねがありました教職員の任命権。1つ、学級編制基準の決定。1つ、教職員定数の決定。1つ、教職員の給与の負担。以上の4つが人事権を構成する要素であります。
そのうち1つ目の任命権でございますが、任命の権限にとどまらず、任用、免職、休職、復職、懲戒、給与の決定等、身分上の事項一切を含むものとなっております。
5.教職員の定数につきましては、「公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律」いわゆる標準法と呼んでおりますが、この法律で定める学級編制の基準のもとで、都道府県教育委員会が、市町村教育委員会の意見を聞いたうえで、定める権限を持っております。
具体的に申し上げますと、まず学校ごとの児童生徒数にもとづいた学級数を割り出します。その学級数から教職員の基礎定数を算出することになります。さらに、市町村教育委員会の意見を踏まえまして、また一方では県内全体のバランスにも考慮しながら、各学校の実情に応じた加配定数、加配の定数を加え、学校ごとに教職員の人数すなわち定数を決定して参ります。
定数配置権につきましては、例えばこういった権限ということになります。
6.小委員会のメンバーは、次のとおりでございます。
まず、都市部から松江市、出雲市、浜田市、益田市の教育長。町村から飯南町、美郷町、邑南町、津和野町の教育長。
これに、県の教育長と益田教育事務所長を加えました計10名がメンバーとなっております。
7.第1回小委員会の松江市からは、ご質問の点に関しまして、次のような発言がございました。
「特色ある教育として進める、いじめ対策への取組や『学力向上』『生徒指導』『特別支援教育』『小中一貫教育』『ふるさと教育』『キャリア教育』等に特に力を入れており、その中核を担う教員を確実に確保すること。」「また、郷土を愛する心の育成には、地域に根差した教育や教員や児童生徒の地元への帰属意識の醸成には地域の教育資源や実態を熟知している教員が不可欠と考え、地元採用教員が必要であること。」「そのためには、松江市採用教員であることで意識が違ってくると考えている。」
8.松江市からは、この点につきまして、次のような発言がございました。
「単に、生活の本拠地が松江市ということではなく、当該教員が松江市で採用されたという意識を持ってもらいたいと考えている。」
9.松江市からは、この点に関しまして、「重い判断だと考えている。」
という発言がございました。
10.この点につきまして、松江市からは、「やりづらいこともあることは想像できるが、教員同士なので児童生徒の指導を協力してやっていける。」との意見がございました。
11.松江市からは、移譲を受けたい人事権の内容につきまして
「任命権、教職員定数決定権、学級編制権の3点を要望する。」
という発言がございました。
補足いたしますと教職員の人事権、先程申し上げた4つの要素のうち、教職員の給与の負担を除く、他の3つの要素を希望されたということであります。
12.松江市からは、この点につきまして、次のような発言がございました。
「松江市内の教職員は約1200人であり、松江市が移譲を求めている人数は、市内のすべての教職員のうち、管理職や事務職員等を除く、授業を行う教諭等、約1050人のうち、3割程度である300人を、約10年をかけて順次松江市採用に置き換えたい。」
(問)松江市は、市内の教職員が約1050人であるのに、権限移譲を受けたい人数を300人と発言したのか。
(答)教育長
第1回の小委員会の会議の席上では、松江市から、いわゆる授業等を行う教諭等、約1050人のうち、3割程度である300人を、約10年をかけて順次松江市採用に置き換えたいというふうな発言がございました。
(問)松江市は、300人を採用した後、どうされるのか。
(答)教育長
第1回小委員会の席上では、300人を松江市採用で確保された以降、どういうふうに考えているのかといった質問も他の委員から出ました。
これに対しまして、「将来的にさらに増やしていくのか、300人で採用を止めるのかについては、現時点では未定であるが、途中段階で検証することは必要と考えている。」
こういった回答が松江市の方からございました。
(答)教育長
13.小委員会の席上、松江市からは、「市採用職員は採用後5年目になると人事交流を開始し、原則として、1回の勤務を4年程度としての交流を行いたい。」
こういった発言がございました。
14.小委員会では、実務的な議論を丁寧かつ慎重に進めることとしており、その検討が一定程度まとまった段階で、県・市町村すべての教育長からなる全体会議に対して報告を行うこととされております。
全体会議では、小委員会からの経過報告を受け、今後の検討の方向付けを行うこととしております。
現在、この問題につきましては、合意形成を目指してよく話し合うことが、まずは重要であるというふうに考えております。丁寧かつ慎重に議論を進めてまいりたいと考えております。
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