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尾村議員

(問)学力テストの弊害について

1.福井県議会の福井県教育委員会に対する「福井県の教育行政の根本的見直しを求める意見書」について所見を伺う。

 また、この意見書から島根県教育委員会は何を学び、教訓としたのか伺う。

2.意見書は「義務教育課程においては発達の段階に応じて、子どもたちが自ら学ぶ楽しさを知り、人生を生き抜いていくために必要な力を身につけることが目的であることを再認識し、過度の学力偏重は避けること」としているが、このことに対する所見を伺う。

3.意見書は「教員の多忙化を解消し、教育現場に余裕を持たせるため、現場の多くの教員の声に真摯に耳を傾け、本来の教育課程に上乗せして実施する本県独自の学力テスト等の取り組みを学校裁量に任せることや、部活動指導の軽減化をすすめるなどの見直しを図ること」としているが、このことに対する所見を伺う。

4.大阪市は、全国学力テストの結果を教員の人事評価や学校予算に反映させる方針を示しているが、この動きをどう認識しているのか伺う。また、テスト結果を人事評価に反映させることは教職員を競わせることであり、教職員が力を合わせた教育活動を困難にするものと考えるが、所見を伺う。

5.松江市総合計画の「学力向上対策事業」が「全国学力調査における全国平均値以上の調査項目数の割合を100%にすること」を目標値に設定していることについて、所見を伺う。

6.習熟度別授業は慎重に取り扱うべきと考えるが、所見を伺う。また、子どもや保護者の理解・合意なきまま実施してはならないと考えるが、所見を伺う。

7.学校・教員が平均点競争に走らされる事態が横行している教育現場の実態を点検・再検証すべきと考えるが、所見を伺う。

 

(問)教育行政のあるべき姿について

8.自校採点など現場との合意、納得の得られない施策・事業は強制してはならないと考えるが、所見を伺う。

9.教育行政の役割は、少人数学級の推進、就学援助制度の拡充、教員の多忙解消、教室へのエアコン設置など教育環境の改善を図ることと考えるが、所見を伺う。

 

(答)教育長

1.福井県で起きた事件は、誠に痛ましく、あってはならないことだと受け止めております。学校教育は、子ども達の健全な心身を育む安全・安心を基盤として、はじめて成り立つものであります。一人一人の可能性を伸ばし、人生を生き抜いていく力の育成を図るという本来の教育の目的を、改めて認識したところでございます。

 島根県では、島根の子ども達に身につけてもらいたい力を「主体的に課題を見つけ、様々な他者と協働しながら、定まった答のない課題にも粘り強く向かっていく力」としております。今後も、この学力観に基づき、子ども達一人一人の成長を支えていくことを大切にしたいと考えております。

 

2.国におきましては、これまでも、変化の激しいこれからの社会を生きるために、確かな学力、豊かな人間性、健康・体力、この知・徳・体をバランスよく育てることを重視してきました。新学習指導要領でも、子ども達の「生きる力」をいっそう育むことを目指しております。

 島根県でも、平成26年度に策定いたしました第2期しまね教育ビジョン21で、「向かっていく学力」「広がっていく社会力」「高まっていく人間力」を島根の教育目標に掲げ、これらをバランスよく育むことで「生きる力」を養うことを目指しております。

 

3.一人一人の子どもの成長や発達を願って、教育は行われるべきだと考えております。そのためには、教員の負担を軽減し、教員がより子ども達に向き合う時間を大切にしていく必要がございます。

 教員の多忙の、あるいは多忙感の解消には、「学校行事や職員会議等の見直し」「校務分担の適正化」「時間外勤務縮減への工夫」「完全休養日の確保」など、多岐にわたる方法を検討する必要がございます。本県では、現在、部活動の在り方検討会におけるガイドライン策定に向けた協議、あるいは学校業務改善推進委員会を立ち上げまして、県内4校の重点モデル校による実践研究を行うなど、教員が子ども達に向き合う時間が確保されるよう検討を進めているところであります。

 

4.新聞等の報道により、先月2日、大阪市長が、全国学力・学習状況調査の結果を教員の人事評価に反映させる考えを発表されたことを知りましたが、その詳細については把握しておりません。

 

(問)把握していないのが公式な答弁か。

 

(答)教育長

 島根県の教育委員会としての受け止めなり、態度を除きますと、新聞の報道をもとに知っている情報の限りでございます。

 

(問)新聞報道を読んでどうあなたは思ったか。

 

(答)教育長

 大阪市長のお考え等について知る手段といったものは非常に限られておりますので、そのことについては、コメントは差し控えさせていただきたいと思いますが、いわゆる学力調査の結果あるいは学習指導の充実といったことと、それから、島根県の教育委員会で行っている人事評価ということで申しあげるとすれば、県教育委員会としては、そもそも想定していないことでございます。

 

(答)教育長

5.松江市においては、市の総合計画の中で、先ほど議員からご紹介のありましたような、計画の中の目標設定を行っておられます。

 この点について、松江市では次のような認識であると承知しております。

 まず市の総合計画では、未来を担う次世代人材の育成という基本施策の中で、この目標指標を用いておられますが、指標には5つの項目が掲げられており、学力だけに偏らない、バランスのとれた構成としていること。

 次にその中で「子どもが未来を切り拓くための学力向上対策を推進」することは重要な柱の一つであります。これに関する指標として、わかりやすいこと、あるいは新たなコストをかけないことなどを考慮して選定されたものであり、いわば「代替的な指標」であること。

 また、文科省の通知の内容は当然のこととして理解しておられること。

 松江市のお考えは以上のようなものであると理解しております。

 

(問)それで県教委はどう思うか伺う。

 

(答)教育長

 ご質問の目標設定も含めまして、松江市総合計画につきましては、文部科学省通知なども踏まえて、慎重に検討された上で、策定され、実施されているものと思います。

 

(問)教育長として問題ないという認識か伺う。

 

(答)教育長

 文科省の通知にありますとおり、「仮に数値データの上昇のみを目的にしている」と捉えかねられないような行きすぎた取扱いがあれば、これは本来の趣旨・目的を損なうものであるという認識のもとで策定されたものであると考えております。

 

(問)松江市の計画は目標値そのものが成果指標になっているので通知違反ではないか伺う。

 

(答)教育長

 先ほど、代替的な指標という表現をいたしました。子どもが未来を切り拓くための学力向上対策というものを進める上での目標として、最も望ましい指標は、恐らく別のものを考えられたと思います。ただ、その適切な指標が設定できない場合に、次善の策としてデータの収集が可能な、別の指標に置き換えられたということであろうと思いますので、そういった丁寧な説明をしていただければ、というふうに思います。

 

(問)説明不足の指標という認識でよろしいか伺う。

 

(答)教育長

 繰り返しになりますが、松江市総合計画につきましては、文部科学省通知なども踏まえて慎重に検討されたうえで策定されたものと思っております。

 

(問)学力テスト前に松江市教委が全ての小学校の学力テスト担当者を集めて、算数の問題の傾向を分析した会を行ったと聞いた。テスト対策そのものではないか、所見を伺う。

 

(答)教育長

 文部科学省通知にありますように、「仮に数値データの上昇のみを目的として」と捉えかねられないような行きすぎた取扱いであれば、適当ではないというふうに考えます。

 

(問)松江市についてきちんと調査をしていただきたい。また、文科省通知に反していないか問い合わせていただきたいが所見を伺う。

 

(答)教育長

 今日のこの議論がこの場でありましたことを、松江市教育委員会の方にも伝えたいと思います。まずは、松江市教育委員会において適切に判断されるべきことと思います。

 

(答)教育長

6.県内の小中学校で、実施されております習熟度別授業は、児童生徒一人一人に応じたきめ細かな指導を行うことにより、基礎・基本の確実な定着や、個性を生かす特色ある教育の充実を図ることが、本来の狙いでございます。

 習熟度別授業を実施するに当たっては、そうした趣旨・目的について、子ども達や保護者の理解を得ることが望ましいと考えております。

 

7,8,9.まず、全国学力・学習状況調査の調査自体の目的は、子ども達一人一人の学びを支援していくものであり、数値データの上昇のみ、平均正答率のみにとらわれる傾向に陥ってはならないと考えております。学力調査はあくまで手段であって、それ自体が目的となってはいけないと思います。

 学校現場の実態につきましては、平素から教育事務所等の指導主事による学校訪問や、市町村教育委員会との情報共有、校長との意見交換会などを通じて把握しておりますが、今後も一層の実態把握に努めてまいります。

また、今後も、小中学校を所管しております市町村教育委員会と連携しながら、県教育委員会が実施する施策・事業の意義等を丁寧に説明し、学校現場に納得して取り組んでもらえるよう努めてまいります。

 

(問)教育とはいったい何か、伺う。

 

(答)教育長

 子ども達が、自身の人生をより豊かに意義あるものに、そして幸福に育つ、成長することができるよう、支援することであろうと思います。

 


お問い合わせ先

島根県教育委員会

〒690-8502 島根県松江市殿町1番地(県庁分庁舎)
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