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中村議員

(問)教育長所信について

1.子どもたちに着実に新学習指導要領が求める力を身につけさせるため、今後、本県教育をどのように進めていくのか、伺う。

2.「県立高校魅力化ビジョン」について、どのような方向性で策定しようとしているのか伺う。

3.県教育委員会として、今後、発達障がいのある子どもの教育をどのように充実させていくのか、所見を伺う。

 

(答)教育長

1.3点のご質問にお答えいたします。

 まず、新しい学習指導要領が求める力を身につけさせるため、今後、本県の教育をどのように進めるのかとのお尋ねについてであります。

 新しい学習指導要領の大きな特徴は、子どもたちがこれからの変化の激しい時代を生き抜いていけるよう、大きく2つの点が打ち出されたことであると考えております。

 1つ目は、子どもたちに必要となる「生きる力」を、次の3つの柱で整理している点であります。

 実社会で活用したり応用したりすることができる「知識・技能」

 未知の状況にも対応できる「思考力・判断力・表現力など」

 学びを人生や社会に生かそうとする「学びに向かう力・人間性等」

であります。

 このことを、たとえば「生きもの」の学習に置きかえてみますと、まず身近な動植物のつくりと働き、生命の連続性などを理解すること、次に観察や実験を通して、生物の多様性や規則性に気づくこと、そして生命を尊重し、自然環境の保全に寄与する態度を養うこと、といった教育が考えられます。

 新学習指導要領の特徴の2つ目は、「社会に開かれた教育課程」を掲げ、よりよい学校教育を通じてよりよい社会を創るという目標を、学校と社会が共有しながら、連携・協働して実現しようとしている点であります。

 たとえば、地域の様々な資源を活用したり、社会教育との連携を図りながら、地域社会や働くことへの理解を深め、よりよい社会を創る力と、自分の夢の実現に挑戦していく力を育成する、といった教育が考えられます。

 こうした学習指導要領の方向性は、島根県が力を入れて進めております、学校と地域が連携・協働して地域の子どもたちを育もうとする「教育の魅力化」と非常に重なる部分が多く、高い親和性をもったものだと思います。

 島根には、豊かな自然や多様な生産活動の体験の場、豊富な知見をもつ先達の存在など、恵まれた教育環境が子どもたちの身近なところにあります。それらを最大限に活用しながら、学校関係者と地域の人々が一体となって、子どもたちを育むこと、そして学校の魅力を一層高めていくことにより、島根らしい教育を推進してまいります。

 

2.次に、「県立高校魅力化ビジョン」の方向性についてお答えいたします。

 現在、策定中のビジョンにおきましては、社会の変化や生徒のニーズの多様化、地域の拠点としての高校の存在意義の高まり、新しい学習指導要領や国の教育改革の動向などを踏まえまして、県立高校の教育の質的な向上を目指すものにしたいと考えております。

 また、策定にあたっては、「今後の県立高校の在り方検討委員会」からいただいた、次の2つの観点を尊重したいと考えております。

 一つには、これまで、離島・中山間地域の高校が取り組んできた「教育の魅力化」の教育効果を全県に広げ、都市部も含めたすべての高校が地域と連携・協働しながら、島根らしい教育を進めること。

 一つには、生徒の個性や適性に応じた多様な学びの体制を整え、生徒の主体的な学習を促す高校づくりを推進することであります。

 このような教育の質的な向上を実現していくためには、どのような教育環境が望ましいか、を盛り込んだ上で、概ね向こう10年を見越したビジョンを、今年度中に策定したいと考えております。

 

3.次に発達障がいのある子どもの教育の充実についてであります。

 近年、県内においても、発達障がいのある子どもが急増しており、幼稚園、小中学校、高校等の担任教職員には、学級をまとめつつ、こうした子ども一人一人に必要な指導・支援を行う力量が求められています。

 発達障がいのある子どもが適切な支援を受け、持てる力を最大限に発揮することができるよう、県教育委員会では、研修などにより教員の力量を高めることに加え、子どもの成長段階に応じて、教育現場を支援する新たな体制づくりを進めているところであります。

 具体に申し上げますと、就学前の幼児等につきましては、できるだけ早期に、発達障がいに気づき、適切な対応と支援を開始することが重要であります。

 今年度、新たに設置した幼児教育センターでは、幼稚園教諭や保育士等を対象とした園内研修などによる支援を始めたところであります。

 小中学校への支援につきましては、支援専任教員を各教育事務所に配置しており、昨年度は、現場から1千件を超える相談があり、ニーズに応じた迅速な対応に努めているところであります。

 高等学校については、今年度から通級による指導が、国において制度化されたことを受け、邇摩高校と松江農林高校で、この通級指導を開始したところであります。

 この2校では、発達障がいのある生徒を対象にコミュニケーション能力の育成などの特別な指導を行っております。

 また、これら以外の高等学校におきましても、適切な支援が実施できますよう、地域ごとに高等学校間のネットワークづくりを進めていく考えでおります。

 さらに、特別支援教育のセンター的な機能を担う特別支援学校に、教員を増員し、専門的な相談対応や、各学校等の支援を強化しております。

 今後も就学前から高等学校までの学びの場において、発達障がいのある子どもが適切な支援を受けられるように、相談・支援体制を整備してまいります。

 


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