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藤原議員

(問)子どもたちの命を守る熱中症対策について

1.7月から8月までに学校から熱中症で搬送された児童生徒数とその状況について所見を伺う。また、文部科学省の通知以降、県教育委員会としてとられた対応を伺う。

2.野球部の練習時間の短縮や、屋内練習への切り替え状況について伺う。

3.県内の学校での熱中症対策に係る測定器等の活用状況を伺う。

4.部活動の顧問・スポーツの指導者には、熱中症に関する研修会も必要と思うが、現状と今後の対応について伺う。

5.適切な部活動の在り方について県の見解を伺う。

6.猛暑中の部活動の実施に関するガイドラインについて、どういった方向で検討しているのか、また、いつ頃策定予定なのか伺う。

7.各公立小中学校へのエアコン設置は各市町村の取組みが基本だが、現時点で県として何らかの支援ができないのか伺う。

 

(答)教育長

1.まず、熱中症で搬送された児童生徒の状況と7月18日の文部科学省からの通知以降の対応についてであります。

 県内の公立学校からの報告によりますと、おたずねのありました7月と8月の2か月間に学校の管理下において熱中症を発症し、病院に搬送された児童生徒の人数は、教員や保護者による搬送も含めますと、小学生が14人、中学生が71人、高校生が29人、計114人でありました。

 このうち、中学生、高校生が部活動時に発症したものが全体の約6割ありました。各学校では、部活動の時間を短縮したり、こまめな水分補給を行うなど対策を講じられていますが、こうした数値からも、部活動については特に配慮する必要があるものと考えております。

 7月18日の文部科学省からの通知につきましては、直ちに市町村教育委員会と各県立学校へ周知し、注意喚起を行ったほか、それ以降も6回にわたり注意喚起の通知を行っております。

 また、記録的な暑さとなった今年度は、各学校での熱中症対策の取組や工夫についても調査いたしました。今後とりまとめまして、学校現場での次年度以降の暑さ対策の参考としてもらえるよう情報提供していく予定であります。

 さらに、熱中症が発生した場合やその予防において、適切かつ迅速な対応ができるよう、県教育委員会で策定しております「学校危機管理の手引」に、熱中症対策について新たな項目を設けたうえで、内容の充実を図ることとしております。

 

2.次に、松江市内の県立高校野球部の7月、8月の練習状況についてであります。

 松江市内の全ての県立高校に確認いたしましたところ、予定していた1日練習を午前中で切り上げた学校、練習を朝夕の涼しい時間帯に変更した学校、などの事例がありましたが、屋内練習へ変更をした事例はございませんでした。

 また、具体的な熱中症予防として、普段よりも休憩時間を長くとること、こまめな水分補給を行うこと、スプリンクラーでグラウンドに散水できるようにしたこと、などの対策がとられております。

 

3.次に、熱中症対策に係る測定器等の活用状況についてであります。

 県教育委員会が公立の全校種を対象に毎年度行っております調査によりますと、昨年度時点で、暑さ指数計はほぼ半数の学校が、温湿度計はほとんどの学校が設置しており、いずれかの測定器は全ての学校が保有している状況です。

 今年度に入りまして、この夏の猛暑を受け、暑さ指数計を各学校に設置した市町村教育委員会もありますので、暑さ指数計の設置率は高まりつつあります。

 これらの測定器は、体育館、教室などに設置したり、携帯型機器を校外活動に教員が持ち歩くなどして活用しているところです。

 また、測定値が危険な範囲を示した場合には、例えば、体育の授業を早めに切り上げること、1学期の終業式、2学期の始業式を教室で放送を使って行うこと、こまめに水分補給をすること、校庭や校外での活動時には帽子をかぶること、部活動では、普段よりも休憩時間を長くとり、早く終わること、などの対応がなされております。

 

4.次に、部活動顧問やスポーツ指導者に対する熱中症に関する研修会の現状と今後の対応についてであります。

 県教育委員会は、毎年、各市町村教育委員会と県立学校に対しまして、熱中症事故の防止について注意喚起の通知を行っております。

 今年度は、記録的な暑さとなったため、環境省が作成している「熱中症マニュアル」や「熱中症対策のためのDVD」などの資料を配布して、熱中症に対して万全の対策を講ずるよう注意喚起を図ってきたところであります。

 部活動顧問やスポーツ指導教員も含めまして、学校全体に向けて、注意喚起と熱中症防止策の徹底を行いました。

 各学校では、これらの資料や情報を参考に、例えば部活動では、活動時間を短縮すること、休憩時間を長くとること、こまめに給水時間を設けることなど、様々な工夫をしながら熱中症対策を講じてきたところでございます。

 県教育委員会では、こういった学校での工夫や取組をとりまとめまして、今後、各学校で熱中症対策を講じる際の参考となるよう、県内全ての公立学校に紹介することとしております。

 議員お尋ねの部活動顧問やスポーツ指導者等を対象とした研修は、年間計画の下期に予定しております。

 この研修会では、今年の夏の県内の救急搬送の状況や、暑さ指数計の温度基準に応じた注意事項などを具体的に説明したり、熱中症対策のためのDVDを用いたりして、今後の熱中症予防につなげていくこととしております。

 また、この研修会の内容については、参加した教員から速やかに全ての部活動顧問に伝達され、学校全体で熱中症予防の取組が進むよう努めて参りたいと考えております。

 

5.次に、家庭での学習時間の確保と適切な部活動の在り方についてであります。

 部活動は、中学校・高等学校の学習指導要領において、「生徒の自主的、自発的な参加により行われる活動であり、スポーツや文化及び科学等に親しませ、学習意欲の向上や責任感、連帯感の涵養等に資するもの」と示されております。

 したがいまして、充実した学校生活を送るためには、学業と部活動の両立を図ることが大切であり、学業、運動、食事、休養及び睡眠のバランスのとれた生活を送ることが重要となっております。

 このため、猛暑の時期の部活動に際しては、普段よりも体力を消耗しやすいなどの理由から、先程申し上げましたとおり、活動時間を短縮する、休憩時間を長くとる、こまめに給水時間を設けるなどの対策を講じて、身体への負担の軽減を図ることが必要であります。

 またこれにあわせまして、生活面では食事の栄養バランスに心掛けたり、十分な睡眠をとるなど、日常生活全体を通じて、部活動の疲労を最小限に抑え、学習時間の確保を図るなど、適切な対応が必要であると考えております。

 

6.次に、猛暑の中で部活動を実施する際のガイドラインの検討の方向性と、策定時期についてであります。

 本県におきましては、これまで、いわゆる猛暑の中での部活動の実施に関する明確なガイドラインは作成しておりませんでした。

 部活動に限らず、熱中症を防止することは、学校生活全般の危機管理として必要であると認識して、適切な対応が求められるものであります。

 このため、先程申し上げましたとおり、学校ぐるみで熱中症対策が図られるよう、様々な注意喚起の通知や啓発資料の提供を行って参りました。

 県教育委員会といたしましては、これまで資料配布や文書通知を行ってきました個別の対策を体系的にまとめ、先程申し上げました「学校危機管理の手引」の中に熱中症対策に関する項目を新たに設けた上で、内容の充実を図る改正を行いたいと考えており、これに併せて部活動のガイドラインも今年度内に策定する予定でおります。

 県教育委員会が策定いたします「部活動ガイドライン」は、市町村教育委員会が「ガイドライン」を策定する際に参考となります。また、「学校危機管理の手引」は、各学校が「危機管理マニュアル」を作成する際に、参考として活用されることとなりますので、熱中症防止に関する対策について、適切な対応を促して参りたいと考えております。

 

(答)知事

7.私への質問は、公立小中学校へのエアコン設置に対する県の支援の考えについてでございます。

 公立小中学校の施設や設備の整備は、市町村が学校設置者としての責任と負担で対応することとなっております。

 公立小中学校においてエアコンを導入する場合は、国が、経費の3分の1を負担する交付金のほか、元利償還金などの一部に地方交付税が手当される地方債が活用できる制度が設けられております。

 しかしながら、国の交付金につきましては、十分な予算が確保されていないことなどにより、市町村がこの支援制度を十分に活用出来ていない状況があるようであります。

 県では、これまでにも、全国知事会とともに、様々な機会を通じまして、必要となる交付金総額の確保でありますとか、交付要件の緩和など、市町村が活用しやすい仕組みとなるよう、国に対して働きかけてきております。

 今後、国の次年度の予算や今年度の補正予算の動向なども注視しながら、市町村における小中学校のエアコン導入が進むよう、国に対して、更に必要な働きかけを行っていく考えであります。

 ちなみに都道府県独自の支援がどういうことになっているかということを調べますと、東京都が6分の1の補助制度を設けておるようでございますが、平成22年から平成30年で終了の予定だということでございます。他の道府県につきましては、補助制度はございません。

 これまで全国知事会、あるいは中国地方知事会等々、国に対しまして要請をしているところでございます。以上でございます。

 


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