• 背景色 
  • 文字サイズ 

岩田議員

(問)教育の充実について

1.高校魅力化を県内に広げ、また小学校・中学校への展開も行うとしているが、その狙いと具体的な取り組みを伺う。

2.県外生の受け入れについて、どのような教育効果があるのか、また今後の取り組みについてその方向性を伺う。

3.義務教育課程での生徒の実力を伸ばすためにどんなことが必要だと感じているのか伺う。

4.県として小中学校の教育現場の実態を正しくつかむ努力をすべきと考えるが、所見を伺う。

 

(答)教育長

1.4点のご質問にお答えをいたします。まず、「教育の魅力化」を進める考え方についてであります。

 「教育の魅力化」とは、次代を担う若い世代の人たちに、島根が魅力ある地域であることを実感してもらい、移住・定住の地として選択してもらうために、島根の教育をより一層魅力あるものに高めていこうとするものであります。

 これまで、中山間地域・離島の8つの高校において、魅力化・活性化事業に取り組んでまいりましたが、その成果を踏まえ、来年度からは、まず中山間地域・離島の意欲ある市町村とともに、高校魅力化に取り組む対象高校を順次拡大していきたいと考えております。

 また、高校魅力化に取り組む市町村が、小中学校から高校・特別支援学校までを貫いて、一体的・系統的に「教育の魅力化」を進めようとする際には、地方創生や中山間地域の活性化を支援する観点から、新たに、県による一定の財政支援を行うこととしたいと考えております。

 そして、「教育の魅力化」を進める際には、大きく次の3点が大切になると考えております。

 1点目は、島根の子どもたちにどのような人間に育ってほしいのかという教育の目標・理念についてよく議論し、それを地域社会全体で共有していくこと。

 2点目は、幼稚園・保育所、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校を貫いて、教育活動の連携を図り、児童生徒一人ひとりの成長・発達に応じて、学校間のバトンタッチを確実に行っていくこと。

 3点目は、こうした子どもの育ちを、学校だけで抱え込んでしまうのではなく、学校・家庭・地域の連携の中で実現することであります。

 また、具体的な取組内容については、今後、学校と市町村、地域の方々などで構成する「教育魅力化協議会」仮称でありますが、そのような場でよく検討された上で、企画立案・実施されていくものと考えておりますが、これまでの8つの高校の経験に照らしますと、それは、あらかじめ処方箋が定まっているようなものではなく、試行錯誤を繰り返しながら年月をかけて練り上げていくようなプロセスをたどっていくのではないかと考えております。

 従いまして、現時点で市町村からお聞きしております内容には、流動的な要素もありますが、代表的なものを例示すれば、次のとおりであります。

 1つ目は、「ふるさと教育」と「キャリア教育」を一体的にとらえ、学校の種別、校種を貫いて系統性に留意した教育活動を展開すること。

 2つ目は、例えば、障がいがあったり困難を抱えていたりすることも含めまして、多様な個性の広がりのある子ども一人ひとりを細やかに伸ばしていくための、教育支援員などの充実。

 3つ目は、公設塾や公民館等での放課後学習などを通じた家庭学習の支援。

 そして、4つ目は、校種を超えた教育魅力化を総合的に調整するための「統括プロデューサー」の配置などであります。

 こうした取組は、今ある島根らしい教育の魅力をより一層充実するような方向性のものであり、若い世代に対する魅力となるのではないかと期待しております。

 

2.県外生受入れの教育効果と今後の方向性についてお答えをいたします。

 「しまね留学」の教育効果については、魅力化事業に取り組んでいる8つの高校から、次のように聞いております。

 まず県内生にとっては、県外生と触れ合うことで、それまでの狭い人間関係の中では経験できなかった多様な価値観との出会いや、切磋琢磨を通しての視野の広がり、交流の拡大や課題解決型学習などを通じた、コミュニケーション力の向上、地元島根の良さの再発見などの教育効果が挙げられております。

 一方、県外生にとっては、地域の人々に支えられながら、一人ひとりを大切にする教育を受け、島根の歴史や文化・自然環境の中でのびのびと成長し、自立心を高めることができること、また、卒業後に島根の応援団として、その良さを全国に発信したり、将来的な定住・移住につながることなども期待できます。

 このように、県外生の受入れによりまして県内生・県外生の双方に生まれる様々な教育効果は、島根らしい教育の魅力を、より一層充実させるための大切な要素であると考えております。従いまして、今後の「教育の魅力化」に向けた検討の中で、「しまね留学」の県外枠の在り方についても、よく議論してもらいたいと考えております。

 

3.次に、「教育の魅力化」を進める上での「学力育成」の考え方について、お答えをいたします。

 「教育の魅力化」を通じて、島根の子どもたちに身に付けてもらいたい力とは、これからの変化の激しい社会を生き抜いていく力、すなわち「主体的に課題を見つけ、様々な他者と協働しながら、答えのない課題に粘り強く向かっていく力」であると考えております。具体的には、論理的思考力、コミュニケーション力や感性・情緒といった「生きる力」を構成する重要な力を、島根の子どもたちに身に付けてもらいたいと考えております。

 このような「学力観」に基づき、子どもたちの力を伸ばしていくため、市町村教育委員会や学校現場と連携・協働して、「授業の改善」と「家庭学習の充実」に重点を置いて取り組んできております。その際、これを教員一人ひとりの個人的な力量の問題としてとらえるのではなく、「チーム学校」としての組織的な取組として進めていくことが大切であり、こうした認識が学校現場で共有されるよう、引き続き働きかけを行ってまいります。

 なお、現在推進しております「算数の授業改善プロジェクト」や、次期学習指導要領の柱となります「主体的・対話的で深い学び」いわゆるアクティブラーニングでありますが、そう言ったものも、この「教育の魅力化」を進める上での「学力観」と同じ方向性を持つものであります。学校現場には、こうした大きな方向性を正しく理解してもらえるよう、様々な機会を通じて、丁寧な説明を積み重ねていきたいと考えております。

 

4.小中学校における長時間勤務の実態把握についてお答えをいたします。

 教員の長時間勤務の問題に対処していくためには、まず現場の実態をできるだけ正確に把握することが必要であります。

 公立小中学校では、服務監督者である市町村教育委員会の助言・指導を受け、実態把握のための調査を一律のやり方で実施している例もあれば、各校長に任されている例もあり、把握の方法には大きなバラツキがあります。

 このため、県教育委員会としては、服務監督者であります市町村教育委員会の判断により、精度の高い実態把握がなされるよう、県立学校の調査方法を、様式も含めて具体的に情報提供する予定であります。

 また、来年度初めに行われる市町村教育長会議や教育施策説明会等において、市町村教育委員会だけでなく各学校の管理職に対しても、直接働きかけていきたいと考えております。以上でございます。

 


お問い合わせ先

島根県教育委員会

〒690-8502 島根県松江市殿町1番地(県庁分庁舎)
島根県教育庁総務課
TEL 0852-22-5403
FAX 0852-22-5400
kyousou@pref.shimane.lg.jp