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田中明美議員

(問)児童・生徒のインターネット利用環境について

1.「SNSを悪用した犯罪」、また「若者の自死願望」について、所感を伺う。

2.インターネット利用に対するリスク教育について、県としてどのような考え方で進めているのか、現在の対応状況も含めて伺う。

3.小・中・高校それぞれのインターネット利用に対する具体的なアンケートを行い、早急に実態を把握の上、対策をとる必要があると考えるが、所見を伺う。

4.インターネット利用に対するリスク教育は、専門家の指導を得ながら、県が率先して授業に組み込み、子どもたち自らが考えるワークショップなどを行う必要があると考えるが、所見を伺う。

 

(答)教育長

1.インターネット利用に関する4点のご質問にお答えをいたします。

 まず、座間市の事件についての私の所感であります。

 インターネット上に「死にたい」と言うような書き込みをする若者は、現実の人間関係ではその思いを打ち明けられず、「ひどい孤立感」に陥り、自分の殻に閉じこもっている状態にあると言われています。

 その一方で、誰かにその辛さに寄り添って欲しいという思いもあって、インターネット上への書き込みを行っているという見方もあります。

 現実の人間関係の中で、悩みなど吐き出すことのできない状況は、その本人にとって想像を超える辛さ、厳しさがあるのではないかと私は感じております。

 また、生きづらさを感じながら、学校や自宅に居場所がなく、インターネットの世界に自分の居場所を見つけようとして、実際に会ったこともない顔の見えない人から、優しくされ、悩みを聞いてもらったと錯覚して、そのままネットの世界に強く依存してしまう傾向があるのではないかと強い懸念を持つものであります。

 県教育委員会では、これまでインターネット上で嫌な目にあった場合も含め、相談のしやすい環境づくりについて、学校、家庭、地域の連携を働きかけるとともに、児童生徒に対しては、「困ったり悩んだりしたら身近な大人に相談してみよう」というメッセージを繰り返し、繰り返し伝えてまいりました。

 しかしながら、今回の事件に接し、自分の思いを気軽に周囲の人に伝えることのできるチャンネルを一つだけではなく、できるだけ数多く用意する必要性を改めて感じております。

 自分を取り巻く人々との絆や居場所を実感できる温かい学校・温かい学級づくりを一層進めていく必要があると思っております。

 

2.次に、インターネット利用に対するリスク教育についてお答えをいたします。

 情報教育は、情報活用能力の育成を目的とし、具体的には、「情報活用の実践力」、「情報の科学的な理解」、「情報社会に参画する態度」これらをバランスよく育成することが重視されております。

 この情報活用能力は「学習の基盤となる資質・能力」であり、確実に身に付けさせる必要があることから、国語、社会、総合的な学習の時間などの各教科等の時間を横断的に使って取り組まれております。

 ご指摘のあったリスク教育の観点を含む情報モラルについても、情報教育の重要な部分を占めており、インターネット上での誹謗中傷やいじめ、犯罪、違法・有害情報の問題などについても、情報教育の中できちんと取り上げることとしております。

 また、県教育委員会では、IT企業と連携しながら情報モラルの副教材を島根県独自で校種別に作成し、県立学校及び各市町村教育委員会に配付するとともに、その活用を促しております。

 この副教材の内容は、子どもたちの発達段階に応じて、インターネットの利用に際して、困ったら近くの大人に相談することや、SNSの利用により、誘い出しや出会いの被害に合わないことなどを具体的に取り上げております。

 リスク教育の観点から、このような方向性をより一層重視していきたいと考えております。

 

3.次に、児童生徒のインターネット利用の実態把握についてお答えいたします。

 議員から、インターネット利用に対するアンケート調査の内容として、例えば、ネットに接続する機器の種類や利用する時間帯、どのようなサイトにアクセスしているのかなど、詳細な利用の実態を把握する必要があるのではないか、というご指摘をいただきました。

 県教育委員会では、現在のところ、全国学力学習状況調査や島根県学力調査のほか、内閣府の「青少年のインターネット利用環境の実態調査報告書」、これは、島根県を含む全国の児童生徒及びその保護者それぞれ5千人ずつを対象とした調査でありますが、これらも参考にしながら、県内の児童生徒の状況把握に努めております。

 また、各学校ではそれぞれに工夫しながら、インターネット利用についての実態把握の努力を続けてきております。

 例えば、小学校ではスマートフォンの所持、その利用時間、トラブルの有無、そして家庭内でのルールについて調査を行っています。中学校でも同様に、健康生活リズムの観点も含めながら調査を実施しております。

 こうした従来のやり方に加えて、全ての校種を貫いて全県的に実態把握を行うための統一的なアンケート調査について、次のような課題もあるのではないかと考えております。

 より具体的な利用実態の詳細を正確につかもうとすれば、アンケート調査票を配布して本人に記入を求めるような、通常の調査のやり方で本当に実効性があるのかどうか。どんな時間帯にどのようなサイトにアクセスしているのかといったデリケートな質問については、おそらく親や学校に知られたくないという児童生徒の反応が想定される中で、調査方法をどう工夫すべきか。こうした課題があるものと思っております。

 したがいまして、当面は、デリケートな調査内容も把握できるようなモデル的な学校の取組について情報収集を行い、それを分析した上で、学校現場へその方法を還元するようなやり方を通じて、実態把握の精度を上げていってはどうかと思っております。

 

4.最後に、リスク教育を県が率先して進めることについてお答えします。

 リスク教育の観点を含む情報モラルについては、情報活用能力の育成の中でしっかりと指導する必要があると考えており、このため、インターネット利用に関する副教材を島根県独自に作成・配布したり、インターネット活用に関するDVDを作成したりして、児童生徒が自分自身に直接関わる問題であるという自覚を持って考えるようになるための授業の実践を推奨してきているところであります。

 議員からご提案がありましたように、専門家の指導を得ながら、ワークショップ等の参加型の学習を拡大していくなど、今後とも各学校の実態に応じた取組がさらに進展するよう県として責任をもって進めていきたいと考えております。以上であります。

 

(再質問)子どもたち自身が理解し、子どもたち自身が自らSNS等の利用に制限をかけていくことが必要であり、しっかりとワークショップで、子どもたちが考えるリスク教育を進めていただきたいと思うが、如何か。

 

(答)教育長

 議員から改めてご指摘いただきましたように、児童生徒自身がどのようにすればリスクを避けることができるのか、それを深く自覚して考えるようにする、そのような教育活動が必要であると考えております。

 お仕着せの調査票を一斉に配って、それを児童生徒に記入してもらうということだけでは済まない深い問題があると考えております。

 議員のご指摘を踏まえまして検討させていただきます。以上であります。

 


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