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角議員

(問)インクルーシブ教育について

1.身体的な障がいがある子どもが通常学級で学ぶためには、エレベーターなどの学校の施設設備が必要であるが、整備が進んでいない場合はどのように対応しているのか伺う。

2.2年前には、通常学級に100名、特別支援学級に10名のサポートティーチャーが配置され、市町村で独自に支援員が配置され、今後の増員は総合的に検討していくとのことだったが、さらなる配置となっているのか伺う。

3.特別支援教育コーディネーターについて、障がいがある子が増える中で専任化の声があるが、対応について伺う。

4.発達障害がある子どものノートとなるタブレットなどの使用について、学校側の理解は進んでいるのか伺う。

5.学校における作業療法士や理学療法士、言語聴覚士など専門職による指導状況について伺う。

6.障がいがある子どもへの個別の教育支援計画や指導計画が中学校と高校との間でうまく引き継がれていないとの声があるが、対応について伺う。

 

(答)教育長

1.特別支援教育に関します6点のご質問にお答えをいたします。

 まず、身体的な障がいのある児童生徒への対応についてであります。

 施設設備面の対応について、県立学校においては、入学希望者の情報を踏まえ随時整備を行っております。

 市町村立学校においては、新築や改築に合わせて整備する場合もありますが、基本的には県と同様に入学希望者の状況に応じて随時整備していると聞いております。

 その上で、各学校の施設設備の整備状況と、対象となる個々の児童生徒の障がいの状況を照らし合わせ、本人・保護者の意向を尊重しながら、合理的配慮として、施設設備に替わる運用上の支援を検討し対応しております。

 具体的な例としては、教室移動の負担が少なくなるように、対象児童生徒のクラスルームを一階に配置をしたり、洋式トイレに改修できない場合には、ポータブルの洋式トイレを備品として整備したり、また、エレベーターを設置できない場合には、その代替手段として階段昇降機や階段昇降車を備品として整備するなどして対応しております。

 

2.次に、にこにこサポート事業についてお答えをいたします。

 にこにこサポート事業による非常勤講師の配置については、これまで次のとおり段階的に拡大をしてきたところであります。

 まず、通常学級に対しては、平成17年度から50人の配置でスタートし、平成18年度にこれを70人に増員、平成24年度には、これを100人に増員いたしました。

 次に、多人数の特別支援学級に対しては、平成26年度から10人の配置でスタートし、平成29年度には、さらに10人を増員し、計20人を配置しております。

 

3.次に、特別支援教育コーディネーターの専任化等についてお答えをいたします。

 特別支援教育コーディネーターについては、その由来をたどりますと、平成19年の学校教育法等の改正により、「特殊教育」から「特別支援教育」へ転換されたときに、文部科学省が、特別支援教育の理念を広めるための総合窓口として、全ての学校種において指名することを提唱したものであります。

 本来、特別支援教育コーディネーターの業務は、学校内外の関係者との連絡調整や、保護者の相談窓口でありますが、特別な支援を必要とする児童生徒の増加や障がいの多様化に伴い、特別支援教育に関する専門性に期待するところもありまして、個別具体的な支援・指導に関する助言をひんぱんに求められるなど、負担感が増していると認識しております。

 そのため学校現場からは、コーディネーターの専任化や授業を代替する教員の配置を要望する声もあります。

 しかしながら、そもそもこの特別支援教育コーディネーターの本来の役割に立ち返りますと、特定の教員のみが特別支援教育に従事するという方向性は望ましいものとは言えず、むしろ校長のリーダーシップのもと、校内での全ての教員による適切な役割分担やコーディネーターの複数配置などの工夫も含めて、学校全体での推進体制を確立していくことが、あるべき姿だと考えております。

 この点について、10年あまりの経過のなかで、学校現場の一部に誤解が生じているのではないかと思われます。

 このため、校長会や市町村教育委員会への施策説明会などを通じまして、特別支援教育コーディネーターの原点を改めて確認するとともに、学校全体での推進体制の構築にむけて働きかけてまいりたいと考えております。

 

4.次に、発達障がいのある児童生徒のタブレット等の使用に対する学校の理解についてお答えをいたします。

 議員からご指摘がありましたとおり発達障がいのある児童生徒の中には、タブレット等を活用することで、学習の困難さが軽減され、学びやすくなる場合があります。

 現在は、通級指導教室やにこにこサポートティーチャーによる個別指導の場において活用をはじめているところであります。

具体的には、字を書くことが困難な児童が、タブレットを漢字練習で活用することで、書き順を覚える、というような例でありますとか、字を読むことが困難な児童がパソコンに取り込んだデジタル教材の音声読み上げ機能を使って学習する、といったような活用方法があります。

 一方、通常の学級での活用には、現時点で次のような課題があります。

 まず教員側が集団の中での有効な指導方法を理解すること。また、周囲の児童生徒が発達障がいのある児童生徒にとって有効な学び方であることをよく理解すること。そして、本人も集団の中での活用方法を理解すること。

 これらについて、通常の学級で、現状では試行錯誤を行っている段階であります。

 このため、先ずは、通級指導教室などの個別指導の成果を広めるとともに、通常の学級におけるタブレット等の活用方法については、先進的な実践事例をふまえ、研究とその成果の普及を進めていきたいと考えております。

 

5.次に、学校における作業療法士、理学療法士、言語聴覚士の指導状況についてお答えをいたします。

 障がいのある子どもの、障がいの状態や発達の段階は多様であります。的確な実態把握に基づく指導が重要でありまして、時には、作業療法士等の外部の専門職の指導・助言を得ることが有効な場合があります。

 小学校等での専門職の活用については、次のような例がございます。

 直接的な活用の例としては、市町村教育委員会が作業療法士を相談員として学校に派遣し、手、指の動きに困難さがある児童への配慮事項について教員に助言したり、研修会の講師を務めたりしております。

 また、間接的な活用の例といたしましては、外部の専門職から指導を受けた特別支援学校の教員が、センター的機能の役割として小中学校への助言を行っております。

 具体例としては、肢体不自由特別支援学級で、自力での移動が困難な児童に対して、手段を工夫し持っている力を活用して移動する方法について、特別支援学校の教員が助言する、といった例がございます。

 

6.最後に、個別の教育支援計画及び個別の指導計画の中学校と高等学校間の引き継ぎについてお答えをいたします。

 学校間で個別の教育支援計画や個別の指導計画を引き継ぐことは、それぞれの学びの場での効果的な指導を継続していく上で重要であります。

 ただし、これらの計画は個人情報を含んでおり、学校間で引き継ぐ場合には、本人、保護者の了解を得て行う必要があります。

 また、これらの計画を引き継ぐだけでなく、高校が中高連絡会や学校訪問等の場において聴き取りを行う場合もあります。

 なお、中学校高校間の引継ぎについては、ご指摘がありましたように、それぞれの学校で認識に温度差があり、必ずしも十分ではない面があると私もみております。

 現在、引継ぎのあり方について、「高等学校特別支援教育ネットワーク構築事業」、この事業の中で、各種計画の様式や引継方法について検討を進めておりまして、中学校側にも協力を依頼しております。

 今後この事業の成果を踏まえ、中学校から高校への引継ぎを円滑に進めてもらいたい、このように考えております。以上でございます。

 


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