しかし、事前調査の不徹底により、不適切な解体等工事が行われる事案が全国的に報告されています。
石綿の存在が見落とされ、適切な飛散防止対策がとられることなく解体等工事が行われると、周辺住民や工事関係者への健康被害が懸念されます。
解体等工事を行う際は、次の点に留意して適正に事前調査を行うほか、大気汚染防止法をはじめとした関係法令の内容をあらためて確認していただきますようお願いします。
(1)事前調査とは
(3)事前調査を実施する者
(4)事前調査の実施方法
(6)事前調査結果の県への報告
(7)事前調査結果の掲示
(8)事前調査結果の記録
(9)工事関係者間の情報共有
(10)石綿含有建材が使用されている建築物等の解体等工事を行う際の注意点
(12)参考資料
全ての解体等工事において石綿含有建材の有無に係る事前調査及び説明が必要です。
発注者は、受注者に対し、設計図書や過去の改修の記録、資産除去債務の計上のための石綿使用有無の調査結果などの過去に実施した石綿に関する調査の結果を適切に提供してください。
事前調査においては、発注者が有する設計図書や過去の改修の記録、石綿に係る調査の記録等が、石綿含有建材の見落としを防ぐ上で重要です。
また、解体等工事の発注者は、「調査に要する費用を適正に負担することその他当該調査に関し必要な措置を講ずることにより、当該調査に協力しなければならない」とされています(大気汚染防止法第18条の15第2項)。
建築物の事前調査は、必要な知識を有する者(以下「資格者等」という。)に実施させてください。
大気汚染防止法において事前調査の方法が規定されています。
事前調査の結果は、作業開始前(届出対象特定工事の場合は工事開始の14日前まで)に書面で元請業者等から発注者に説明する必要があります。
<説明事項>
(1)石綿使用の有無に関わらず必ず説明する事項
(新法第18条の15第1項第1号及び第4号、新規則第16条の7第1号及び第2号
(2)特定工事に該当する場合の説明事項
(新法第18条の15第1項第2号及び第3号、新規則第16条の7第3号及び第4号)
(★は届出対象特定工事で該当する場合のみ)
※説明の書面の写しは、工事終了後3年間保存してください。
一定規模以上の工事を行う場合は、石綿の使用の有無に関わらず、事前調査結果を元請業者又は自主施工者が県知事に報告しなければなりません。
※事前調査結果報告に関する詳細はこちらをご覧ください。
<規模要件>
(1)建築物の解体:対象の床面積の合計が80m2以上
(2)建築物の改造・補修、工作物の解体・改造・補修:請負金額の合計が100万円以上
※工作物は環境大臣が定めるもの(令和2年環境省告示第77号)、金額には事前調査の費用は含まず、消費税を含みます。
<報告事項>
(1)調査対象の建築物等の概要
(2)解体等工事の期間
(3)建築材料の種類及び特定建築材料に該当するか否か(該当しないと判断した場合はその根拠)
(4)調査者等の氏名及び調査者等であることを明らかにする事項等
<報告の方法>
新たに整備する電子システム石綿障害予防規則の報告と共通のシステム
事前調査結果は、解体等工事の現場において公衆の見やすいように掲示しなければなりません。
<掲示事項>
(1)事前調査の結果(特定工事に該当するか否か及びその根拠
(2)解体等工事の元請業者等の氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては代表者の氏名
(3)事前調査を終了した年月日
(4)事前調査の方法(書面調査・目視調査・分析による調査及び調査者等に調査を行わせたこと)
(5)解体等工事が特定工事に該当する場合は特定建築材料の種類
<掲示板の設置場所>
公衆の見やすい場所
<掲示板の掲示日>
作業の開始前
事前調査に関する記録を作成し、その写しを解体等工事の現場に備え置く必要があります。
<記録事項>
発注者への説明事項に発注者氏名等を加えたもの
<現場への備え置き>
備え置きの方法は指定していません。
工事を施工する者や都道府県等が立入検査の際に確認できる状態であればよいので、電子データでも紙媒体でも差し支えありません。
<記録の保存>
当該記録は、解体等工事終了後3年間保存しなければなりません。
石綿含有建材の存在やその取扱いに関する情報を工事関係者間で十分に共有してください。
解体等工事中に新たな石綿含有建材を発見した場合には、速やかに最寄りの行政に連絡してください。