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気象災害対策(台風15号に対する被害防止対策について)

島根県農業技術センター

気象災害対策
平成16年8月18日
専門技術員スタッフ
台風15号に対する被害防止対策について
普通作物

1.水稲
1)事前対策
(1)浸冠水被害を考慮し、排水路の清掃、補修及び畦畔の補強を行う。
(2)畦畔等の刈草を処分し、用水路などに流出させない。
(3)「ハナエチゼン」等の成熟期の稲は、可能な限り台風接近までに収穫する。また、現時点で収穫できないところでは、排水口に向けて圃場内に作溝を立て、その後の収穫に備える。
(4)強風による脱水を防ぐため、落水後の水田でも湛水しておく。特に「祭り晴」熟期の品種は出穂から乳熟期で、一番ダメージを受けやすいため、できるだけ深水湛水とする。
(5)潮位がかなり高まることが予想される。日本海沿岸地域等では塩水の逆流防止対策を講ずる。

2)事後対策
(1)浸冠水した場合は一刻も早く排水できるように努める。
(2)倒伏した場合、「ハナエチゼン」等の成熟期になっているものは速やかに刈り取る。また、成熟期までに日数を要するところでは、できるだけ早く株起こしをを行う。この場合、株基が挫折しているときは、無理な立て直しがかえって損傷を大きくするので、隣の株上に穂を上げる程度とし、排水を良くする。
(3)高潮により塩水が流入した水田では、真水の潅排水を繰り返して除塩する。また、日本海沿岸等で海水を巻き上げ、葉にかかり、かつその後の降雨がない場合は塩害が起こるので、可能な限り真水の散布を行い、洗い流すようにする。

2.大豆
1)事前対策
圃場内の作溝の再点検を行うとともに、排水路の清掃、補修を行う。

2)事後対策
(1)表面水を速やかに排除するするように、排水対策を行う。
(2)降雨を伴わない風台風の場合は速やかに畝間潅水などを行い、吸水を促す。
野菜

今回の台風は強風、大雨による大きな被害の発生する恐れがあるので以下の対策を徹底する。
1.ハウス対策
1)事前の対策
(1)天窓、側窓、出入口等は開かないよう密閉、固定する。被覆資材は押さえ金具、バンドのしめなおし、バンド固定パイプの補強、屋根、褄、接地部のビニールのたるみ破れを補修する。骨組や、防風ネットはしっかりと固定補強する。
(2)排水溝を整備し、大雨に備える。
(3)ハウス周囲を清掃し、木片などの飛来をなくす。
(4)休閑ハウスはビニールを除く。
(5)強風下頻繁に点検して破損は見つけ次第補修するとよいが、安全を優先して無理な作業を避ける。
(6)換気せざるを得ない場合は風下側で行なう。
(7)フィルムの破損が著しい場合メロン、トマトは誘引紐を切ってつるを倒し、ホウレンソウではカンレイシャ等を直掛けする。
(8)最悪の場合、パイプハウスでは人の安全を確かめながら被覆フィルムを風下側から裂き、ハウスの倒壊を防ぐ。

2)事後対策
(1)風が弱まったら風下側から順次開いて換気し、骨組の変形や緩み、フィルムの破れは補修する。
(2)たまった水はただちに排出する。畝から浸出する水も通路の穴を掘って集め排出する。
(3)支柱、誘引紐の切れ、緩みは点検して立て直す。
(4)速効性の液肥を施用して草勢の回復を図る。
(5)出荷可能な果実は収穫する。折れた枝や傷果は除き、殺菌剤を散布する。

2.露地野菜
1)事前の対策
(1)防風ネット、支柱の補強、排水溝を整備し、出荷可能な果実は収穫する。
(2)ブロッコリー等では土寄せして株元を補強する。
(3)イチゴ等の苗床はカンレイシャを直掛けする。

2)事後対策
(1)たまった水は直ちに排出し、根を傷める恐れのない場合は中耕する。イチゴ等汚れた葉は洗う。
(2)出荷できるものは早めに収穫し、折れた枝や傷果等は除き、速効性液肥の施用、葉面散布を行なう。
(3)降雨後殺菌剤を散布する。
果樹

1.事前対策
1)施設
(1)収穫が終わったハウスで被覆のビニールがある場合は直ちに除去し、ビニールの破損やハウスの被害を防止する。
(2)被覆している場合は風下のサイドの一部を風抜きように開け(ネットはあって良い)、筋交(スジカイ)を入れハウスの強度を高める。また、押さえのバンド等の締め直しをする。
(3)被覆したハウスが倒壊しそうな時は、風下側からビニールを切り裂く。
(4)果樹棚はフレ止めの控え線、突き上げ柱ともにしっかり固定しておく。
(5)飛散して被覆を破損しそうな物を施設周囲から除去しておく。
2)露地
(1)収穫できるものは強風前にできるだけ収穫しておく。
(2)風当たりの強いところでは、支柱による倒伏防止や枝裂け防止の誘引等を行う。
(3)柿は大雨による滞水で根の障害を受けると、樹上軟化の多発生が予想されるので雨水が速やかに園外へ排出されるように園内排水溝をもうける。特に粘質土壌の園でタコツボ方式により植え付けされたところでは注意が必要である。
(4)なしでは大雨により滞水すると根の障害から早期落葉となるので、表面水の速やかな排水対策を行う。
3)その他
(1)傾斜地の果樹園では、今後の大雨によって崩れる心配があるので特に注意を要する。

2.事後対策
1)施設
(1)果樹棚が倒壊した場合には、下から防除できる程度に持ち上げ、薬剤散布を行いその後に棚の修復をする。
2)露地
(1)葉、果実等に傷が多くついており病菌の侵入が予想されるので、雨があがったら直ちに殺菌剤を散布する。
(2)沿岸部を通過した場合は、潮害の恐れもあるので台風通過後に降雨がなければ、葉の塩分付着状況(なめて判断)を見て多量の散水を行う。
(3)倒木は新たに根が切れない程度に引き起こし、主幹部の地際部に盛り土をして踏みつけ、晴れればかん水して乾燥を防ぎ、再び揺すられないように支柱でしっかり固定をする。
(4)太い枝が折損した場合は枯れ込みが入らないように、ひび割れた部分は切り返して保護剤を塗る。
(5)葉の破れ等が著しい樹や、新梢が折損した樹で新しい芽が伸びてきた場合は新葉2~3枚で摘心し、成葉化をはかる。
(6)樹勢回復には有機質を主体とした肥料を施す。(遅伸びを助長するような多量のNの施用はしない。)
(7)落葉や葉の破れ等が大きく、果実がついている場合は葉数(葉面積)に見合うように摘果する。
3)その他
(1)樹体の障害は被害直後から徐々に現れてくるので、数日間は樹園地を回り樹(果実、葉等)の変化を観察する。
(2)西条柿では落葉の程度によって着果量を減らす。摘果は果実の小さいもの,汚損果などからできるだけ早く行う。
(3)各果樹とも著しく落葉した場合,礼肥の施用量は有機質肥料を中心に基準量より少な目に行う。
花き

1.事前対策
(1)排水溝の補修、排水ポンプのチェック等を行い豪雨に対応できるように備える。また圃場周辺の排水路や排水口も掃除して水の流れをよくしておく。
(2)防風ネットのある圃場ではネットや支柱の補強を行う。
(3)強風によって倒伏、茎折れ、花・葉の損傷、黒変等を生じるので、支柱やフラワーネットの補強を行う。その際床を踏み固めないよう注意する。
(4)木片、小石等の飛来によりビニールやガラスが破損するので、ビニールハウス等の施設周辺の片付けを行う。
(5)ビニールハウスはビニールの破れ箇所の補修、押さえバンドの補強、押さえバンド取り付けパイプの浮き上がり防止対策を行う。また天窓や横窓等隙間ができないように修理しておく。
(6)強風時は天窓、側窓、出入り口は密閉固定する。ハウスが強風に耐えられないと判断される時はビニールを切り裂き倒壊を防ぐことも考慮するが、あくまでも人の安全を最優先する。ビニールハウスで中に作物が栽培されていない場合は前もってビニールを除去しておく。
(7)収穫可能なものは早めに収穫する。
(8)育苗箱、セル成型トレイ等で育苗中の苗や鉢物等は必要に応じて納屋等の建物へ事前に移動する。

2.事後対策
(1)圃場内の停滞水は速やかに排水し、過湿による障害発生を防ぐ。冠水により汚泥を被った株は清水で洗い流す。
(2)倒伏した株は早めに引き起こし、支柱の立て直しや誘引をやりなおす。定植間もない苗で状況から見て植え直したほうがよい場合は、早急に苗の手配または播き直しを行う。
(3)被害の激しい株や落ち葉、枯葉は取り去って圃場を清潔にする。
(4)病害発生防止のため殺菌剤を予防散布する。
(5)草勢が弱い場合は回復のために薄い濃度で葉面散布を2~3回行う。
(6)大雨後の根が弱った状態で強光線、乾風に当たると急激な萎れが生じやすいので、日除けを短期間行って茎葉の萎れを防ぐ。
(7)マルチ栽培で浸水により土壌が過湿になっている場合はマルチを除き乾燥を促す。
(8)風台風の場合は、台風の進路によっては塩害の恐れもあるのでその場合は、ただちに植物体を清水で洗い流す。
(9)ビニールの破損、パイプの曲がり等の補修を行う。
(10)電照を行っている場合は停電に留意する。きくは3日間の短日で内的に花成物質が生成され1週間で花芽分化が始まる。3日以内の停電であればそのまま電照を再開する。
(11)鉢物、花壇苗等では損傷のひどいものは早期に処分し、軽微な場合には殺菌剤の散布、追肥等を行い回復を図る。
畜産

1.事前対策
(1)強風により板、トタン等が外れて音が発生すると、牛が驚き思わぬ事故につながるので牛舎周りをしっかりと固定補強する。また、畜舎内に雨水が浸入しないように排水溝を点検する。
(2)風雨により乾草等飼料作物が濡れて、品質が低下しないよう、安全な場所に移動させる。
(3)飼料作物は、雨害に備えて、排水溝の点検と補修を行う。
(4)家畜糞尿は雨水で流失しないようにシート等で被覆する。

2.事後対策
(1)地表の滞水を速やかに排除する。
(2)牛舎内等への浸水が発生し、病気等の発症したら直ちに診療を受ける。
(3)飼料作物は被害程度により収穫調整作業を早め、冬作物への切り替えを進める。

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