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気象災害対策(ぶどう)

凍霜害対策

事前の対策

(1)栽植にあたっては、凍霜害の発生しやすい場所を避ける。
(2)枝梢内の貯蔵養分を多くして耐凍性を高める。
防除・施肥量・着果量・剪定法、葉の保護などの樹体管理を徹底して充実した樹づくりを行って低温への抵抗性を高める。
(3)霜害の発生しやすい場所への栽植を避けることが大切である。やむを得ずそのような場所に植えられた場合には、防霜林、防霜堤を設けて冷気の侵入を防いだり、土手の改造や森林の伐採などによって冷気が停滞しないようにする。
(4)気象予報に注意して防霜対策を行なう。
露地栽培では、重油、固形燃料などを燃焼させて霜害を防ぐ。地下水の豊富なところでは散水法も有効であるが、この際は排水対策を行っておく。
無加温ハウス栽培では、家庭用の対流式ストーブ(8,000kcal)を10a当たり3?4台準備し、霜害注意報が出た夜間から燃焼させる。
 

被害後の措置

(1)主芽が枯死した場合、副芽の伸長を図って樹勢の回復に努める。
(2)被害の甚だしい場合には結果母枝の枯れ込みもあるので、発芽を見て思い切った切り戻しを行って樹勢の回復を図る。
(3)被害が軽い場合、副芽に着房したものでもある程度残して収穫する。着果量が少ない場合、以後の施肥量を減じ、病害虫防除などの管理を十分に行って樹勢の回復につとめる。

雪害対策

降雪前の対策

(1)間、縮伐を要する場合は実施しておく。
(2)積雪期までに粗剪定しておく。
(3)主要な枝を支柱で支える。
(4)棚の修繕補強する。中支柱の数を増すとともに、周囲柱、棚線、控え線も点検して補強しておく。
(5)積雪の多い地域では、棚や主枝の分岐高を高くする。
(6)豊富な地下水があるところでは融雪に利用することも一方法であり、前もって準備しておく。
(7)アーチ型パイプハウスで主骨間隔が3m以上の場合には、間に支柱を設置する。
 

積雪中の対策

(1)加温栽培園では、積雪前から加温をして雪を融かす。その際加温機の能力は、10万kcal/10a以上が理想である。10cm以上の降雪が予想される場合及び注意報が出たら、降雪始めから加温機の設定温度を30℃程度にし、状況をみながらさらに上げるようにする。その際、加温機のダクトは二層カーテンと外張フィルムの間に入れると、雪がよく融ける。
(2)無加温ハウス栽培では、谷部分のビニルを開放し、すみやかにハウス内へ雪を落とす。さらに、降雪が予想される場合には、ビニルの切断も必要である。
(3)露地栽培では、枝梢や棚上の積雪は払い落とし着雪荷重を軽減する。また、踏圧によって積雪を少なくして沈下による被害を少なくする。積雪で棚や支柱が雪中に埋まった場合には、掘り出し、表層のしまり雪は切断するなどして融雪を助ける。

融雪対策

(1)雪の表面に太陽熱を吸収しやすいものを撒いて消雪を促す。
(2)地下水の豊富なところでは散水による消雪が効果的である。この場合、排水対策も行う。

被害後の対策

(1)樹の裂開、折損の程度に応じて、被害の甚だしいところは切り去って、傷面を平らに削り接ぎロウなどを塗っておく。
(2)被害の軽いもので復元できるものでは、裂開部に癒合促進剤を塗り、縄などで動かぬようにきつく縛り、患部をビニールで覆って乾燥を防ぐ。
(3)被害樹は病害防除を徹底する。また、その後の肥培管理を徹底して樹勢の回復を図る。
 

風害対策

(1)風害の防止対策としては風速を弱める防風施設を設置する。応急的には防風ネットを設置する。ネットの減風効果は認められるものの、永久的には防風林を設置するのがよい。防風施設は、園地の地形や風向を検討してから効果的に設置する。
(2)ビニールハウスは最も確実な防風施設であるが、ビニールの破損やハウスの倒壊等の危険性がないではない。また、ネットハウスも減風効果は高く、ビニールハウスに近い生産安定が期待できる。
(3)台風などの発生時期に先駆けて棚や防風施設の補強をしておく。棚面が波打つのを防ぐため支柱を増やし、控え線を張るなどの対策を講ずる。

水害対策

(1)湛水した場合は速やかに排水に努める。
(2)湛水しやすい地帯や地下水位の高い所では耐水性の強い台木を用いるとよい。
(3)傾斜地の園では土壌管理を徹底し、土砂が流入した場合は取り除く。
(4)集水路、排水路を整備するとともに、暗渠を埋設して排水する。
(5)地下水位の高いところでは客土や盛り土をする。
(6)風水害を受けた樹は、結果量や施肥量の調節、防除などを十分に行って被害の軽減に努める。

干害対策

事前の対策

(1)土壌の深耕、有機物の施用につとめ、根群分布範囲を広く深くして、土中の広い範囲から水分が吸収できるようにして乾燥害の軽減を図る。
(2)有機物の施用によって腐植を増加し、保水性を高める。
(3)高温乾燥期までに草刈りして、敷草(敷ワラ)を行い、土壌水分の蒸散を少なくするとともに、土中に腐植を増加する。
(4)耐干性の強い台木を利用する。ベルランディェリ・リパリア420A、モンティコラ・リパリア188-08、リパリア・ルペストリス3309などは耐干性が強い。実際には、多湿な梅雨期の後に夏季の高温乾燥期がくるので耐湿性、耐干性ともに強い台木(ダルランディエリ・リパリア・テレキ5C、同8Bなど)を用いるとよい。
(5)施肥、特に窒素肥料の施用には注意し、徒長的な生育をさせないようにする。
(6)乾燥期に入ったら適宜潅水を行う。

潅水の実施

(1)土壌乾燥の影響を受ける恐れがあると考えられたら速やかに潅水を行う。潅水量は、土壌条件、乾燥の程度、気象条件、ぶどうの生育時期などによって異なる。
(2)土壊湿度は、土壌容水量の60%程度を保持し、根が容易に水分を吸収し、旺盛な生育するように注意する。潅水に当たっては、新梢伸長期はやや控えめとして徒長的な生長を抑え、デラウェアの前期ジベレリン処理期には乾燥させないようにし乾燥している場合には潅水してからジベレリン処理する。また、果粒肥大期、特に、第1期においては乾燥しないように、また土壌水分が大きな変動をしないように適宜潅水する。
(3)潅水開始時期は、干害の初期兆候である果粒の肥大停止を見つけるか、土壌含水量や葉の水分を測定して決める。潅水の最も必要な時期は、梅雨明けからで、この時期は、地表面からの蒸発散と枝葉からの蒸散量も多いので、晴天が続く場合には遅れないように5から7日おきに20から30mm程度潅水する。潅水量は、土壌条件、気象条件、生育ステージや樹体の反応をみて加減する。


お問い合わせ先

農業技術センター

島根県農業技術センター
〒693-0035 島根県出雲市芦渡町2440
 TEL:0853-22-6708 FAX:0853-21-8380
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