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○作物名:トマト

○病害虫名:トマト黄化葉巻病

 ○病原名:トマト黄化葉巻ウイルス

(TYLCV:Tomatoyellowleafcurlvirus

 

○概要

 平成21年9月、県西部の施設栽培のトマトにおいて、株の萎縮、頂葉の黄化、葉巻、縮葉の症状が認められた(図1~3)。そこで、PCR法により検定した結果、本県では未発生のトマト黄化葉巻病の病原であるトマト黄化葉巻ウイルス(TYLCV)が検出された。その後、独立行政法人九州沖縄農業研究センターに診断依頼したところ、TYLCVイスラエル系統であることが判明した。本病は、西日本及び関東を中心に発生し、ミニトマトを含めて35都府県で発生が確認されている(平成24年6月現在)。

 

○発生生態

1)病徴

 発病初期は新葉が葉縁から黄化しながら葉巻症状となる。さらに症状が進むと葉脈間が黄化し縮葉となる。その後進行すると頂部が叢生し株全体が萎縮症状を示す。発病前に着果した果実は正常に発育するが、発病後の花は蕾のまま落下する場合が多く、開花しても結実しないことが多い。特に育苗期~生育初期に感染すると病徴は激しくなる。また、周辺株への蔓延が著しい。ミニトマトでは被害の程度が比較的軽い。トマト黄化萎縮病とは、ほぼ同様の症状を示すため、病徴のみで、トマト黄化葉巻病とトマト黄化萎縮病を識別することは難しい。

 

2)伝染経路

 本病原ウイルスは主にタバココナジラミ(図4、5)のバイオタイプB、Qによって媒介される。このタバココナジラミが感染した植物を吸汁すると、約1日の潜伏期間を経た後、伝搬能力を獲得する。なお、経卵伝染(子への伝染)の可能性は極めて低い。野外で越冬はできないが、ハウス内では越冬可能である。この害虫によく似たオンシツコナジラミ(図6、7)は本病を媒介しない。また、このウイルスは接触伝染(管理作業、汁液伝染)、種子伝染及び土壌を介した伝染はしない

 

3)寄主範囲

 日本で自然発生が確認されているのは、トマト、ミニトマト及びトルコギキョウの3種である。雑草にも感染が認められているが、雑草からトマト等へのウイルスの伝搬の可能性は低く、トマトからトマトへの伝搬が最も重要な伝染経路である。

 

○防除対策(基本三原則:ハウスに入れない、増やさない、ハウスから出さない)

1)ハウスに入れない

 (1)購入苗によるタバココナジラミの持ち込みに注意する(トマト苗以外の苗についても注意)。

 (2)全ての開口部に防虫ネット(目合い0.4mmが望ましい)を張る。出入り口のカーテンは二重にし開放状態にしない。

 (3)黄色粘着板や黄色粘着テープを施設内及び周辺部に設置し、本虫の早期発見及び捕殺する。また、光反射マルチを施設周辺部に設置し侵入を防ぐ。

 (4)野良生えトマトの処分をする。また、施設内外の雑草は定植の10日前までに除草する。

2)増やさない

 (5)育苗時から定期的な薬剤散布し、媒介虫を防除する。

 (6)薬剤防除においては薬剤抵抗性の発達を防ぐため系統の異なる薬剤のローテーション散布や気門封鎖剤を併用する。

 (7)発病株を見つけたら速やかに抜き取り、ビニール袋に入れ密封する。株が枯れ虫が死滅してから持ち出し適切に処分する。

 (8)地域内でトマトの栽培が無い期間(1か月間程度)をつくり伝染環を断ち切る。

3)ハウスから出さない

 (9)栽培終了後、株は切断、抜根して枯死させる。また、同時に施設を密封して蒸し込む(40℃、10日以上)。

4)抵抗性品種について

 (10)平成24年現在、市販されている抵抗性品種は発病が抑制されるが、ウイルスは感染し増殖源となる。感受性品種同様防除を実施する必要がある。

 

外部リン日本植物病名データベース

トマト黄化葉巻病(外部サイト)

 

株の萎縮、縮葉頂葉の黄化、葉巻

 図株の萎縮、縮頂葉の黄化、葉巻

 

葉縁の黄化

葉縁の黄化

 

タバココナジラミ幼虫タバココナジラミ成虫

タバココナジラミ幼タバココナジラミ成虫

 

オンシツコナジラミ幼虫オンシツコナジラミ成虫

オンシツコナジラミ幼オンシツコナジラミ成虫

 

 

 

 


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島根県農業技術センター
〒693-0035 島根県出雲市芦渡町2440
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