○概要
平成24年7月、県東部のショウガ(大ショウガ)圃場において、葉の黄化、萎凋、根茎の腐敗が認められた(写真1、2)。被害株の茎を切断し水に浸けたところ、乳白色の菌泥が認められたため細菌病と考えられた(写真3)。そこで、九州大学大学院農学研究院に診断を依頼した結果、Ralstoniasolanacearumによる青枯病であることが判明した。
ショウガ青枯病は、平成9年に高知県で初めて確認され、その後、平成20年に鹿児島県、平成21年に栃木県、長崎県、宮崎県で発生が報告されている。
○発生生態
1)病徴
初め下位葉が黄化、萎凋し、速やかに上位葉に進展し、全身的な萎凋、枯死に至る。症状が進むと茎は水浸状となって腐敗し、倒伏する。茎と根茎を切断すると維管束部は暗褐色〜黒色を呈し、切断面を水に浸すと乳白色の菌泥が漏出することから、病徴が類似する根茎腐敗病と区別できる。
2)生態
高温多湿条件で発病しやすく、病勢の進展が早い。
3)伝染経路
罹病した種根茎が重要な伝染源となる。水によって伝搬され、地下部の傷口から植物体に侵入する。侵入後は植物体内で増殖し、株を萎れさせるが、低温期に感染すると発病しないまま保菌した種根茎となる。なお、本病が一度発生すると、宿主植物が栽培されていなくても長期間土壌中で生存する。
4)寄主範囲
Ralstoniasolanacearumは、宿主植物に対する寄生性の違いにより5つのレースに類別され、ショウガではレース4のみが発病する。
○防除対策
1)種根茎による伝染を防ぐため、発生圃場からの根茎を使用しない。
2)土壌伝染性の病害であるため、発生圃場の土壌を未発生圃場に持ち込まない。
3)発病株は伝染源となるので、直ちに抜き取り、圃場外に持ち出し適切に処分する。抜き取った発病株付近は、発病が拡大しないか継続して観察する。
4)病原菌は高温多湿を好むため、圃場の排水対策を徹底する。
5)連作圃場で発生しやすいため、イネ科作物等の本細菌が感染しない作物による輪作体系を取り入れ、発生しにくい環境を整える。
6)センチュウ類が発生している圃場で病害が発生すると被害が大きくなりやすいため、土壌消毒によるセンチュウ類防除を行う。
写真1発生状況
写真2発病株
写真3茎切断部から漏出する菌泥(細菌の集団)
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