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○作物名:クワ

○病害名:クワノメイガ



被害と幼虫の写真○概要
クワノメイガは全国的に分布し、どこでも見られるクワの害虫である。本種は高温乾燥条件で多発する傾向がある。そのため低温に経過する春季より高温になる夏秋期に発生が多い。また、風通しのよい海岸付近や河川の流域などのクワ園、乾燥しやすい砂地のクワ園で被害が多い。さらに、一つのクワ園でも周辺部や通路沿いの株が被害を受けやすい。

○被害と診断
幼虫は葉の裏面から葉脈、表皮を残して葉身をすくように食害するため、別名スキムシと呼ばれる。葉の食害された部分は褐変して透き通り、風が吹くと葉が破れたりする。被害が激しいときは園全体が白っぽくなり、一見冬枯れ状態となる。また、被害葉はカイコの餌としての価値がまったくなくなるし、幼虫の糞で汚れた葉をカイコが食べた場合、カイコは糞づまり病を起こすことがあり、この被害も軽視できない。さらに、本種の幼虫に寄生する天敵微生物がカイコに感染して、カイコが死亡する被害も無視できない。
成虫は体長10mm前後、頭部と胸部は白色で、胸部から腹部にかけて2本の黄褐色の縦じまがある。前翅は白色で褐色または黒褐色の斜めのすじがある。
幼虫は老熟すると体長17〜18mm、体色は淡黄色で、背面に濃緑色の縦線がある。中齢幼虫の体表には黒色斑紋隆起が規則的にならび、老熟幼虫では90個以上もみられるものもある。

○発生生態
年4回の発生で、老熟幼虫で越冬する。成虫の発生時期は第1回が5月中旬、第2回が6月中旬、第3回が7月中旬、第4回が8月中旬である。成虫は夜間活動し、羽化2〜3日後から上位葉の裏面の葉脈沿いに点々と産卵する。雌1頭当りの産卵数は200〜300個である。

若齢幼虫は葉脈に沿って集合して食害し、3齢くらいになると分散する。この頃の幼虫は糸を吐いて葉をつづり、その中で表皮を残して葉身を食害する。幼虫の加害は春から晩秋期まで続くが、とくに夏秋期が高温乾燥に経過すると多発する。9月以降に発生した幼虫は老熟して、枝幹のさけ目や落葉中に薄い繭を作り、幼虫のままで越冬する。

○防除法
薬剤による防除は蚕期と本種の防除適期が重なるため慎重を期す必要がある。クワ薬に相当の被害が発生する恐れのある場合には初秋蚕および晩秋蚕前にカイコに影響の少ない薬剤を1〜2回散布する。


資料:島根県農作物病害虫雑草図鑑


 


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