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○作物名:イネ

○虫害名:イネゾウムシ


イネゾウムシ○概要
主に山間地や平坦地でも山沿いの水田で発生し,成虫は口吻が長く突き出ている特徴のある形をしている。成虫はイネの生育初期に葉に穴をあけ,さらに出穂後米粒を食害し穿孔米を発生させることがある。

○被害と診断
成虫は細長い口吻をイネ苗の葉鞘に挿し込み,柔らかい新葉を摂食する。食害された新葉が展開すると,葉身のほぼ中央部に横あるいは縦に並んだ数個の食痕,つまり傷葉が現れる。この傷葉は穴のところからちぎれるものもあり,ちぎれた葉は風や水に流されて風下の畦や水尻に流れ着いている。被害が多ければ後の生育が遅れ,穂数は少なくなり減収する。
また,成虫はもみ殻の割れ目に口吻を挿し込み,米粒の側面をえぐりとるようにして食害する。食害された米粒はその周辺が雑菌によって褐色に変色し,穿孔米となる。成虫による米粒の食害は健全もみでは認められず,主に割れもみが対象になる。穿孔米はカメムシ類による斑点米などと同様に米の検査規格で着色粒として取り扱われ,これらの混入率が0.2%以上であれば等級格下げとなる。本県では山間地の早植栽培のコシヒカリなどで穿孔米が発生することが多い。
成虫は体長が約5mm,灰褐色で,背面の後部には一対の白斑がある。幼虫は黄白色でウジのような形で,成長すると長さが約6mmになる。卵は長さ約1mmほどの長楕円形で淡黄色をしている。

○発生生態
年に1回発生し,主に成虫が刈り株や水田周辺のイネ科雑草の地際で越冬する。成虫は5月中旬頃から活動をはじめ,水田周辺の雑草を摂食しているが,順次水田に侵入して葉を食害しながらイネの葉鞘や株元の土面に一粒ずつ産卵する。卵は7〜10日でふ化する。ふ化幼虫は土の中にもぐって根のまわりで主に腐った植物や根などを食べて成長し,蛹になる。その後,8月中旬頃から新成虫が発生し,刈り取りが近づく頃割れもみがあれば,割れ目から玄米を加害する。しかし,それ以外の場合はそのまま越冬場所に移動する。また,刈取りが近づいて落水しても土が乾かない水田では幼虫のままで越冬することが多い。この場合,翌年に蛹になり,6月中旬頃から成虫になる。




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