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8.棚面の明るさと適正着果量

2)適正着果量


a.着果量と果実品質
図8ー3は、無加温ハウス栽培のデラウェアにおける、着果量が果色の上昇速度に及ぼす影響を示したものである。単位葉面積当たりの着果量が多くなるにつれて、果色の上昇速度は遅くなり、果粒軟化以後40日を過ぎると果色はほとんど上昇しなかった。また、果色は着果量が多いほど悪くなり、この試験ではデラウェアの出荷規格であるカラーチャート値5.5以上になったのは、単位葉面積当たり2.0kgまでであった。このように、果実品質のよいものを生産するには、葉面積当たりの着果量を適正にしなければいけない。

 

fig8-3

 

b.成木園の適正着果量
表8ー2は、新梢の長さと密度から適正収量が分かるようにしたものである。平均新梢長が100cmで10m2枠内の新梢数が100本であったとすれば10a当たりの適正収量は1,406kgであり、160本であれば1,851kgになる。この基準は、日射量が最も多い時期に果粒軟化期をむかえる露地栽培のものである。
特に、果実品質に影響を及ぼすのは、果粒軟化期から着色期にかけての日射量であり、作型別に果粒軟化期頃の日照条件に合わせて適正収量を変える必要がある。表8ー3は山陰地方の日射量の季節変化や実際栽培のようすを考慮して、各作型の適正着果比率について試算したものである。目標とする作型の比率を表8ー2にあてはめればその作型の適正収量がわかる。なお、この比率は地域によって異なると考えられるので、当該地域における時期別の日射量を調査し修正するのがよい。
上述の事を考慮して目標収量が決まれば、結実判明後できるだけ早いうちに結実程度を見ながら1房重を推定して10a当たりの房数を決めて摘房する。


tab8-2

tab8-3 

 

c.若木の適正着果量
棚の空いている若木の場合には、LAIは1より小さい。これまで行ってきた実験や栽培の結果から、収穫期の葉面積を基準にして推定した若木の適正着果量は、加温栽培のデラウェアが葉面積1m2当たり1.0〜0.8kgであり、巨峰は2割程度少ない。これは、満開後1か月頃にデラウェア100gの房なら60〜70cmに1房着ければよいし、300gの巨峰なら2.0〜2.5mに1房着果させればよい。この値は、収穫期の葉面積を基準にしたものであり、新梢の停止時期や園地の条件によって多少異なる。
(山本孝司)

 



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