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4.整枝せん定

4)成木のせん定


a.せん定時期
落葉果樹のせん定は葉が落ちた冬季間というのが通例であるが、ブドウの場合早い作型の予定園では落葉前にせん定することがある。しかし、これがあまり早すぎると貯蔵養分として貯えられるはずの養分を葉とともに捨てることになり、翌年の生育に悪影響を及ぼしてしまう。落葉後も当年枝から旧枝や根の方へ養分は移動していくので、落葉後少し期間を置いてせん定すると良いと言われている。秋伸びした樹や肥料の遅そぎきした樹、さらに最近新技術として導入されつつある「二度切り」を行ったような樹は、遅くまで葉の活性が高いので、せん定時期はなるべく遅くしたい。

 

b.作型によるせん定の違い
加温開始期を早くすればするほど発芽率や萌芽の揃いが悪くなる傾向がある。また、頂芽優勢も作型が早くなれば強く現れ、結果母枝の先端から出る新梢と基部から出る新梢では生育にかなりの差が出てくるので、開花期のずれや果実品質等にも大きな影響が出てしまう。こういった特性をふまえて、各作型に合わせたせん定方法をとるようにしなければならない。
つまり、早い作型では発芽率が悪いので芽数を多く残すようにする。また、萌芽揃いを良くしたり新梢の強さを強めるために、母枝の長さは短く強く切り数を多く残すようにすると良い。ただし、早い作型を行うと樹勢が弱まるので全体の勢力を強くするために1本の樹の樹冠面積は制限してやる必要がある。このためには、植栽本数を多くしておかなければならず、せん定と植栽本数を一体にして考えるようにしたい。
萌芽後の新梢の数は、日照条件の悪い冬季間は少な目にし、収量目標も気象条件に合わせて増減しなければならない。こういったことをふまえ、表4-1の作型別せん定基準を参考にしてせん定すると良い。

tab4-4

 

c.側枝の切り戻し
翌年の「種枝」として残したいような勢いの良い結果母枝は、とかく側枝の先の方についていることが多い。このような枝ばかり残してせん定することを「先追いせん定」というが、これを毎年繰り返すと元の方に新しい枝がなくなり、古枝部分が長く残ってしまう。このように長く伸びた古枝を「くろづる」といって嫌い、樹の負担が多くなるだけでしかも樹形を乱すもとになるので、できるだけ「くろづる」ができないよう側枝は元へ切り戻すようなせん定に心掛けなければいけない。

 

d.枝の切り方
結果母枝を切るときは普通節間の真ん中を切るようにする。芽のすぐ先で切ると枯れ込みが入って先端の芽が枯れることがあるので注意したい。冬に凍害の心配がある地帯では、1芽を犠牲にして芽の真上で切る「犠牲芽せん定」を行う。主枝や亜主枝などの候補として先へ伸ばしたい枝の場合も、「犠牲芽せん定」を行った方が先端の芽の伸びがよい。
古枝や太枝を切り取るときは、その枝の根元から切るようにする。元の方が残るとその部分から枯れ込みが入ることがあるので、多少切り口が大きくなっても切り取り部分の枝はきれいに取り除いた方が良い。ブドウは維管束が太くて切り口の乾きが早い。放っておくとその部分から枯れるので、せん定したら直ちにボンドなどの癒合剤を塗っておく。



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