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3.開園と植え付け

2)植え付け

 

植え付けにあたっては将来を見越して行い、植え付け本数は永久樹の本数を元にして決める。この植え付け本数はその土地の肥沃度や作型によって異なるので、次のような基準を参考にすると良い。
まず、土壌の肥沃度で判断すると、十分肥沃化された園では10a当たり10本以内、中庸な園では10〜15本、やせた砂丘地では15〜20本を永久樹本数とする。この本数はいずれもブドウの樹が最も負担が少なく生育する無加温栽培の目安なので、将来の計画に沿って表2のように作型別に変えていく。つまり、無加温栽培を1とした場合、最も木に負担のかかる超早期加温栽培では1.6〜2倍、早期加温栽培と風害など受けやすい露地栽培では1.2〜1.5倍、普通加温栽培では1〜1.2倍を基準とする。

盛り土植え付け

 

 植え付け本数

 

 

 苗木の植え付け時期は、ブドウの場合萌芽前の春が良いとされている。秋植えをすると冬の間に苗が乾いて枯れることがあるからで、導管が太いブドウは他の果樹に比べて根の乾燥害を受けやすいといえる。しかし、一般にブドウの苗が配布されるのは秋であり、苗の取り扱いには十分な注意が必要である。
掘り上げた苗を農家へ配るまではできるだけ濡れたコモなどで覆って乾燥を防ぐようにし、苗配布日に農家の人が留守であっても庭先などへ投げておかないことである。農家も苗が配られたら直ちに仮植をするようにする。仮植場所は水はけが良く、あまり日の当たらない家の陰のようなところが良い。束ねられて配布された苗はそのまま1日程度水につけ、その後1本ずつ離して仮植する。根はもちろん土の中に入れるが、地上部の茎は地面に横たわるようにして植え、仮植後はコモなどで覆って乾燥を防ぐ。
本植えする時も、植え付け前に水につけてしっかりと吸水させ、植え付け後も苗が乾かないよう根の部分にわら等を敷いてやる。秋に本植えをしてしまった苗は、萌芽期頃まで地上部もわら等で包んで防乾してやると良い。
植え穴は直径1.5m程度の広さを40〜50cmの深さに掘る。植え穴の土壌には、普通1m3当たり完熟堆肥200kg程度、苦土石灰5kg、ようりん5kg、菜種油かす2kg、骨粉1kg、高度化成肥料0.5kgを均一に混ざるように施す。水田転換園など肥沃化しているところでは、苦土石灰やようりん以外は減量して施して良い。また、粘質土壌にはもみがらを混ぜると物理性の改善ができる。排水の悪いところは植え穴の下深さ50〜100cmの部分に暗渠排水を設置する。

植え付ける時は根を四方に広げるようにし、接ぎ木部が埋まらないよう浅植えとする。また、植え穴の土は次第にしまってくるので、それに伴って苗が沈みすぎないよう幾分土を盛って高めに植える。
植え付け後は支柱を立てて苗木を結束し、たっぷりとかん水する。また、前述したように敷きわらなど行って乾燥防止につとめる。なお、新梢の生育を良くするために、若木は充実した芽が2〜3芽残るようになるべく短く切りつめておく。
密植栽培を行うと3年目で成園並みの収量を得たという事例もあるが、大苗定植を行えば2年目からかなりの収量を得ることもできる。大苗については一般に苗木業者では取り扱っておらず、自分で調達しなければいけない。近くに数年前に密植したような園があれば、間伐する樹をもらってくるのも1つの方法である。
そういった都合の良い園があればいいが、そうでない場合は自分で大苗を育成すると良い。2年生苗ならそんなに場所もとらないし、移植にも手間が少なくて済むので手頃である。この場合既存ハウスの空いた部分を利用するなど、やはり雨除け状態で育苗するのが好ましい。
苗は直接育苗畑へ植えるのではなく、育苗鉢に植えた方が本圃へ定植する際に根傷みがなくて済む。育苗鉢もいろいろ考えられ最近は手頃なものも出回っているようだが、2年生苗を育成するには20kg程度の土量があればよいので、肥料袋を利用すれば簡易で安上がりである。用土は前述の植え穴土壌の改良と同じような配合をしたものを準備すればよい。
苗木の植え付け



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