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ハウス構造と付帯設備

2)ハウスの付帯設備

(5)かん水装置


ハウス栽培は、露地のように降雨による根域への水分供給が期待できないため、かん水は必要不可欠である。1度のかん水を30mm、これを1週間から10日間隔でするためかなり大量の水を必要とする。よって付近に、池、河川などがあり、十分な水が確保できるところにハウスを設置するのが望ましい。かん水施設であるが、設置等に費用がかかるもののスプリンクラーが便利である。スプリンクラーの設置にあたっては、まず水源の水量が十分になければならない。その上で傾斜などほ場の立地条件、ほ場面積等を十分に検討し、必要な水圧を得るためのポンプの性能、配管の太さ、ノズルの形式及び設置間隔を総合的に検討する必要がある。スプリンクラーのノズルはヘッドが回転しながら散水するタイプが現在では一般的で、仰角の可変機能を持ったものが望ましい。
ブドウの根は地温がおおよそ13℃以上で活動を開始すると言われている。超早期加温栽培では地温がこれより低いうちに被覆して生育を開始させるためにブドウ樹の地上部と地下部の生育に差が生じ、萌芽の遅れ、不揃いになりやすい。温湯かん水は、超早期加温栽培の被覆から加温開始までの無加温期間に冬場にボイラーで加熱したお湯をかん水し、地温の上昇を助けるものである。地温の上昇により加温開始までの無加温期間を短縮し、生育を早めることができる。
県内では大社町を中心に数十戸の農家で取り組まれており、被覆から萌芽までの期間を従来より1週間程度短縮することに成功しており、超早期加温における生育促進として有効である。方法は給水ポンプにより、水源からの用水を濾過器を通して給湯器に送り込み、沸かした湯をチューブまたは小型スプリンクラーで潅水する。給湯器は家庭用の風呂給湯器を用いるが、農業用の三相電気を利用する場合は専用のボイラーを使うようにする。10aのハウスでは38,000kcal程度の給湯器を2台用いるのが適当と考えられる。家庭用給湯器は周囲の酸欠により自動消化することがあるので、給湯器に排気用の煙突を設置する。
潅水する湯温は30℃程度がよい。また地温をできるだけ早期に上昇させるため、被覆したその日から潅水を開始したい。30℃の湯を7〜10日間潅水すれば、地温が20℃前後に達するのでこれ以後の潅水は必要ないと考えられる。萌芽後も温湯かん水を続けるとハウス内の湿度が上昇しブドウの生育に悪影響を及ぼすので控えた方がよい。
図2温湯かん水の方法



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