介護予防の原因疾患分析結果
平均自立期間に影響を及ぼす要介護状態になった原因疾患を介護保険申請データをもとに分析を行いました。対象は松江、雲南、浜田地区の介護保険者に協力を頂き、松江は平成15年10月時点、雲南・浜田は平成16年3月時点の60歳以上の介護保険申請者17,995人の結果を分析しました。なお、原因疾患の抽出方法については、当研究所が実施した「平成15年島根県における健康寿命の改善に関する研究」に基づき抽出しました。
<結果の概要>
◆男性は脳血管疾患の予防と喫煙対策が重要です。
○脳血管疾患、慢性閉塞性肺疾患をはじめとした肺疾患および新生物が女性に比べて多くありました。慢性閉塞性肺疾患は喫煙が主な原因であるため、新生物と共に喫煙が高齢になってからの男性の自立度低下の要因になっていると考えられます。
◆女性は、筋力向上や転倒防止対策、生活・労働環境の改善が必要です。
○筋骨格疾患は要支援から要介護度1で顕著であり、そのうち約4割を膝関節症が占めています。また骨折・損傷などの外的要因による障害が要支援から要介護度3までに多くみられました。また、痴呆は要介護度4・5で特に多く、女性の場合、膝関節症および大腿骨骨折が多いことから、これらの疾患が痴呆のきっかけになっている可能性が考えられます。
◆各地域に応じた対策が必要です。
○松江では、要介護度2以上において痴呆の割合が多くあり、痴呆の予防対策が必要です。
○雲南では、松江・浜田に比べ痴呆が少ないですが、60から79歳男性の脳出血が多いのが特徴的です。また骨折・損傷、筋骨格疾患が要介護度2以上で男女とも多くあり、脳卒中対策に加えて筋力向上、転倒防止対策、骨折対策が重要です。
○浜田では、要支援・要介護度1において筋骨格疾患が松江・雲南に比べ多く、また、脳出血、脳梗塞をはじめとした脳血管疾患が少ないのが特徴ですが、脳血管疾患の年齢調整死亡率をみると、他圏域より多いことから、発症後死亡に至る率が高いため介護状態になる割合が相対的に低くなっている可能性があり、今後脳卒中予防対策に加えて救急医療との関連を検討する必要があります。
※詳細は当研究所が実施した「平成16年度島根県における健康寿命の改善に関する研究報告書」をご覧ください。(PDF:1.5MB)
参考文献:「平成15年度島根県における健康寿命の改善に関する研究」
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