我が国は、火山等によるぜい弱な地質、多くの断層、急峻な地形等に加えて、台風や梅雨時期の集中豪雨など自然条件が厳しく、洪水や干ばつ、山崩れ、津波など甚大な被害に幾度となく見舞われてきました。
我が国の7割は森林で占められていますが、森林は木材等の林産物を供給する経済的な働きのほかに、様々な働きをもっており、これらの働きにより田畑や生活環境を守る役割を果たしている森林は古くから水持山や砂留山、留山と呼ばれ特別に保護していました。
このような考えを元に明治30年の森林法において制度化されたのが「保安林制度」です。
保安林制度は、森林の有する水源のかん養、災害の防備、生活環境の保全・形成等の働きに注目し、受益の対象との関係において特にそれらの公益的な働きを発揮させる必要のある森林を保安林として指定し、その森林の保全と適切な森林施業の確保を図ることによって、期待すべき働きの維持と増進を図り、公益的な目的を達成しようとするものです。