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県内産各種堆肥の品質

  資源環境研究部 土壌環境グループ  岡本 敏

  

 近年、有機質資源リサイクルの取り組みが進められ、堆肥の生産量が増加傾向にあります。そこで、県内で生産された堆肥184点を、主となる原材料をもとにして5種類に分類し、成分分析の結果によって特徴を比較しました。

 

  ○結果の概要

 バーク堆肥やオガクズ堆肥は炭素窒素比(C/N)の高いものが多く、それぞれ平均値は20程度でした。また、牛ふん堆肥のC/Nもバーク堆肥やオガクズ堆肥と同程度であり、豚ふんや鶏ふんの堆肥に比べると約2倍の値でした。これは豚ふんや鶏ふんの多くが単独で堆肥化されるのに対し、牛ふんはバークやオガクズ、稲わら等、C/Nの高い副資材と共に堆肥化されることが多いためと考えられます。C/Nは堆肥の腐熟度を示す目安となり、この値が高すぎると植物は窒素飢餓を起こしたり、未分解の有機物の害を受けることがあります。バーク堆肥のC/Nは3540以下が望ましく、家畜ふん堆肥では30以下、できれば20以下が望まれます。  豚ふん堆肥と鶏ふん堆肥は、窒素、りん酸、加里の3要素の比率が高く、特にりん酸が高いのが特徴です。このような肥料成 分が多い堆肥を利用する場合は、1回の施用量や連用回数に注意が必要です。特に水稲作では窒素分が多すぎると倒伏や食味悪化の原因となります。  3要素の他にも、堆肥に含まれる成分の中には土壌中に過剰に蓄積することによって植物の生育に悪影響の出やすいものがあり、肥料取締法で表示が義務づけられています。原材料に豚ふんが使われ、堆肥に含まれる銅が300mg/kg以上の場合や、豚ふんや鶏ふんが原材料で亜鉛を900mg/kg以上含む堆肥はそのことを表示しなければなりません。県内ではこれらの基準を超えた事例はありませんでしたが、基準値以上の場合は施用量に注意が必要です。 また、採卵鶏では餌に貝殻やカルシウムを添加することが多いため、鶏ふん堆肥に含まれる石灰が多く、表示が義務づけられている15%を上回る事例もありました。

 

堆肥の成分表 

 

 ○おわりに

  最近ではこれらの他に生ごみの堆肥化や、家畜のばっ気尿など液状物を活用する動きもでています。環境に負荷を与えることなく効果的に利用するために、表示されている主な原料の種類や成分値を考慮した適切な施用が求められます。

 

 [島根県農業技術センターだより第4号] 


アクロバット全文(アクロバットデータ)

 


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