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島根県で発見されたキュウコンコナカイガラムシ

 

2001年に安来市と伯太町で、2002年に益田市で、日本未記録のキュウコンコナカイガラムシ(PhenacoccusavenaeBorchsenius)が貯蔵中のスイセン球根から発見されました。(写真はAcrobatData参照)
このコナカイガラムシの雌成虫は翅がなく、体長約3mmで全身が白いワックスで覆われています。雄成虫には翅がありますが、口器がないため、羽化後数日で死亡します。本種の被害は貯蔵中の球根に成幼虫や卵嚢が寄生することや排泄物にすす病が発生することによる汚れです。現在までに本種の発生を確認しているのは貯蔵中の球根だけで、圃場で生育中のスイセンでの発生は確認していません。本種は最初、1949年にアルメニアのカラスムギ属植物の葉鞘で見つかり、その後、ハンガリー、イスラエル、イタリア、オランダ、トルコで見つかっています。本種の寄主植物はイネ科カラスムギ属の他、ヒガンバナ科ガランサス属、スイセン属等4属、アヤメ科クロッカス属、フリージア属等3属、ユリ科チューリップ属、ヒアシンス属等4属の植物が報告されています。
発育や増殖に関する情報は防除や生態を考える上で大切な情報です。そこで、本種の発育や産卵数を代替え餌(ソラマメ芽出し苗)で調べたところ、11.4度C以下では育たないこと、休眠がないと仮定すると本県では年間約4世代を経過すること、24度Cでは1世代が約37日、産卵数が約300個、1ヵ月後に89.2倍に増えることなどが判りました。また、防除については有機リン系殺虫剤2剤の球根浸漬が有効であることが判りました。
県内で本種が見つかった貯蔵場所やその周辺、寄生が確認された貯蔵球根が植え付けられていた圃場等で、発生調査を行いましたが、2003年5月末の時点では、再確認されていません。今後、本種の発生がどのように推移するのかわかりませんが、引き続き調査したいと考えています。

環境部病虫科奈良井祐隆

 [島根県農業試験場だより第103号2003年07月]


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