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カキ‘西条’果実の樹上軟化及び収穫後軟化発生の原因と対策

 

カキ‘西条’における果実の樹上軟化は、台風や落葉病等による早期落葉や外傷等のストレス要因で助長されると言われています。そこで、人為的な摘葉や環状はく皮処理による傷害ストレス及び湛水処理による水ストレスと果実の樹上軟化及び収穫後の軟化発生との関連性について検討しました。
樹体への傷害処理として9月上旬に9年生樹の主幹と主枝3本の基部の計4か所に約2cmの幅で環状はく皮処理をしたところ、樹上軟化発生率は各処理区の中で最も高く約20%でした。台風等による早期落葉を想定して9月上旬に樹全体の80%を摘葉した区と根に水ストレスを与えるため樹の周りに溝を掘り8月上旬から樹幹基部を1か月間水没させた湛水処理区での樹上軟化発生率を比較したところ、無処理区と大きな差は見られませんでした(表1AcrobatData参照)。
また、樹上軟化とは別に、収穫後の果実軟化も問題となっています。そこで、これと傷害または水ストレスとの関連を調査しました。その結果、樹上軟化がほとんど発生しなかった湛水処理区や20%程度であった環状はく皮区において非常に高い収穫後の軟化発生が認められました(表2AcrobatData参照)。
これは、台風や大雨等の自然災害で樹が傷ついたり、長期間冠水したりしても樹上軟化の多発に直結する要因とはなりませんが、収穫した果実の外観は正常であっても軟化しやすくなっていることが明らかとなりました。脱渋処理をすると軟化がさらに助長されることから、台風等で園に被害を受けた場合はエチレン吸収剤等の使用など軟化抑制対策をとる必要があります。また、樹上軟化や収穫後軟化の対策としては、長雨で根が湿害を起こさないように排水対策を行うことや台風等強風の被害に遭わないようにしっかり防風対策をすることが有効と考えられます。

園芸部果樹科松本敏一

 [島根県農業試験場だより第103号2003年07月]


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