有識者インタビュー2
遺伝子組換え作物研究や消費者の反応等の現状をどのようにお考えか
・BT戦略大綱等の国の方針を支持する
・食品については慎重な対応が必要
・食べるものでなければ、現在の評価基準で対応可能と考える
・副産物が混入する不安があるが、きちんとラベルを付ける、或いは規制をかける等の措置で食べたい人には受け入れてもらう、また不安な人には食べないよう区別する必要がある
・生態系への影響については(最終的な結論が出るまでに)時間がかかるが、それほど大きなダメージはないのではないか
・農薬は若干、環境に影響を与える場面があるが、人類には大きな貢献をしてきた
・農薬には逆風が吹いているが、その貢献に感謝しつつ、環境保全型農業を進めることでいいのではないか
・農薬と遺伝子組換え作物が同じような扱いになっている気がする
・組換え遺伝子が入っていると、あたかも毒のイメージがあるが、世界の食糧事情を考えれば、画期的な技術であると考える
・遺伝子組換えに反対する立場もわかるが、メリット、デメリットのバランスシートとして考え、個々の消費者の考えを優先すればいい
・正しく表示し、識別するようにする必要
・消費者も知識を持って不安視するのと、あまり知識を持たずに不安視するのとでは違う
・組換え技術は、有用遺伝子を組み込むだけなので、大きな影響があるとは考えにくい
・例えば殺虫効果のあるBtタンパクの組換えは昆虫には致死的であるが、人間には全く無害であり、その他の形質は通常の組換えをしていないものと全く変わらない。
・ヨーロッパで遺伝子組換え作物反対の動きがあったが、アメリカとの特許競争に負けて、遺伝子組換え反対であった場面もある
・多分に企業戦略に影響されている
遺伝子組換え作物研究や食品流通の将来像をどのように見たらよいか
・消費者利益につながるものも研究されている
・例えば本大学でもγアミノ酪酸(ギャバ)が入ったイネを研究中
・γアミノ酪酸含量は野生種米に多く、栽培米には少ない傾向
・高血圧、肥満症、杭ストレスに効果があると聞いている
・除草剤耐性よりは消費者に支持されると考える
・長寿で健康の源は医食同源。日本独特の食生活の中に野生種のものを入れることは支持されると思う
・当研究室も西条柿軟化対策として遺伝子組換え研究を行っている
・実用的品種育成だけでなく、シロイロナズナを素材とした研究で代謝マップが作成されるのに遺伝子組換え技術が役立ったように、植物の作用機作(メカニズム)解明といった学問的な研究の手段として活用できるがこうした研究により学問が進歩している
・形質転換体づくりを否定するのは科学の進歩にマイナス
・閉鎖した状況での研究により、SARS、AIDSの解明等、人類の幸せに直結する技術が出ている
・これまで以上に、PR、評価を行い、容認してもらう必要がある
県立研究機関としてどこまでの研究をするべきと考えるか
・自治体としても研究を行う方が望ましい。
・研究を凍結すれば技術者が育たない
・マニュアルだけでは技術は進歩しない
・現在の状況では、研究費ばかりかかって、メリットはないかも知れないが、国だけに任せては、研究員の数が足りない状況
・いろいろな分野をカバーするには数が必要
・県産品の発展(実学)にも遺伝子組換え研究が役だつことが望ましい
・県の健康食品プロジェクトにも、この成分が大切という基礎研究が役立つ
・これらの研究プロジェクトにこれらの研究を活かしたらどうか
農林水産技術会議が検討している方針についてどのようにお考えか
○育種研究の凍結について
・凍結しないでいただきたい
・実用品種を作るだけでなく、組換え技術を活用した研究によりお金がもうかる研究があるはず
○メロン研究の凍結について
・メロンについてはやむを得ないとも考える
・ただ、隔離ほ場レベルまで研究をし、安全性を確認してから凍結しても良かったのでは
・つくば等国の研究機関に安全性審査を委託する手もあるのでは
・県も事情を見ながら再開の手がある
・ヨーロッパでも研究推進への盛り返しも出ている
・花き等、食べるもの以外では、花粉を飛ばさない等の工夫の上、研究が進む
・凍結、推進の両方に軸足を置くことも大切
○ボタンの研究について
・(遺伝子組換え)ボタンは売れると思う
・絞り、日持ち性、耐高温性はボタンとして持たせたい機能
・ボタンが宍道湖沿いに咲いていれば観光立県としていいのではないか
・「ボタンでは他の追随を許さない」といった研究をしたらどうか
・花は国民の認知を得ることができる
○1年間で判断することについて
・県の最終判断は速すぎる。早くハッチを閉めるのは弊害がある
・目先の計算では冷え込む
・金にならないので止める、ではなく、活かす努力をする
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島根県農林水産部農林水産総務課
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