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島根県農業試験場研究報告第20号(1985年10月)p36-51

開発ブドウ園における草生導入法

 


 


小豆沢斉、高橋國昭、山本孝司


摘要

 地味のやせた土壌条件下において、開園時の有機物施用とその後の草生栽培によって、土壌の理化学性の変化とブドウ樹の生育、収量、窒素の吸収と流亡におよぼす影響について5年間試験を行った。試験は場内に設置したコンクリート製ライシメーター(3.5*4.0*l.5m)に花崗岩質砂壌土を充填し、2年生デラウェァ(自根苗)を植栽して行った。処理区は有機物草生、有機物無施用草生、有機物裸地の3区とした。

 

  • 5年間の累積収量は有機物草生区が最も多かった。

 

  • 新梢の生育は裸地区に比べて草生区が優れた。

 

  • 現存量は有機物草生区が最も多く、新生部の比率も高かった。

 

  • 樹冠占有面積1,000m2当たりの純生産は有機物草生区が1,144.0kg、有機物裸地区992.2kg、有機物無施用草生区894.2kgであった。有機物草生区は他区に比べて新根の分配率が極めて高かった。

 

  • 草の生産量は葉面積指数と負の相関があり、葉面積指数が3以上になると草の生産量は極めて少なくなった。

 

  • 草生区における深さ20cmまでの土壌物理性は裸地区より優れたが、下層では顕著な差は認められなかった。

 

  • 土壌の全炭素含有率は各区とも下層になるほど低くなったが、有機物草生区では表層土壌がとくに高かった。表層土壌の全炭素含有率は草の生産量に比例して高くなったが、有機物裸地区では年々低下した。

 

  • 土量1m3当たりの新根量は有機物草生区が0.50kgと最も多かった。

 

  • ブドウ樹の10a当たり窒素吸収量は有機物草生区が8.85kgと最も多く、3年目以後の流失量は最も少なかった。窒素の流失量は草生区より裸地区が多かった。

 

  • 有機物施用と草生を組み合わせると土壌の肥沃化を促進し、ブドウ樹の生育にも好影響を与え、造成当初の果樹園土壌管理法として優れたものと思われた。
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