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島根県農業試験場研究報告第10号(1972年12月)p1-28

 


水稲品種「ヤエガキ」「クニヒカリ」について


横井謙二郎、小村康治、神田正治、伊藤周三


摘要

 

1.「ヤエガキ」

 

  • 本品種は1955年当場で「農林29号」を母とし「綾錦」を父として人工交配を行ない、以来選抜と固定が進められ、1962年より「山陰70号」の系統名で関係府県に配布して地域適応性を検討した。その結果、1966年5月水稲農林178号として登録され「ヤエガキ」と命名された。

 

  • この品種の特性および適地等は次のとおりである。成熟期は近畿33号とほぼ同じで、マンリョウより5、6日晩く、当地では早生の晩に属する。稈長中位、中けつの中間型で、草は農林29号に似、草状熟色良く、穂は長く、粒着やや密の良穂で無芒、脱粒性は難である。

 

  • 玄米は中形、中粒で品質、食味とも良く、収量性は近畿33号程度で特に高くはないが、収量の安定性は高い。いもち耐病性は中位で近畿33号、マンリョウより強く、紋枯病、ごま葉枯病はともに中位、イネカラバ工にはやや強、白葉枯病にはやや弱い欠点がある。「ヤエガキ」は配布先の成績からみて東海、近畿、中国地域の平担部から山間部が適応地帯と考えられ、地力中庸地のほか、やや肥沃地に適する。ただ、いもち病、白葉粘病の多発地では栽培を避ける。

 

2.「クニヒカリ」

 

  • 本品種は1957年当場で「雲系1269」を母とし「綾錦」を父として人工交配を行ない、以来選抜と固定が進められ、1963年より「山陰72号」の系統名で地域適応性が検討された。その結果、1967年、水稲農林187号として登録され「クニヒカリ」と命名された。

 

  • この品種の特性および適地等は次のとおりである。成熟期は農林22号とほば同じで、当地では中生種に属する。稈長は中の長位。中けつの偏穂重型粳種で、草状は農林22号に似てやや大柄である。穂はやや長く粒着中、芒を有し脱粒は難である。

 

  • 玄米は中形やや大粒で、わずか腹白が見られ、品質は中上程度。搗精歩留まり、食味は良好である。収量は安定して高く、中生の主要対象品種に優る。

 

  • いもち病、白葉枯病、その他の病害虫抵抗性は特に強いとはいえないが、中位ないしやや強程度で、本品種の普及見込み地帯においては心配は少ないと思われる。

 

  • 本品種は配布先の試作成績から見て、東海、近畿、中国および四国の平坦部、中山間地帯が適応地と考えられ、地力中庸地のほか秋落地にも好適する。ただ、肥沃地、多肥栽培では倒伏が懸念されるのでさけたがよい。
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