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3.脱渋・貯蔵・加工

(1)脱渋

 甘がきは成熟してくると渋味を感じさせるタンニンが自然に不溶化して渋味がなくなるが,‘西条’は成熟しても熟柿にならなければタンニンが不溶化しないため,何らかの処理を行ってタンニンの不溶化しなければ生食用果実にはならない。このため,本県の出荷果実は選果後の箱詰め時に,ポリエチレン袋の中に果実と一緒にドライアイスを入れて脱渋を行っている。しかしながら,箱詰め時に昇華しやすいドライアイスを扱うので,その煩雑さが問題となっている。

 そこで,脱渋の手間や品質,日持ち性をよくするために,大量の果実を一挙に脱渋するCTSD(炭酸ガスを用いた恒温短期脱渋)法や貯蔵と脱渋を同時に行う低温脱渋方法等の実用化が検討されている。また,家庭で少量を脱渋する場合には湯抜きや焼酎等のアルコールを用いたりする方法がある。

 

  1. ドライアイスによる脱渋
    厚さ0.1mm程度のポリエチレン袋を使用し,果実10kgに対し,ドライアイス100g(重量比1%)を封入して脱渋する方法である。ドライアイスが昇華しやすいので,安全のため1%より若干多めに1.2〜1.3%のドライアイスを入れた方がよい。ただし,あまり多くすると開封時に果肉の黒変等の障害が出るので注意を要する。完全脱渋には4日程度を要する。脱渋に当たっては使用するポリエチレン袋に穴があいていないことを確認する。また,ドライアイスが直接果実に触れると凍傷による障害が出るので,直接果実に触れないようにドライアイスを新聞紙等で包み,さらにフルーツキャップをかぶせてから入れるとよい。
  2. CTSDによる脱渋
    かき果実をコンテナー等に入れ,大量に果実を密閉できる室に置き炭酸ガスを充填して脱渋する方法である。大量に脱渋する方法として,‘平無核’ではかなり以前から広く利用されている。‘西条’では炭酸ガスをほぼ100%封入後,室温を18〜20℃に設定して48時間密封した後開封し,その後さらに48時間後に完全に脱渋できることが島根県農業試験場の研究によって確認されている。

    炭酸ガス処理

  3. アルコールによる脱渋
    かき果実15kgに38%のアルコールを約150cc噴霧し密封して脱渋する。脱渋後の果実の食味はよいものの,軟化等が早まり日持ち性は劣る。果実5kg当たりに90g程度の粉末アルコールを使用して脱渋する。日持ち性がよいといわれているので,食味向上と合わせた実用化が期待されている。脱渋までの日数はドライアイス脱渋より長くかかり,脱渋の温度が低いと脱渋に要する期間はさらに長くなるので,11月以降には開封する時に特に注意を要する。
  4. 温湯脱渋(湯抜き)
    38〜40℃の温湯に果実を15時間程度浸漬して渋を抜く方法である。脱渋時間は短いが,高温と多湿のため,脱渋後の品質低下が著しく販売には向かない。
  5. 樹上脱渋
    樹上になったままの果実に対して,固形アルコール入れたポリエチレンの小袋をかぶせて,脱渋する方法である。‘平無核’では実用化されているが,‘西条’は軟化が著しく早くなり実用化していない。
  6. 包装脱渋
    果実を気密性の高いフィルム袋に密封し,果実の呼吸により排出される炭酸ガスを利用して脱渋する方法である。低温の条件と合わせれば貯蔵脱渋も可能なことから,今後の実用化が期待される脱渋方法である。

関連資料
農試だよりNo.87「西条柿の日持ち性向上対策(1999.3)」
ときめきNo.62「干し柿づくりに一工夫(1996.2)」


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〒693-0035 島根県出雲市芦渡町2440
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