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2.高品質安定多収技術

(1)‘西条’の好適樹相

e.Y字形棚整枝(Y字形)と変則主幹形整枝(変則主幹形)の比較

 かきの生産力を高めるためには、葉を園全体に均一に配置した葉面積指数を3.5〜4にして、光を効率良く利用し、葉面積を早期に確保して物質生産を高める。そして、その光合成産物をできるだけ果実に分配するために、新梢や旧枝の分配率を低下させることが必要である。そこで、この考え方に最も適合すると考えられる仕立て方として図3-10のようなY字形棚整枝や強制誘引開心形と考えられる。そこで、‘西条’のY字形と変則主幹形の生育状況と収量及び果実品質を比較してみた(表3-5)。
Y字形の新梢数は1,268本で変則主幹形より約1.6倍多く、平均新梢長はY字形がやや短かった。このため、Y字形は変則主幹形より早期に葉面積が拡大したものと考えられる。樹冠占有面積率は、Y字形が83.0%で変則主幹形に比べ1.5程度高く、また、土地面積当たりの葉面積指数もY字形が3.6で変則主幹形の2.89に比べ高い。このため、Y字形は変則主幹形に比べ葉面積指数が高い上に、園内は万遍なく葉で埋められていると考えられる。10a当たりの収量は、Y字形が3,570kgと変則主幹形に比べて約1.7倍多かったのに、果実品質では1果重、屈折計示度とも両整枝法では差がなかった。

 

 図3の10Y字形棚整枝

 

 

図3の10Y字形棚整枝発芽期の様子

 

表3の5Y字形と変則主幹形における生育収量及び果実品質

図3の11両整枝法における相対照度の分布

 次に、図3-11にY字形と変則主幹形における樹冠内の相対照度の分布を比較した。相対照度は両整枝法とも地上1〜1.5mで40%程度、1m以下で30%以下であった。相対照度が50%以下のブロックは、Y字形が27%で変則主幹形と大きな差はなかった。したがって、Y字形は変則主幹形よりLAIが0.7高いにも関わらず、樹冠内の相対照度にはあまり差がないことから、受光環境は良好と考えられる。これらのことから、棚仕立ては立木仕立てより樹冠内の受光環境が優れていると推察される。以上のことから、かきにおいてもY字形のような棚仕立てが生産性が高いと考えられる。



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