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2.高品質安定多収技術

(1)‘西条’の好適樹相

d.最適葉面積指数

 生態学的には、太陽エネルギーを最も効率良く受ける葉の重なり程度が最適葉面積指数で、この葉面積指数で物質生産が最大となる。一方、果樹栽培の目標は高品質な果実を連年多収することであるので、果樹の最適な葉面積指数は商品価値のある果実が連年多収できる葉面積指数と考えられる。

図3の8品種の違いがかきの最大純生産量に及ぼす影響

 まず、物質生産が最大となる最適葉面積指数について‘西条’、‘平核無’、‘富有’を用いて検討したのが図3-8である。最適葉面積指数は平核無が5.97、‘富有’が4.80、‘西条’が4.98である。そのときの純生産量は平核無が2,897kgと最も多く、次いで、‘富有’が2,237kgであり、‘西条’は1,989kgであった。平核無の葉面積指数が高く純生産量が多いのは、各品種の中で平核無の葉が最も小さいため、効率よく受光するためではないかと推察される。したがって、かきでは今年の母枝の充実や翌年の花芽形成を無視して、生態学的な最適葉面積指数は5前後と考えられる。

 

LAI4の葉の状態

 

次ぎに、果樹栽培上の最適葉面積指数についてみると、翌年の花芽形成や枝の充実に影響がないかぎり、物質生産が最も多くなる葉面積指数にしたほうが良い。‘西条’の生態学的な最適葉面積指数は5前後であったが、この葉面積指数では、新梢や母枝の充実が悪く、枝の枯れ上がり現象が見られ、連年果実を多収することは困難であった。一方、強制誘引樹の葉面積指数が4、後記のY字形棚整枝の葉面積指数が3.6で、両者とも果実収量が3.t/10a以上得られたことから、最適葉面積指数は3.5〜4にするのが良いと考えられる。

 

図3の9新梢長と葉面積及び葉数との関係

 

最適葉面積指数にもっていくためには、葉面積指数を測定する必要がある。図3-9に新梢長と葉面積の関係を示した。‘西条’は長い新梢でもほとんど副梢が発生しないため、新梢長と葉面積との間には、相関係数が0.941と非常に高い一次回帰式が適用でき、新梢長を測定することによって、葉面積を高い精度で推定することができる。したがって、かき園の葉面積指数は、最も代表すると思われる樹を選んで新梢長を図り、新梢長と葉面積の回帰式から樹当たりの葉面積を計算し、その値に10a当たりの植え付け本数を乗じ、それを土地面積の1,000m2で割って求めることができる。

 



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