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2.高品質安定多収技術

(1)‘西条’の好適樹相

a.高生産樹と低生産樹の比較

 本県の‘西条’園では、10a当たりの収量が100kg程度の低収園から3,000kgの多収園まで色々あり、その収量格差が大きいのが現状である。そこで、高生産樹と低生産樹の乾物生産や生育の違いを検討してみた。高生産樹は図3-1のような棚仕立てに近い10年生‘西条’の強制誘引開心形樹(強制誘引樹)で、低生産樹は7年生変則主幹形樹である。それぞれの生育や収量を表3-1に、年間の器官別純生産量を図3-2に示した。10a当たりの収量は高生産樹が3,390kgで低生産樹の1,552kgより2.2倍程度多く、1樹当たり、樹冠占有面積当たりでも多かった。10a当たりの純生産量は高生産樹が1,340kgで低生産樹より1.3倍多く、特に、果実と葉の乾物重が多かった。器官別分配率を図3-3で比較すると、高生産樹の果実分配率は43%と低生産樹より16%高かったが、逆に、新梢は2%、旧枝では9%、旧根では5%低生産樹が高かった。このように、高生産樹の収量が多かったのは、10a当たりの純生産量が多い上に果実分配率が高いためであった。

 

図3の1、かき西条の強制誘因開心形西条の各器官図3、高生産樹と低生産樹の比較結果

 生育状況について比較してみたい。まず、園内の葉の分布についてみると、高生産樹の樹冠占有面積率は97%で、園がほぼ樹冠で埋まっているのに対し、低生産樹は33%程度の空間があいていた。このため、樹冠占有面積当たりの葉面積指数は両者とも4程度であったが、土地面積当たりでは高生産樹が4と低生産樹より1.6倍高かった。次に、新梢の生育についてみると、高生産樹の平均新梢長は13.5cmと低生産樹の64%と短く、新梢数は低生産樹より1.3倍多かった。また、高生産樹の最も長い新梢は60cm程度であったのに対し、低生産樹は1m以上と長かった。さらに、高生産樹と低生産樹における旧器官の新生部の割合を比較すると、旧枝、旧根とも径が太くなるほど新生部の割合が低下したが、高生産樹はどの器官とも低生産樹の半分程度の比率であり、高生産樹は低生産樹ほど旧枝、旧根が肥大しなかった(図3-4)。図3の4、高生産樹と低生産樹における枝と根の太さ

 以上のことから、高生産樹の収量が多くなった第1の原因は、低生産樹に比べて、葉面積指数が高く、葉が園内にまんべんなく分布しているために純生産量が多くなったためである。第2として、高生産樹は短い新梢が多いために、新梢への分配率が低くなり、その上に、旧枝への分配率も低くために、果実分配率が高くなったからだと考えられる。

 したがって、かき樹において高品質果実を多く収穫するためには、単位土地面積当たりの純生産量を短い新梢で高めて、新梢、旧枝や旧根の消費生長を抑え、光合成産物を果実にできるだけ多く分配することが大切であると考えられる。

 


関連資料
 農試だよりNo.84「カキ‘西条’の高生産樹相(1998.7)」


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