第2章市町村国保の現状及び将来推計

1市町村国保の現状

 県内の市町村国保の被保険者の状況を全国比較すると、高齢者が多いため一人当たり医療費は高くなっています。一人当たり保険料(税)については全国39位と低くなっていますが、低所得者が多いため保険料(税)負担率(所得に占める保険料(税)の割合)は全国平均より高くなっています。

 また、保険者の状況をみると、小規模保険者が多いことや、財政的にみると近年は約半数の保険者の実質単年度収支が赤字になるなど財政運営が厳しくなっています。

(1)被保険者の状況

平成21年度末の被保険者数は172,651人で前年度に比べ4,095人減少(対前年度比2.3%減)しており、本県の総人口に占める割合は23.9%(前年度24.3%)となっています。

ア高齢者の加入割合

平成21年度の被保険者全体に占める前期高齢者(65歳以上75歳未満)の割合は39.3%で全国3位(全国平均:31.4%)と高くなっています。

年齢階層別の割合

出典:平成21年度国民健康保険実態調査

イ低所得者の割合

 平成20年の一人当たり所得は54.8万円で全国第30位(全国平均:70.4万円)と低く、平成21年度の保険料(税)軽減世帯割合は39.1%(全国平均:34.1%)と高くなっています。

ウ一人当たり医療費

平成21年度における一人当たり医療費は346,810円で全国第4位(全国平均:289,885円)と高くなっています。

エ一人当たり保険料(税)

 平成21年度における一人当たり保険料(税)は74,081円で全国第39位(全国平均:83,204円)と低くなっています。

オ所得に占める保険料(税)負担率

 平成20年所得に占める保険料(税)負担率は13.5%(全国平均:10.5%)と高くなっています。

(2)保険者の状況

 

ア保険者の規模

 被保険者数が3千人未満の保険者の割合は38.1%(全国平均:23.7%)と高く、約6割が5千人未満の小規模保険者となっています。

被保険者規模別の割合

出典:平成21年度国民健康保険実態調査

 

イ市町村間の格差

 平成21年の一人当たり所得額をみると、最高は631千円、最低は362千円であり、その格差は1.7倍となっています。

平成21度の一人当たり医療費をみると、最高は412,465円、最低は299,604円であり、その格差は1.4倍となっています。

 平成21年度の一人当たり保険料(税)をみると、最高は94,911円、最低は52,969円であり、その格差は1.8倍となっています。

 

1人当たりの所得額、医療費、保険料(税)の県内格差(H21年度)(単位:円)

保険料

所得額は平成22年度国民健康保険事業状況報告による速報値

 

ウ保険料(税)の別、賦課方式

 平成22年度の県内の状況は10市町が保険税、11市町村が保険料となっています。

 保険料(税)賦課方式については、9市町(被保険者割合:74.2%)が3方式※1、12市町村(被保険者割合:25.8%)が4方式※1となっています。

 

エ収納率の状況

 平成20年度は納税意識の高い75歳以上被保険者が後期高齢者医療制度に移行したこともあり、前年度より1.15ポイント減の94.19%(全国平均:88.35%)となりましたが、全国1位の収納率でした。平成21年度については94.17%(全国平均:88.01%)とほぼ全前年度並みで、平成22年度については、速報値ですが94.22%と若干ですが向上しています。

収納率の推移

 

※13方式は所得割、被保険者均等割、世帯別平等割、4方式は所得割、資産割、被保険者均等割、世帯別平等割の組み合わせにより保険料を算定

収納率

※保険料(税)には介護納付金分を含んでいない。

 

オ収支状況

 平成21年度における単年度収支状況は、歳入720億2千万円、歳出731億3千万円で、収支差引11億1千万円の赤字となっています。

市町村別に見ると、黒字は10市町村で2億7百万円の黒字額、赤字は11市町で13億2千2百万円の赤字額になっています。

 

カ基金の状況

 平成21年度末の市町村における基金の保有額は、61億7千万円で前年度から8億9千万円(対前年度12.6%)減少しています。平成21年度に基金の保有額が増加した市町村は12市町村(金額2億1千万円)で、減少した市町村は9市町(金額10億9千円)でした。

 5年前(平成17年度末)の基金保有額と比較すると22億7千万円(対17年度26.9%)減少しています。

 

キ特定健康診査・特定保健指導等の実施状況

 平成20年度特定健康診査の受診率は43.0%で全国第6位(全国平均:38.3%)で、特定保健指導の実施率は4.2%で全国最下位(全国平均:7.7%)となっています。

特定健診受診率全国比較

 

保健指導実施率全国比

 

 

2将来推計

 国保加入者(75歳未満)については、年々減少していく傾向にあり、20年後(平成42年度)には▲42,502人(▲25.1%)となり国保医療費も減少します。一方で後期高齢者(75歳以上)については、被保険者数が増加していくため、全年齢合計の医療費は人口減少しても増加する見込みとなっています。

 医療費については団塊の世代が後期高齢者となる平成37年度(2025年)にピークとなる見込みです。

 

被保険者推移

 (単位:人)

被保険者数

 

年齢階層別保険者数

(単位:人)

年代別被保険者数

 

医療費推計

 (単位:百万円)

医療費

 

【推計の前提条件】

〈被保険者数〉

国保被保険者数:国立社会保障・人口問題研究所「日本の都道府県別将来推計人口(平成19年5月推計)」による5歳ごとの年齢階層別人口をベースに、平成22年度の本県の国保加入者数を乗じて推計。

 75歳以上被保険者:国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口をベースに、島根県後期高齢者医療広域連合がまとめた被保険者数を乗じて推計。

〈医療費〉

 医療費水準や保険制度が現状のままとして推計。(医療費の伸びや診療報酬の改定を加味していない。)

 75歳未満の医療費:2010年5月診療分の医療費を基に、年齢階層別の1人当たり医療費を算定し、推計国保加入者数に乗じて推計。

 75歳以上:島根県後期高齢者医療広域連合がまとめた2010年度のデータを基に一人当たり医療費を算出し、推計人口に乗じて医療費を推計。

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