目次
前文
第1章総則(第1条−第7条)
第2章男女共同参画を阻害する行為の禁止等(第8条−第10条)
第3章男女共同参画の推進に関する基本的施策(第11条−第21条)
第4章島根県男女共同参画審議会(第22条−第26条)
第5章雑則(第27条)
附則
個人の尊重と法の下の平等は、日本国憲法にうたわれており、男女は、すべて人として平等であって、個人として尊重されなければならない。男女平等の実現に向けた取組は、「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」を軸として、国際的な取組と連動して展開されてきた。
島根県においては、国際社会や国の動向を踏まえて男女平等の実現に向けて様々な取組を進めてきた。しかしながら、社会のあらゆる分野において、性別による固定的な役割分担意識やそれに基づく社会通念、慣習、しきたりが根強く残っており、とりわけ、職場、家庭、地域社会においては、男女の平等が充分には実現されていない状況にある。
このような状況の中、少子高齢化の一段の進行をはじめとする社会経済情勢の急速な変化に対応し、豊かで活力ある島根県を築くためには、農山漁村が多く存在する本県の地域性にも配慮しつつ様々な取組を一層進めることにより、男女の人権が平等に尊重され、男女が性別にかかわりなくその個性と能力を十分に発揮し、責任を分かち合いながら多様な生き方を選択することができる社会を実現することが、最重要課題である。
ここに、私たちは、男女共同参画社会の実現を目指すことを決意し、県、県民、事業者が共通理解の下、相互に連携協力してその取組を推進するため、この条例を制定する。
第1条この条例は、男女共同参画の推進に関し、基本理念を定め、県、県民及び事業者の責務を明らかにするとともに、県の施策の基本的事項を定めることにより、男女共同参画を総合的かつ計画的に推進し、もって男女共同参画社会を実現することを目的とする。
第2条この条例において「男女共同参画」とは、男女が、性別にかかわりなく個人として尊重され、その個性と能力を十分に発揮する機会が確保されることにより、社会の対等な構成員として自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画し、ともに責任を担うことをいう。
2この条例において「積極的改善措置」とは、社会のあらゆる分野における活動に参画する機会についての男女間の格差を改善するため、必要な範囲において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。
3この条例において「セクシュアル・ハラスメント」とは、性的な言動によって相手方を不快にさせ、その者の生活環境を害すること又は性的な言動に対する相手方の対応によってその者に不利益を与えることをいう。
第3条男女共同参画の推進は、男女の個人としての尊厳が重んぜられること、男女が性別による差別を受けることなく平等に扱われること、男女が個人として能力を発揮する機会が平等に確保されること、男女間における暴力的行為(身体的又は精神的な苦痛を与える行為をいう。以下同じ。)が根絶されること、男女の生涯にわたる性と生殖に関する健康と権利が尊重されることその他の男女の人権が尊重されることを基本として、行われなければならない。
2男女共同参画の推進は、社会における制度又は慣行が男女の社会における活動の自由な選択に対して影響を及ぼすことがないよう配慮され、男女が性別による固定的な役割分担にとらわれることなく多様な生き方を選択することができることを基本として、行われなければならない。
3男女共同参画の推進は、男女が、社会の対等な構成員として、県又は民間の団体における政策、方針の立案及び決定に共同して参画する機会が確保されることを基本として、行われなければならない。
4男女共同参画の推進は、家族を構成する男女が、相互の協力と社会の支援の下に、家事、育児、介護等について家族の一員としての役割を円滑に果たし、かつ、社会生活における活動に対等に参画することができるようにすることを基本として、行われなければならない。
5男女共同参画の推進は、国際社会における取組と密接な関係を有していることを考慮し、国際的協調の下に行われなければならない。
第4条県は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、男女共同参画の推進に関する施策を総合的に策定し、及び実施するものとする。
2県は、社会のあらゆる分野における活動に参画する機会に関し、男女間に格差が生じていると認めるときは、積極的改善措置を講ずるよう努めるものとする。
3県は、男女共同参画の推進に当たり、県民、事業者、市町村及び国と相互に連携及び協力して取り組むものとする。
4県は、県民及び事業者が行う男女共同参画の推進に関する活動を支援するため、情報の提供、助言その他の必要な措置を講ずるものとする。
第5条県民は、基本理念についての理解を深め、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる分野において、男女共同参画の推進に積極的に努めなければならない。
2県民は、基本理念についての理解を深め、男女の性別による固定的役割分担意識に基づく制度や慣行を見直すように努めなければならない。
3県民は、県が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。
第6条事業者は、基本理念についての理解を深め、その事業活動を行うに当たっては、男女共同参画の推進に積極的に努めなければならない。
2事業者は、男女が職場における活動に対等に参画する機会の確保に努めるとともに、職業生活における活動と家庭生活における活動その他の活動とを両立して行うことができる職場環境を整備するよう努めなければならない。
3事業者は、県が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。
第7条県は、市町村に対し、県が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力することを求めることができる。
2県は、市町村に対し、男女共同参画の推進に関する施策の策定及び実施に関する技術的な助言を行うことができる。
第8条何人も、社会のあらゆる場において、男女共同参画を阻害する次に掲げる行為を行ってはならない。
一性別による差別的取扱い
二セクシュアル・ハラスメント
三男女間における暴力的行為
第9条県は、配偶者その他の親族関係にある者及び内縁関係にある者(過去においてこれらの関係にあった者を含む。)からの前条第3号に掲げる行為により被害を受けた者(以下この条において「被害者」という。)に対し、適切な助言、施設への一時的な入所による保護その他の必要な支援を行うものとする。
2前項の規定により被害者が一時的に入所するための施設として知事が別に定める施設の長は、前条第3号に掲げる行為が当該施設に入所している被害者に対して引き続き行われるおそれがあるときその他当該被害者を保護するために必要があると認めるときは、当該施設に入所している被害者からの申出により、次に掲げる措置をとることができる。
一当該被害者に対し前条第3号に掲げる行為を行った者(次号において「加害者」という。)に対し、当該被害者の存在を秘匿すること。
二加害者に対し、当該被害者との面会及び交渉を禁止し、又は制限すること。
第10条何人も、情報を公衆に表示するに当たっては、性別による固定的な役割分担、性別による差別、セクシュアル・ハラスメント及び男女間における暴力的行為を助長する表現を用いないように努めなければならない。
第11条知事は、男女共同参画社会基本法(平成11年法律第78号)第14条第1項の規定により男女共同参画社会の形成の促進に関する施策についての基本的な計画(以下「男女共同参画計画」という。)を策定するに当たっては、あらかじめ、広く県民の意見を反映させるよう努めるとともに、島根県男女共同参画審議会の意見を聴くものとする。
2前項の規定は、男女共同参画計画の変更について準用する。
第12条県は、その実施する施策の全般にわたり、男女共同参画の推進に配慮するものとする。
第13条県は、学校教育及び社会教育を通じて、人権尊重を基盤とした個人の尊厳、男女平等及び男女相互の理解と協力についての意識が育つよう必要な施策の実施に努めるものとする。
第14条県は、農山漁村において、男女が社会の対等な構成員として、事業経営及びこれに関連する活動並びに地域社会おける活動に参画する機会を確保するため、必要な施策の実施に努めるものとする。
第15条県は、県民及び事業者が基本理念に関する理解を深めるように、広報活動その他の必要な措置を講ずるものとする。
第16条県は、県民及び事業者の間に広く男女共同参画についての関心と理解を深めるとともに、男女共同参画の推進に関する活動が積極的に行われるようにするため、男女共同参画推進月間を設ける。
2男女共同参画推進月間は、毎年6月とする。
第17条県は、男女共同参画の推進に関する施策を策定し、及び実施するため、必要な調査研究を行うものとする。
第18条県は、男女共同参画の推進に関する施策を総合的に策定し、及び実施するため、必要な体制を整備するとともに、財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。
第19条県は、男女共同参画の推進に関する施策を実施し、並びに県民及び民間の団体が行う男女共同参画の推進に関する活動を支援するための拠点となる施設を設置するものとする。
第20条知事は、県が実施する施策に関する、男女共同参画についての県民又は事業者からの苦情の申出に対し、適切に処理するよう努めるものとする。
2知事は、前項の規定に基づく処理に当たっては、島根県男女共同参画審議会の意見を聴くものとする。
3知事は、性別による差別的取扱いその他の男女共同参画を阻害する行為についての県民又は事業者からの相談に対し、関係機関と連携して適切に処理するよう努めるものとする。
第21条知事は、毎年、男女共同参画の推進状況及び男女共同参画の推進に関する施策の実施状況をとりまとめ、公表するものとする。
第22条次に掲げる事務を行うため、島根県男女共同参画審議会(以下「審議会」という。)を置く。
一知事の諮問に応じ、男女共同参画の推進に関する基本的かつ総合的な施策及び重要事項を調査審議すること。
二県が実施する男女共同参画の推進に関する施策の実施状況について意見を述べること。
三前2号に掲げるもののほか、第11条及び第20条第2項によりその権限に属させられた事務
四前3号に掲げるもののほか、男女共同参画に関する重要事項について、知事に意見を述べること。
第23条審議会は、委員15人以内で組織する。
2男女のいずれか一方の委員の数は、委員の総数の10分の4未満とならないものとする。
3委員は、次に掲げる者のうちから知事が任命する。この場合において、第二号に掲げるものについては、4名以内とする。
一学識経験を有する者
二公募に応じた者
4委員の任期は2年とし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。ただし、再任されることができる。
5審議会に会長及び副会長を置き、委員の互選によってこれを定める。
6会長は、会務を総理し、審議会を代表する。
7副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるときは、その職務を代理する。
第24条審議会の会議は、会長が招集し、会長が議長となる。
2審議会は、委員の2分の1以上が出席しなければ、会議を開くことができない。
3会議の議事は、出席した委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
第25条審議会は、必要に応じ、専門部会(以下「部会」という。)を置くことができる。
2専門の事項を調査審議するために必要があるときは、部会に専門委員を置くことができる。
3専門委員は、知事が任命する。
4専門委員の任期は、専門の事項に関する調査審議が終了するまでとする。
第26条この章に定めるもののほか、審議会に関し必要な事項は、会長が審議会に諮って定める。
第27条この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
(施行期日)
1この条例は、平成14年4月1日から施行する。ただし、第20条第1項及び第2項の規定は、平成14年6月1日から施行する。
(経過措置)
2この条例の施行の日以後最初に開かれる審議会の会議は、第24条第1項の規定にかかわらず、知事が招集するものとする。
(島根県立女性総合センター条例の一部改正)
3島根県立女性総合センター条例(平成11年島根県条例第13号)の一部を次のように改正する。
題名を次のように改める。
島根県立男女共同参画センター条例
第1条及び第2条中「島根県立女性総合センター」を「島根県立男女共同参画センター」に改める。