松江市新ごみ処理施設建設に伴う環境影響評価準備書に係る知事意見

 本施設の整備にあたっては、万全の安全及び環境保全対策や、循環型社会形成に向けた中核施設、確実な安定稼働の確保等を基本理念として定め、環境影響評価が行われたところである。予測評価においては、本事業の環境影響は極めて小さいと評価されているが、環境保全の見地から以下の意見を述べる。

 

(総括的事項)

1.施設の稼働にあたっては、「運行管理マニュアル」に基づき、不測の事態や非定常時も含め環境保全措置を確実に実施する必要がある。

 

2.温室効果ガスの排出抑制に寄与する余熱利用等については、確実に実施する必要がある。

 

3.環境影響評価を実効あるものとするためには、予測の不確実性を考慮し、予測・評価の検証(以下「事後調査」という。)は不可欠であり、次の措置を講じる必要がある。

 

(1)事業に伴う周辺環境への影響を把握するため、大気汚染防止法・廃棄物の処理及び清掃に関する法律等においてなされる自主調査を、本事業の事後調査と位置づけ、調査結果を取りまとめ、事業実施区域周辺住民等への情報提供に努める必要がある。

 

(2)関係住民からの情報提供等の窓口を設置するなど情報交換を密にするとともに、現段階では予測し得ない環境影響が生じた場合などには、速やかに関係機関等と協議を行い、適切に対応する必要がある。

 

4.施設供用後の災害や異常発生時等に、迅速かつ適切な対応ができるよう防災計画を作成し、事業実施区域周辺住民等への情報提供に努める必要がある。

 

(個別的事項)

(大気質)

1.施設の稼働に伴うダイオキシン類、硫黄酸化物等の大気汚染物質の環境への影響については、発生源からの排出負荷量に大きく影響されることから、監視計画に基づき事後調査を実施し、周辺生活環境への影響について検証すること。

 

2.工事車両による粉じん対策については、必要に応じて現場出入り口周辺を清掃するなど道路周辺の環境保全に努めること。

 

(騒音・振動)

3.造成中における工事車両や施設供用後における廃棄物運搬車両の交通量増大により、騒音の影響が懸念されることから、次の措置を適切に講じ、環境影響の回避、低減が図られるよう万全を期すこと。

 

(1)工事中の防音パネル及び供用後の施設の防音壁の遮音効果について評価し、環境影響評価書に記載すること。

 なお、防音壁の敷設に当たっては使用する防音壁の材質も含め、十分に検討を行い適切な施工を行うこと。

 

(2)工事騒音が最大となる時期の建設作業騒音及び供用開始後の廃棄物運搬車両による騒音の影響について事後調査を行い、必要に応じ適切な措置を講じること。

 

(水質)

4.工事中の沈砂池及び供用後の調整池については、適切に管理するとともに、環境監視計画に基づき定期的に調査し、事業実施区域周辺住民等への情報提供に努めること。

 

(生態系)

5.「生物に影響なし」と判断した根拠を評価書に記載し、参考文献があれば巻末に整理すること。

 

(景観・人と自然のふれあいの場)

6.緑地公園は、健康運動・余暇運動の場であり、地域のコミュニティー活動の場として利用できるほか気温調節・大気汚染防止等の環境衛生的効果や生物の生息環境としての自然環境保全などの多面的な機能を持つことから、この整備に際しては、このような機能を考慮した計画とすること。

 

(廃棄物)

7.ガス化溶融炉の排出物のうちスラグについては、適切な技術力を用いれば資材としての有効利用の可能性が高いので廃棄物になる量を極力減量すること。

 また、溶融飛灰には重金属類が濃縮されるので、処分等にあたっては厳重な管理が必要であり、その時点での最新の安定化処理技術等を取り入れることも検討し、重金属の自然界への拡散防止に十分配慮すること。

 工事に伴う副産物である木くずや土砂等の搬出量、搬入量、再利用量、処分量及び搬出入方法等については環境保全上の支障が生じないよう、施工前に十分な検討評価を行い、周辺の生活環境影響について万全を期すこと。

 

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