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県内大学生による起業家情報の発信事業

 県内の起業に関心を持っている方等に向けて、県内起業家の魅力などを情報発信するため、島根大学法文学部の学生10人と島根県立大学総合政策学部久保田典男研究室の学生12人の計22人により、起業家や創業者を直接取材し記事作成を行う事業を実施しました。

 なお、この事業では、大学生が起業家や創業者への取材経験により、起業への想い、島根で起業する理由など、起業家マインドを学ぶ機会にもつながっています。また、記事作成にあたっては、ローカルジャーナリストの田中輝美様と本宮理恵様(株式会社MYTURN)に学生への指導、監修に携わっていただいたことも特徴となっています。

 起業家や創業者のお話を伺い、学生が何を感じたのか、是非ご覧ください。

 

取材先

 ベッカライコンディトライヒダカ

 代表

 日高晃作様

 

石見銀山の町、大森の流れを作るドイツパン

ベッカライコンディトライヒダカ代表

 

 世界遺産の石見銀山を持つ大田市大森町にある人気ベーカリー「ベッカライコンディトライヒダカ」。幼い頃からものづくりに興味があった日高晃作さんは文化財を学ぶ大学へ進みました。しかし、何かが違うと中退しパン屋でバイトを始めるとパン作りの魅力に取り憑かれます。ドイツで修業し、ドイツ製パンマイスターの資格を取得。日高さんが作る本格的なドイツパンや大森の恵みを生かしたパンは町の流れを作ります。つながりを大切にする日高さんにお話を聞きました。

 

■事業内容について教えてください。

 本格的なドイツパンやドイツパンの伝統的な作り方を押さえつつ地元の食材を柔軟に取り入れたパンを製造、販売しています。お店のロゴマークであるブレッツェルは1日100個売れる人気商品です。バレンタインやクリスマスになると製菓マイスターを持つ妻がチョコレートやケーキを作り、販売しています。大森の素材を取り入れたパンを全国の人たちに知ってもらうために東京のイベントにも参加しています。地元に根差して全国に向けて作っていけたらなと思っています。

 

■起業されたきっかけについて教えてください。

 元々、中村製パン店だったのですが、そこが閉店してから中村ブレイスが古民家再生活動の一環として物件ごと買い取り、中村ブレイス社長から「ここでパンを作ってください」というお話を頂きました。下見に行くと、すでに工事が始まっており、そこからすっかりやる気になりました。純粋にドイツパンを作っていこうということで始めました。また、島根県は東京とは違って話題が少ない分注目されやすく、新聞や口コミなどで拡散していくのでとても良いです。

 

■起業されて大変だったことを教えてください。

 初めはスタッフがいなかったのですが、中村製パン店で働いていた人とつながりもあり、積極的に声掛けをしてスタッフを集めました。島根は業者が少ないため材料の調達が難しいです。調達できないものは東京や岡山の知り合いの業者に送ってもらいます。大森町は石見銀山があり観光地でもありますが、季節や天候にも左右されお客さんの波が激しいです。しかし、お客さんの少ない時期にはパンに使う農産物の収穫や加工など忙しい時期にはできないこともできるので、常に忙しいよりは良いと思っています。

 

■今後のビジョンや目標を教えてください。

 支店を増やすことや通販はしたくなくて、大森だけどわざわざ行く価値のあるお店を作っていこうと思っています。また、大森の他のお店にも足を運んでほしいので、お昼ご飯になるような総菜パンは少なく、入れたてのコーヒーなどのサービスはしていません。ここでパンを買ってもらって、持ち込みができる他のお店でコーヒーを頼んでもらって一緒に召し上がってもらえるような紹介もしています。そうすると町としての流れができ、それぞれのお店にとっても良いと思います。

 

■会社概要

・創業年…2015年

・会社名…ベッカライコンディトライヒダカ

・代表…日高晃作

・所在地…島根県大田市大森町ハ90-1

・業務内容…パン、菓子卸売

 

 

■取材後記

(島根県立大学)島林志帆

 今回、日高さんに取材をさせていただき、町の繋がりや地元の人たちとのつながりをとても大切にしておられる方で、きっと大森町への愛が深い方なのだろうなと感じました。ベーカリーなど経営する際、利益に目が行きがちになりそうですが、支店は増やさず自分が作ったパンを食べてほしいというこだわりを持ち、通販サービスなどもせず大森町まで行く価値のあるお店、パンを目指しておられて、また自分のお店だけではなく他のお店と共存し大森町全体の流れを作ることを考えておられて、とても感心させられました。自分のお店、パンに誇りを持ち、町を巻き込んで大森町を盛り上げていこうとしている姿がとてもかっこいいと感じました。日高さんは、経営していく中で、利益だけを求めず、自分のこだわりを持ち、人や地域との繋がりを大切にしておられました。

 私は、大学を卒業したら就職をしようと考えています。就職する上で、給料や待遇などは大事ですが、やはり一番に大事なのは自分にとってやりがいのある仕事をするということだと感じました。日高さんの自分の仕事にやりがいや誇りを持ち、様々なことに挑戦していく姿は、これから働く上で目標にしてきたい働き方だなと思いました。

 


お問い合わせ先

中小企業課

〒690-8501 島根県松江市殿町1番地
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・金融係(県内中小企業に対する融資、貸金業法及び割賦販売法、信用保証協会などに関すること)TEL:0852-22-5883
・管理係(高度化資金などに関すること)TEL:0852-22-6203
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