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県内大学生による起業家情報の発信事業

 県内の起業に関心を持っている方等に向けて、県内起業家の魅力などを情報発信するため、島根大学法文学部の学生10人と島根県立大学総合政策学部久保田典男研究室の学生12人の計22人により、起業家や創業者を直接取材し記事作成を行う事業を実施しました。

 なお、この事業では、大学生が起業家や創業者への取材経験により、起業への想い、島根で起業する理由など、起業家マインドを学ぶ機会にもつながっています。また、記事作成にあたっては、ローカルジャーナリストの田中輝美様と本宮理恵様(株式会社MYTURN)に学生への指導、監修に携わっていただいたことも特徴となっています。

 起業家や創業者のお話を伺い、学生が何を感じたのか、是非ご覧ください。

 

取材先

 ダムの見える牧場

 代表

 大石亘太様

 

牛と家族を愛し、ゼロからの場づくり

ダムの見える牧場(大石氏&看板)

 

 奥出雲町と雲南市の間、尾原ダム沿いで放牧酪農を行っている大石亘太さん。農家出身ではありませんが、大学生のときに隠岐の島を訪れ、放牧酪農に魅せられました。放牧酪農家になる夢は大学卒業直後には叶わず、山口県で就職。しかし、木次乳業の放牧酪農家の募集に応募し、仕事を辞めて奥出雲町にUターン。「牛と家族以外は捨ててきてしまったので。仕事辞めたときに」。現場経験はUターン後のたった2年間の研修のみで、奥出雲町で放牧酪農を始めました。

 

■事業内容を教えてください

 僕は酪農家で乳牛を飼育し、牛乳を生産しています。牛を放牧することをメインに据えて経営しています。そのほか、子どもたちが牧場に来て動物とふれあう、酪農教育ファームっていうのをずっと趣味でやっていて、子どもたちの受け入れは随時やっているんです。これは経営的な観念とか儲けとかじゃなくて単純に好きで。他業種の方とのプロジェクトでは今、島根大学里山管理研究会さんとの焼畑をかなり重点的に行っています。

 

■放牧酪農に興味を持ったきっかけと、奥出雲町で放牧酪農を行おうと思った理由は何ですか

 大学生のときに隠岐の島に遊びに行ったら、普通に道路上で牛が寝ていて「すぐそこに牛がいる」という体験が強烈で、牛の放牧を研究しました。研究する中で、端的に言うと放牧酪農をしている方がすごく楽しそうだったんです。今でも放牧酪農を続けているところは少ないです。島根では木次乳業さんが新しく放牧を取り入れた経営を始めたいと考えておられて、その場所がここでした。木次乳業さんが放牧したい人を募集されて、僕はそれに応募した1組です。

 

■苦労した点を教えてください。

 奥出雲町で酪農を始めるとき、最初は酪農をやめられる方の牛舎の牛を丸ごと貰ってきたんです。放牧してみたら、放牧特有の病気にかかって牛がいっぱい死んだので、それはすごく苦労しましたね。あと今でも苦労しているのは牛乳や牛のコントロールがききにくいことです。放牧すると乾燥した草ではなく、それよりも水分含量が多い生草を食べるので、乳脂肪分が低くなってしまうので、ちょっとお値段が下がってしまう。その克服が課題です。

 

■今後の展望やこれから行いたいことを教えてください

 6次産業化ですね。商品開発、加工品販売。目標はそこに置いています。木次乳業さんから仕入れた商品、あるいは自分のところでシュークリーム、ソフトクリームをつくり、そのようなお菓子類を販売しようかなと。もし実現したら牛の放牧を見ながらソフトクリームが食べられますよ。牛舎のある丘の向こうに空き地があって、そこに店舗を建てようと思っています。牛の放牧の風景を活かして、全体としてお客さんが来て遊ぶような空間をつくりたいです。

 

■会社概要

・創業年・・・2014年

・会社名・・・ダムの見える牧場

・代表・・・大石亘太

・所在地・・・島根県仁多郡奥出雲町佐白529-1

・業務内容

 ホルスタイン38頭、ブラウンスイス約10頭を放牧し、牛乳を生産している。放牧酪農の6次産業化、島根大学「焼畑研究会」と合同での竹林の焼畑に取り組み、酪農教育ファームという牛の写真を撮る、絵を描くなどの地域の子どもの受け入れも行っている。尾原ダム周辺でイベントが行われる際には、バター作りや牛のふれあい体験も催している。

・HP・・・s-orochi.org/ushi/(外部サイト)

 

 

■取材後記

(島根大学)大庭菜瑛子

 私の家族は牛乳大好き人間です。好きすぎて酪農家を志望する人もいます。そのため私は大石さんへの取材をとても楽しみにしていました。取材の前に大石さんのことを調べていくなかで驚いたことは、就農されたばかりなのに、家族と1人の従業員の方、そして地域の方と焼畑や野外活動の場を作る取り組みも行われていることです。もはや大変というレベルではないだろうと思いました。

 しかし取材で実際に大石さんにお話を聞いていて感じたのは、もちろん、大変なことや苦労したことも話して頂いたのですが、それよりもとても楽しそうだということ。大石さんがそれぞれの取り組みについて「損得抜きで面白がってやっているので」「面白いかなあと思って」と笑顔でおっしゃっていたことが印象的でした。そして今や私も大石さんがつくっておられる、自然のなかで酪農だけでない、さまざまな体験ができる牧場に行きたい1人です。農家出身の方が多い、酪農という世界に飛び込み、「面白そう」「好き」という気持ちで開拓を進める大石さんを見て、その気持ちこそ真っ直ぐで丈夫な柱だと感じました。私の場合はそれが何なのか、自分を見つめなおすきっかけになりました。

 

大石氏(ダムの見える牧場)


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