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島根県養蜂ガイドライン

はじめに

令和4年2月8日

 島根県農林水産部農畜産課

 

 島根県では、広葉樹林やレンゲ、そばなどを利用して養蜂が行われています。

また、養蜂は、蜂蜜、蜜ろう及びローヤルゼリー等の生産だけでなく、農作物等の花粉交配において重要な役割を果たしています。

県では、養蜂業の振興を図るため、蜜源植物の分布に配慮した蜂群の適正な配置調整や、蜜蜂の病気に対する検査等の防疫業務を実施しています。

 

 養蜂振興法においては、養蜂業者以外の趣味養蜂家等についても飼育状況の届出義務が課せられるとともに、蜜蜂の飼育者に対して蜜蜂の適切な管理が求められています。

具体的には蜜蜂の飼育者は、蜜蜂の飼養管理に十分に注意し、腐蛆(ふそ)病をはじめとした蜜蜂の病気のまん延防止に努める必要があります。

 また、蜜蜂は半径2~4kmの範囲から蜜を集めるといわれており、趣味で蜜蜂を飼育する場合においても、巣箱を設置する場所は、周辺に十分配慮して、住民や他の蜜蜂飼育者とのトラブルを起こさないよう注意が必要です。

 

 近年、県内において、新規蜜蜂飼育希望者が増えており、それに伴い関係機関に対する養蜂の問合せが増加しています。そこで今回、蜜蜂の飼育を行う際の留意点等を取りまとめたガイドラインを策定しました。

県内で蜜蜂を飼育される場合は、養蜂振興法及び養蜂振興法施行細則、並びに蜜蜂についての腐蛆病まん延防止規則等の関係法令を遵守するとともに、本ガイドラインを参考に蜜蜂の飼育が適切に行われるよう御協力をお願いします。

 

近年、県内において、新規蜜蜂飼育希望者が増えており、それに伴い関係機関に対する養蜂の問合せが増加しています。

そこで、「島根県養蜂ガイドライン」を策定し、蜜蜂の飼育を行う際の留意点等を取りまとめました。

1養蜂を始める前に

蜜蜂のことをよく学びましょう

近年、趣味などで養蜂を始める方が増えています。蜜蜂を購入する前に、養蜂に関する書籍や蜜蜂購入先の業者などから、蜜蜂の飼い方などを事前に情報収集してください。

なお、一般社団法人日本養蜂協会のホームページに養蜂マニュアルが掲載されていますので、参考にしてください。

 

〇飼育する場所が適切かどうか検討しましょう

住宅地の中や学校の通学路の付近などに巣箱を置くと、人を刺したり、ふんの害が発生する可能性があります。近隣の方とトラブルにならないよう、巣箱を置く場所には気を付ける必要があります。

 また、蜜蜂は植物の花から蜜や花粉を収集しますが、地域の花の量(蜜源)には限りがあります。近くに他の飼育者が巣箱を置いている場合は、蜜源が競合し、お互いの損失となる可能性があります。状況によっては、飼育場所や群数などを当事者間で調整する必要があることを御了承ください。

 

〇法律等に基づく手続きをしましょう

蜜蜂を飼育する場合は、県知事へ飼育届の提出が義務付けられています。また、都道府県を越えて巣箱を移動させる場合は、転飼許可が必要です。

それぞれの手続きを、次ページ以降に記載していますので、必ず行ってください。

 

〇農薬使用者への飼育情報提供に関する同意書を提出しましょう

農薬の影響によって、蜜蜂が死んでしまう場合があります。これを防ぐため、飼育届の提出に併せて、同意書の提出を推奨しています。

提出いただいた場合には、無人航空機を使用して散布を行う主体(無人ヘリコプターは全ての実施主体、ドローンは情報提供を希望する任意の実施主体)に対して、巣箱の位置情報等を提供し、散布に際して被害軽減対策の徹底を呼びかけるほか、養蜂家に対し、農薬散布情報を提供するよう散布主体に依頼しております。

養蜂者イラスト

2蜜蜂の飼育に必要な手続き

1蜜蜂飼育届

対象者

 蜜蜂を飼育する場合は、養蜂振興法第3条第1項の規定に基づく届け出(12ページに様式掲載)が必要です。

提出された飼育届は、県内における蜜蜂の飼育状況を把握し転飼許可を行う際の蜂群の配置調整の参考にするとともに、伝染病のまん延防止対策等に活用します。

 蜜蜂の「飼育」とは「蜂群、蜂蜜等に対し、所有または占有の意思を持って、巣箱・巣洞等の設置、給餌の実施、投薬等の行為のいずれかを行うこと」を言います。

セイヨウミツバチ、ニホンミツバチに関わりなく巣箱を設置して蜜蜂の飼育を行おうとする場合は、届出の対象となります。

なお、農作物の花粉交配のために花粉交配に必要な期間のみ蜜蜂を飼育する場合は、届出の対象外となります。

 

届け出提出フロー


 

提出先

お住まいの市町村に提出してください。

 

提出期日

 お住まいの市町村が定める日までに提出してください。また、締切後に飼育する計画となった場合もその都度提出をしてください。

 (届出内容に変更がない場合でも、毎年提出が必要です。)

提出時の留意事項

新たに飼育を開始する、前年よりも増群する又は飼育場所を変更する場合には、近隣の住人及び蜜蜂飼育者とよく話し合って、蜂群の設置に支障が無いことを確認した上で、飼育届を提出してください。

なお、近隣の蜜蜂飼育者等、不明な点等があれば、飼育届を提出する市町村に御相談ください。

記入要領

新たに飼育を開始する、前年よりも増群する又は飼育場所を変更する場合には、近隣の住人及び蜜蜂飼育者とよく話し合って、蜂群の設置に支障が無いことを確認した上で、飼育届を提出してください。

なお、近隣の蜜蜂飼育者等、不明な点等があれば、飼育届を提出する市町村に御相談ください。

届出内容の変更

届出内容に変更があった場合は、速やかに変更届をお住まいの市町村へ提出してください。

2転飼許可申請

(1)定義

「転飼」とは、「都道府県を越えて採蜜や越冬のために、蜜蜂を移動して飼育すること」をいいます。

蜜蜂の転飼を行う場合は、転飼をしようとする場所の都道府県知事の許可を受けなければなりません。(養蜂振興法第4条第1項)

 ※許可申請にあたっては、事前に転飼予定先の地元の養蜂協会とよく話し合って、蜂群の設置に支障がないことを確認しましょう。

転飼イメージ

申請手続き

都道府県を越えて転飼をしようとする場合、転飼を行おうとする前年度の11月末日までに、転飼許可申請書(16ページ)に巣箱を設置しようとする土地の土地使用承諾書(17ページ)を添付して申請を行ってください。

申請には手数料が必要です。(1場所あたり150円/群、16群以上は何群でも2,300円)

県は、転飼調整会議で市町や関係者から申請内容に対する意見を聞いて調整した後、許可妥当と認められたものについて許可証を発行します。転飼調整会議は年1回、転飼を行う前年度の2月上旬に開催しますので、新たに転飼許可申請を行う場合は、あらかじめ、転飼予定先の都道府県の畜産主務課へお問い合わせください。

 〇転飼許可スケジュール
11月末まで転飼許可申請書の提出

 2月中旬県転飼調整会議
 3月下旬許可証の発行

腐蛆(ふそ)病の検査証明

転飼で都道府県の区域を越えて移動しようとする場合は、事前に家畜伝染病予防法に基づく検査を受けなければなりません。移動前に飼育の場所を管轄する家畜保健衛生所に依頼して腐蛆病の検査を行い、検査証明書の発行を受けてください。転飼先都道府県によっては、家畜保健衛生所への検査証明書の提出が必要な場合がありますので、転飼先を管轄する家畜保健衛生所の指示に従ってください。

3蜜蜂飼育に当たっての留意点

マナーを守って飼育しましょう

蜜蜂の飼育によって、蜜蜂に刺されたなどの苦情やふん害などのトラブルが発生しています。蜜蜂を飼育するときは、周辺に十分に配慮し、社会的なマナーを守って事故やトラブルの防止に努めてください。特に住宅地での飼育は周辺の住民への配慮が必要です。民家や道路の近くには巣箱を置かないようにしましょう。


 

【苦情の事例】

 

 ○分蜂(巣分かれ)した蜜蜂や、逃げた蜜蜂が敷地や家に入ってきた

 ○蜜蜂が近くを飛んでいて怖い

 ○蜜蜂のふんで洗濯物や車などを汚された

 ○蜜蜂に刺された

 ○蜜蜂の巣箱にスズメバチが来て怖い


 

蜜蜂の病気に注意し、健康な蜂を飼いましょう

蜜蜂の病気

蜜蜂には、家畜伝染病予防法で定められた疾病があります。蜜蜂に元気がない、大量に死ぬなど伝染病が疑われる場合には、速やかに最寄りの家畜保健衛生所に連絡してください。

 家畜伝染腐蛆(ふそ)病(アメリカ腐蛆病、ヨーロッパ腐蛆病)

 届出伝染バロア症、チョーク病、アカリンダニ症、ノゼマ症

動物用医薬品の使用等について

 現在、日本で承認されている蜜蜂用の動物用医薬品は、アメリカ腐蛆病とバロア症(ミツバチヘギイタダニ)用の薬剤のみです。これらの薬剤は、使用者が遵守すべき基準が定められていますので、用法用量、薬剤を使用できる期間を遵守し、適切に使用しなければなりません。

また、動物用医薬品を使用した場合は、使用記録を付けて販売後1年以上は保管に努めてください。

日本で承認を受けていない薬剤や、蜜蜂への使用が承認されていない医薬品の使用は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」で禁止されていますので、絶対に行わないでください。

 蜂蜜等へ基準値を超えた動物用医薬品の残留が判明した場合、その蜂蜜等の回収・廃棄を生産者で行うこととなり、人で健康被害が発生した場合には、生産者が責任を問われることとなります。

 

【動物用医薬品の使用記録を付ける内容】

動物用医薬品のデータベースは、農林水産省動物医薬品検査所のホームページに掲載されていますので、参考にしてください。

病気や薬の正しい知識を身につけ、健康な蜜蜂を飼育し、安全な蜂蜜を生産しましょう。

 

蜂蜜を販売するときは

蜂蜜は食品として食品衛生法の対象となり、農薬や医薬品等が一定基準以上残留したものは流通させることができません。また、蜂蜜を販売する場合には、養蜂振興法第7条及び食品表示法に基づく適正な表示を行う必要があります。

クマ対策をしましょう

クマによる蜂場への被害を防ぐためには、周囲の環境整備及び電気柵による確実な被害防除対策の実施が必要不可欠です。電気柵を設置する場合は、適切な張り方、設置後の継続的な維持管理(草刈り等)を実施しなければ、クマが侵入してしまいます。詳しくは、一般社団法人日本養蜂協会が作成している「養蜂技術指導手引き書(クマによる被害防除対策)」に記載されています。

 ※電気柵設置上留意すべき重要事項の整理図参照

 

参考資料

一般社団法人日本養蜂協会では、養蜂家向けの本や資料を作成しています。
養蜂技術指導手引き書についても掲載されていますので、参考にしてください。

○一般社団法人日本養蜂協会http://www.beekeeping.or.jp/外部サイト

○養蜂のための本http://www.beekeeping.or.jp/technology/外部サイト

 

資料引用元

平成30年度産地活性化総合対策事業養蜂等振興強化推進事業(全国推進事業)

養蜂技術指導手引書クマによる養蜂被害防除(改訂版)平成30年11月発行

 

養蜂振興法について

 

4問い合わせ一覧

養蜂振興に関する窓口

飼育場所

名称

TEL&FAX

海士町・西ノ島町・知夫村・

隠岐の島町

隠岐支庁農林水産局

(隠岐郡隠岐の島町港町塩口24)

TEL:08512-2-9637

FAX:08512-2-9657

松江市・出雲市・安来市・雲南市・奥出雲町・飯南町

東部農林水産振興センター

(松江市東津田町1741-1)

TEL:0852-32-5646

FAX:0852-32-5643

浜田市・益田市・大田市・江津市・川本町・美郷町・邑南町・津和野町・吉賀町

西部農林水産振興センター

(浜田片庭町254)

TEL:0855-29-5595

FAX:0852-29-5591

蜜蜂の病気に関する窓口

飼育場所

衛生所名

TEL&FAX

松江市・安来市

松江家畜保健衛生所

(松江市東出雲町錦浜474-2)

TEL:0852-52-5230

FAX:0852-52-3377

海士町・西ノ島町・知夫村・

隠岐の島町

松江家畜保健衛生所隠岐支所

(隠岐郡隠岐の島町港町塩口24)

TEL:08512-2-9690

FAX:08512-2-9657

出雲市・雲南市・奥出雲町・

飯南町

出雲家畜保健衛生所

(出雲市神西沖町918-4)

TEL:0853-43-7900

FAX:0853-43-2801

浜田市・大田市・江津市・川本町・美郷町・邑南町

川本家畜保健衛生所

(川本町大字川本265-3)

TEL:0855-72-9805

FAX:0855-72-9811

益田市・津和野町・吉賀町

益田家畜保健衛生所

(益田市昭和町13-1)

TEL:0856-31-9730

FAX:0856-31-9739

飼育届、転飼許可申請等の窓口

島根県農林水産部畜産課(松江市殿町1番地)

TEL:0852-22-5135

FAX:0852-22-6043


お問い合わせ先

畜産課

〒690-8501 島根県松江市殿町1番地
電話:0852-22-6826
FAX:0852-22-6043
E-mail:chikusan@pref.shimane.lg.jp