• 背景色 
  • 文字サイズ 

教育長訓辞:令和2年度新規採用教職員辞令交付

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から、辞令交付式を中止いたしましたので、書面によりお届けします。

 

 本日、島根県の教職員としての第一歩を踏み出されました皆様に心からお祝いを申し上げます。島根の将来を担う子どもたちの教育という重要な使命を担って、着実に歩みを進めていただきたいと思います。 

 

 島根県教育委員会では、島根の子どもたちが、自らの将来に向けて幸福で主体的な生き方を実現できるよう、また、よりよい社会の担い手になっていけるよう、発達段階に応じたきめ細かな教育を進めています。まず、こうした島根県が目指している教育の姿について述べたいと思います。

 島根県だけでなく我が国全体で人口の減少や高齢化が進む一方で、人生100年時代や超スマート社会あるいはSociety5.0の到来に向け、人工知能(AI)を始めとする急激な技術革新やグローバル化の一層の進展など、子どもを取り巻く環境の変化は複雑で予測困難となっています。島根県教育委員会では、こうした状況も踏まえながら、今年度からの5年間に推し進める本県教育の基本理念や施策の方向性を示すとともに、学校・家庭・地域・行政が連携し一体となって教育を進めていくため、先月、「しまね教育魅力化ビジョン」を策定しました。

 島根県教育委員会ではこれまでも「教育の魅力化」に取り組んできました。皆さんの中には、「教育の魅力化」という言葉を初めて聞かれる方もいらっしゃるかもしれません。「教育の魅力化」とは、島根県の子どもたち一人一人に、自らの人生と地域や社会の未来を切り拓くために必要となる「生きる力」を育むため、学校・家庭・地域がその目標を共有し、協働を図りながら、島根の教育をより良いものに高めていくことです。

 そして、「生きる力」を育む際には、一人一人の学びに向かう意欲を引き出しながら、「学びの支えを築く(知識・技能)」、「深め広げ豊かにする(思考力・判断力)」、「人生や社会に生かす(学びに向かう力・人間性等)」の3つの要素を相互にバランスよく育成しつつ、全体として高めていく好循環を確立するように取組んでいく必要があると考えています。

 本県の「教育の魅力化」の取組は、子どもたちが自身の生まれ育った地域との確かな絆を原点として、主体的な学びを立ち上げようとする姿勢を大切にしています。「しまね教育魅力化ビジョン」では、これを「ふるさと島根を学びの原点にもつ」という視点から捉えています。子どもたちには、家族に愛され、地域の人々から大切にされて育つこと、また豊かな自然、歴史・伝統、文化、産業など地域の資産を直接経験することの中から、周囲の人々や生まれ育った地域を好きだと感じ、誇りに思う気持ちが育ってきます。これが自分の存在への感じ方に反映され、自分を肯定的にとらえようとする気持ちが育ち、そこから自分のしたいこと、するべきことを発見し、地域や日本の将来、あるいは世界の未来にはばたこうとする心豊かな人が育っていくと考えます。

 子どもたちには島根に育ち学んだ自信を胸に、自らの人生と未来を切り拓き、夢や希望を実現してもらいたいという思いを、本日新たに教職員となった皆さんを始め学校・家庭・行政など教育に関わる全ての人が共有し、相互に連携しながら教育に取り組んでいただきたいと思います。

 本日、新しく教職員になられた皆さんは、まずは、目の前の子どもたちのことに全力を傾注することで精一杯だと思います。焦らず、目の前の子ども一人一人にとって魅力的な教育活動とは何かを常に自分に問いかけながら、地道に教育活動を積み重ねていくことが、教育に求められる大きな役割を果たしていくことにつながるのだと思っていただければ幸いです。

 

 次に、教職員となる皆さんの健康管理について述べます。

 あらゆる職場で「働き方改革」が重要な課題となっています。これまで、学校においては、教職員という職の崇高な使命感の下、『子どものためであればどんな長時間勤務も良しとする。』という働き方が当たり前とされてきました。しかし、こうした働き方によって教職員が疲弊していくのであれば、それは子どもたちのためになりません。これからは、教職員の業務負担の軽減を図り、新たに生まれた時間によって、児童生徒等に接する時間を十分確保するとともに、教職員自身の人間性や創造性を高めることで、効果的で充実した教育が各学校で行なわれるよう取り組んでいく必要があります。このため、島根県教育委員会では、昨年3月に「教職員の働き方改革プラン」を策定し、学校現場での取り組みを開始しました。私は、「教職員の皆さんの心身の健康を守り、働きやすい環境を整えることが、子どもたちに質の高い教育を提供する基盤である。」と考えています。

 島根県教育委員会は、こうした基本認識を、市町村教育委員会、学校管理職、保護者や地域、そして皆さんを初めとする教職員の方々と共有しながら、学校における働き方改革に向けて引き続き努力していく考えです。これから教育の現場に立たれる皆さんは、新しい職場で仕事と生活の調和を図りながら、心身ともに健康で、いきいきと子どもたちに向き合っていけるように日々心がけていただきたいと思います。

 

 結びに、皆さんは、これから県内の様々な地域で勤務を開始されることとなりますが、島根県全体をふるさとと捉え、ふるさと島根の教育を教職員全員のチーム力で担っていく、そのような気概を持ち続けていただきたいと願っています。

 どうか健康にはくれぐれも留意され、自己研鑽に努めながら、これからの教職員生活で存分に力を発揮されることを期待しまして、訓示といたします。

 

 令和二年四月一日

  島根県教育委員会教育長 新田英夫


お問い合わせ先

島根県教育委員会

〒690-8502 島根県松江市殿町1番地(県庁分庁舎)
島根県教育庁総務課
TEL 0852-22-5403
FAX 0852-22-5400
kyousou@pref.shimane.lg.jp