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教育長メッセージ:教育庁仕事始め式教育長あいさつ

 新年、明けましておめでとうございます。

 皆さんには、新しい年を清々しい思いで迎えられ、心新たに令和2年の仕事をスタートされたことと思います。本年も、なにとぞよろしくお願いします。

 

 新しい年は、中・長期的な視点からこれからの島根の教育を方向付けることとなる大きな計画の策定に係る仕上げ作業からスタートします。

 まず、新しい「島根創生計画」は、島根県の人口を将来に向け安定させることを目指した令和2年度から5年間の行動計画となります。子育て中の若い世代に、もう一人子どもを産み育てようと思ってもらえるような子育て支援の充実、子育て環境の整備などを通じて出生率の向上を目指すこと、そして、県内産業の活性化などを通じて、若い世代に島根に残ってもらう、島根に戻ってもらうことにより、人口の社会移動の均衡を目指すことなど、実効性のある人口減少対策をさらに加速させることとなります。

 そして、「島根創生」の実現のためには、島根が好きで、島根に暮らす未来を考え、島根での将来の自分の役割に思いを馳せる子どもたちを増やすことも重要です。ふるさと教育や教育の魅力化を通じた私たちの取組みにも一層、大きな期待が寄せられるものと思います。

 昨年のこの仕事始め式において、私は、「たとえば、地方創生、人口減少対策と、ふるさと教育、教育の魅力化は、どのような関係であるのか」、「地域の将来を担う人材の育成なのか、世界を見据えて将来を担う人材の育成なのか」。こうした問いに私たちはわかりやすく丁寧に答えていくことが求められているという話をしました。

 子どもたちを育むこの土地、「地域」というキーワードは、子どもたち一人一人が当事者であり、実践者であること、温かく見守られ大切にされる環境の中で、また豊かな地域資源の中で、望ましい直接体験と間接体験を積み重ねていくことなど、子どもたち自身のためになる、という視点で見ることが重要ではないか、とも述べました。

 

 さて、中・長期的に今後を見通した島根県の教育の在り方を示す「次期しまね教育ビジョン」につきましては、島根県総合教育審議会において、7回にわたって会議が開催され、熱心に議論を重ねていただきました。この新しい教育ビジョンの策定に向けた審議会からの答申について、この場では、皆さんに2つの点をお話したいと思います。

 

 1点目は、先ほど述べた「教育の魅力化と地域」についてです。

 総合教育審議会の中では、島根県が進めてきた「教育の魅力化」の本質的な点についても議論されてきました。「教育の力を地域の力に、地域の力を教育の力にする教育活動」、「学びに向かう意欲を引き出し、生きる力を育むこと」、そして、より本質的には、「ふるさととつながって生きること、かかわりあって学ぶことの中にこそ真の主体的な学びがあり、そうしたかかわりやつながりを支援することの中にこそ真の教育の力がある」との考察であります。

 

 2点目は、「基本理念」についてです。答申いただいた新しい基本理念は、「ふるさと島根を学びの原点未来にはばた心豊かな人づくり」です。子どもたちが、自身の育った地域との確かな絆を原点として主体的な学びを立ち上げようとする島根県の「教育の魅力化」の取組みは、その教育上の意義や先進性を「ふるさと島根を学びの原点にもつ」という視点からとらえることが重要である、との考えから、総合教育審議会において「原点」という言葉を選択されました。

 総合教育審議会の会議の場でも、この「原点」という言葉に関する委員の皆様の発言の数々は、大変に印象的なものでした。「ふるさとに大切に育ててもらって、将来どこに行っても、育った地のことを思うような人に育ってほしい」、「地域課題を自らの課題として積極的に取り組んでほしい」、「ふるさとには良い面もあるし、課題もあるという現実を身近なこととして学びを始めてほしい」、「心の中にはいつも島根がある、島根での学びがある。そこが出発点だとの思いが「原点」という言葉に集約されている」などなどです。

 

 これまで、私たちは様々な場面で「ふるさと教育」「地域課題解決型学習」「キャリア教育」そして「教育の魅力化」のことを語り、説明してきました。このたびの答申は、こうした我々の考え方や実践の方向性を、改めて整理していただくと同時に、こうした島根の教育の先進性を次の時代にどう展望し、展開していくべきか、ということを明確に示していただいたものと受け止めています。

 基本理念に取り込まれた「原点」という言葉には、大きな広がりと時間軸を伴った、島根の子どもたちの「学び」への願いと、島根の教育に対する期待をも込めていただいたものと感じているところです。

 

 今後は、いただいた答申を踏まえ、県教育委員会において具体の取組みの方向性などを加筆・調製し、今年度内に、次期教育ビジョンとして確定する予定としています。

 今年は、この新しい教育ビジョンをよく理解・消化し、島根の教育に携わっていただいている多くの方々の力をいただきながら、実践につなげるスタートの年です。4月からは、新学習指導要領がいよいよ小学校で全面実施となる年でもあります。また、来週15日からは、東京国立博物館において「日本書紀成立1300年特別出雲と大和」の開催、4月には「古代出雲歴史博物館」がリニューアルオープンし、島根の古代文化・歴史の魅力を大いに発信する年ともなります。

 

 健康に十分に留意いただき、志を一つにして、子どもたちのための島根らしい教育の推進をはじめ、所管する業務において新たな成果を積めるよう取り組んでまいりましょう。

 


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