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教育長メッセージ:平成29年度第2回県立学校長・事務長会議

島根県教育委員会は、このたび、平成30年度当初予算要求を行ったところですが、その基本的考え方は次のとおりです。

 

1.「教員の働き方改革」と「教育の質の向上」の両立

 県教育委員会が昨年3月行った教員の勤務実態調査の結果から、多くの教員が平日だけでなく休日にも相当な長時間勤務を行っており、多忙感を感じているという実態が判明しました。社会全体で「働き方改革」を進めようとする中にあって、教員の多忙・多忙感の解消を図ることは極めて重要な課題です。
一方、変化が激しく容易に予測できない社会で生き抜いていく力を育成するためには、「知識・技能」だけでなく「思考力・判断力・表現力」や「主体的に学習に向かう意欲・態度」をバランスよく育もうとする正しい学力観に立って、学校教育の質の向上を図っていくことが急務となっています。
この「教員の働き方改革」と「教育の質の向上」という二つの重要な課題は、教育の質的転換が教員の負担増をもたらすという「二律背反」の関係になりかねないため、二つの課題を一体的に捉え、学校現場の士気を高めながら、その両立を図るための施策を総合的に講じていく必要があると考えています。

 

2.県立高校に対する施策の充実

 先に述べた二つの課題の両立を図るためには、学校における努力の積み重ねがもちろん重要ですが、他方、国によって措置される教職員定数の制約という構造的要因に踏み込んだ施策も必要であり、この構造問題への対応を抜きにして、学校教育の改革を進めることへの現場の納得感は得られないと思います。
本県は、これまで小学校・中学校に対しては、「県費負担教職員制度」のもとで教職員の人事権((1)学級編制基準の決定、(2)教職員定数の決定、(3)教職員の給与の負担、(4)教職員の任命権)を担う立場から、少人数学級編制や、にこにこサポート等の非常勤講師配置事業、特別支援教育に係る支援相談体制の強化など、県独自の施策を講じてきたところです。
この点については、6月定例県議会で議決された意見書にあるとおり、国の施策として定数改善の財源保障が行われるよう、引き続き国に対し強く求めていく必要があると考えています。
一方、県教育委員会は、県立高校に対して、教職員の人事権に加え学校設置者としての責任と権限を担う立場にありながら、これまで構造的要因に踏み込んだ対策をほとんど講じてきておらず、小学校・中学校や特別支援学校と比べ、県立高校に対する施策が立ち遅れている状態にあります。
この点について、島根県では、これまでの10年間、「財政健全化基本方針」に基づく行財政の集中改革等を推進してきた中にあって、教育施策の面では、小学校・中学校や特別支援学校における深刻な課題への対処を急がざるを得なかった実情があり、県立高校の現場には長らく苦労をおかけしてきたと思います。県教育委員会の力不足について、現場の皆様にお詫びしなければならないと思います。
その反省に立って、県立高校における「教員の働き方改革」と「教育の質の向上」という二つの課題の両立に向けて、しっかりした施策を講じていかなければならないと考えています。

 

3.中山間地域・離島の「魅力化高校」に対する施策の充実

 県立高校に対する施策が立ち遅れる中、近年、現場の苦労が最も顕在化してきたのが、中山間地域・離島で教育魅力化に取り組む「魅力化高校」です。
「魅力化高校」では、地元中学生や県外生が進学したくなる魅力的な教育を提供し続けることが高校や地域の存亡に関わる使命となっており、現場の先生方の頑張りによって、地域課題解決型学習をはじめとして生徒一人一人にきめ細かな指導が行われています。一方、国の財源措置の対象となる教職員定数が限られるため、未開設の教科・科目があるなど、進路保障の観点からも早急に改善すべき課題が残されています。
中山間地域・離島における高校魅力化は、地方創生や中山間地域活性化計画の柱の一つと位置付けられた県政上の重要課題であり、このため、「魅力化高校」における教職員定数の不足という構造問題に踏み込んだ施策は、どうしても壁を乗り越えなければならない政策課題だと考えています。

 

 以上、平成30年度当初予算要求の基本的考え方について述べました。

 

 今後、財政当局との予算折衝が本格化していきますが、県教育委員会を挙げて誠心誠意、現場の厳しい勤務実態や予算要求の狙い、事業内容等の説明を丁寧に行い、来年の2月定例県議会に提案する平成30年度当初予算案に盛り込まれるよう、全力を傾注してまいります。
引き続きご理解とご支援をよろしくお願い申し上げます。


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