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教育長訓辞~平成23年度小中学校管理職辞令交付式

 ただいま、市町村立小中学校の校長として、採用、昇任された皆さんに辞令を交付いたしました。昇任を心からお祝い申し上げます。

 この一年間、私は教育長として全力を挙げて教育に携わってまいりました。

 

 今、島根の状況を見ますと、少子化の進行に伴う児童・生徒数の減少や学力・体力の問題、不登校やいじめ、厳しい経済状況の中での就職難等教育を取り巻く環境は多くの課題に溢れています。

 私は、こうした時代であるからこそ、確かな学力・豊かな心・健やかな体を兼ね備えた子どもを育むという、いつの時代にも求められる「教育の普遍性」がより重要になっていると思います。

 

 そのために、教育長就任以降、次の三点を充実する必要があると考え、取組んできました。

一、一人一人に応じて、知る喜び、学習意欲、運動に親しみを感じさせ、子どもたちの持っている力、可能性を最大限に引き出す教育

二、子どもたちに集団の中での決まりを理解させ、役割と責任を自覚し、協調性や思いやりのある行動ができるようにする、言い換えれば、将来、社会人として常識のある生き方のできる人間に育てる教育

三、体験活動等を通して、ふるさと島根の歴史、文化、自然を実感できる教育であります。

 

 こうした考えのもとで、現在、特に力を入れて取り組んでいること、あるいは今年度新たな観点で取り組みたいことを皆さん方へお願いを含め話したいと思います。

 

 まず、学力の向上への取り組みです。小中学校では、単なる知識の詰め込みではなく、基礎・基本の習得の上で、何よりも自ら学ぶ意欲や力を育ててほしいと思います。そのことが、より高いレベルでの学力の向上につながると思います。

 

 次に、あいさつ、礼儀、規範意識や思いやりの心などを子どもだけでなく子育て世代も含めて身につけてもらうために、昨年度から「ふるまい向上プロジェクト」事業を進めていますが、今年度はさらに各分野において、一層の浸透を図っていただきたいと願っています。

 

また、子どもの読書活動を推進するため、学校図書館の機能の充実や教育活動への活用に向けた取り組みを進めています。各学校で良い成果が出ていると聞いていますが、読書活動を通じて、子どもたちの知性や感性を高め、豊かな創造力や思考力、表現力を養うため、今後も積極的な取り組みをお願いします。

 

 「ふるさと教育」も、小中学校の教育ですっかり定着してきました。来年は、島根の神話が数多く取り上げられている「古事記」が編さんされてから1300年を迎えます。県全体でも、関連する様々な取り組みが計画されていますが、教育においてもこれを契機として、すばらしい歴史と文化を持つ島根に愛着と誇りを持てる人材の育成に努めてもらいたいと思います。

 

 また、確かな学力や豊かな心を培う上で、何よりも大切なのは、健やかな体であります。このため、新年度からこの島根の豊かな自然など恵まれた環境を生かし、子どもたちがもっと運動やスポーツに親しむことができるよう、創意工夫をこらした積極的な取り組みを行っていきたいと考えています。

 

 このような取り組みを強力に推し進めるためには、学校が組織として働くことが必要であり、校長は組織の責任者、リーダーとして、「プロ」としての教職員の育成と資質の向上に努め、学校評価や教職員評価システムなども活用しながら、学校の組織マネジメントにあたっていただきたいと思います。

 また、社会は急速に変化し、保護者や世間のニーズも多様化しています。従来の常識や慣行が通用しない難しい課題、安全に係る課題も多くなっています。学校経営にあたっては、アンテナを高く張り、多様化している社会や地域の動向・ニーズに敏感であってほしいものです。

 同時に、心に悩みを抱える教職員が増加していることから、教職員の心に寄り添うとともに、教職員の悩みや問題を相談できる校内体制づくりが必要です。教職員の不祥事を根絶するためにも、全ての教員一人一人が明るく活力にあふれ、教育者としての自覚を高め、高い志と高潔な行動により児童・生徒、保護者、地域住民の方と向き合っていただきたいと切に願うものであります。

 

 最後になりましたが、このたびの東北地方太平洋沖地震により、お亡くなりになられた方々に対し、また、今なお避難生活を余儀なくされている方々に対し、心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。

 筆舌に尽くしがたい災禍に遭われた方々が忍耐力と地域の仲間への思いやり等を持って災害に立ち向かわれる姿には、諸外国からも感嘆の声が上がっていますが、特に、避難所となった学校で、懸命に被災者の支援を行っている教職員の方々や中・高校生の献身的な行動は、我々の心を打ちます。教育の大切さ、教職員の使命感の尊さを改めて認識します。

 私たちとしても子どもたちが一日も早く、元気で教育が受けられるよう、島根への転入学の積極的な受け入れなど、できる限りの支援を行ってまいります。皆さんとともに、被災地の早期の復興を祈りたいと思います。

 

 終わりに、遠隔の地に赴任される方もおられますが、どうか健康には十分留意され、大いに活躍されるよう祈念いたしまして、訓辞といたします。

 

 平成23年4月1日

 島根県教育委員会教育今井康雄

 

 


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