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教育長メッセージ:平成31年度県立学校長・事務長会議

 平成31年度が始まり、1回目の県立学校長・事務長会議を迎えました。
今年は4月に入っても肌寒い日が多く、ここ数日でようやく春らしい暖かさが感じられるようになりました。各学校では新入生を迎え、新しい年度がいよいよ本格的にスタートしたところだと思います。

 県教育委員会でも、4月1日には新規採用教職員の辞令交付式を行い、小中学校を含め、260名の皆さんに対して採用の辞令を交付しました。

 辞令を受け取った誰もが、これから始まる教職生活への期待に胸を膨らませ、目を輝かせていた姿が大変印象的でした。既に、各学校において、島根の将来を担う子どもたちの教育という重要な使命を担って、それぞれ着実に歩みを進めていることと思います。是非、各学校において、「チーム学校」の思いを伝えて温かく接し、一人一人の力を引き出しながら、大切に育てていただきたいと思います。

 新年度、特に5月からは「令和元年度」として新しい時代を迎える年度です。私も気持ちを新たに、直面する課題の解決に向けて、各分野の教育施策にしっかりと取り組んでまいりますので、どうぞよろしくお願いします。

 さて、昨年度は今後の島根県の教育のあり方を方向付ける重要なプランの策定を行いました。「県立高校魅力化ビジョン」や「教職員の働き方改革プラン」、「部活動の在り方に関する方針」などです。今年度はそれぞれのプランの実行に向けた、スタートの1年となります。県教育委員会としては、県立学校をはじめ各市町村や教育機関など多くの関係の方々と共に展望をしっかり見定め、プランに込めた思いを共有しながら、一歩一歩着実に取組を進めていきたいと思っています。

 その際に大事なことは、私たちの考えや思いを地域や保護者の皆様にしっかりとお伝えし、ご理解とご協力をいただきながら進めていくことです。ここにお集まりの学校長、事務長の皆様には、是非ともこの点を十分に理解していただき、地域社会と共にある学校づくりを目指していただきたいと思います。

 本日は、このような観点から、県教育委員会として進めていく施策の考え方と具体的な取組みについて、5点、お話したいと思います。

 

 まず一つ目は、「教育の魅力化」についてです。

 島根県では、これまで地域と連携・協働しながら「教育の魅力化」に取り組んできました。本県が目指す「教育の魅力化」とは、子どもたち一人一人に、自らの人生にとって必要となる「生きる力」を育むため、学校と地域社会がその目標を共有し、協働を図りながら、島根の教育をより良いものに高めていく取組のことです。この取組は、新しい学習指導要領が掲げる「育成を目指す資質・能力の3つの柱」や「社会に開かれた教育課程」などと重なる部分が非常に多く、方向性を同じくするものだと考えています。言うならば、島根で進める「教育の魅力化」は、「島根の強みを活かして実践する新学習指導要領」ということになるのだろうと思います。

 住んでいる地域の優れた資源を教育に活用することは、子どもたち一人一人が当事者として、また、温かく見守られ、多くの人から期待を寄せられる中で、自己肯定感を持ちながら、生きる力を育んでいくために、極めて重要なことであると思います。

 島根が有している、豊かな自然や文化・歴史、様々な地域資源、温かい地域社会と県民性などの強みを活かしながら、各学校において、特色ある取組をさらに進めていただきたいと思います。

 

 二つ目は、「教育の魅力化」と密接に関連する「高校魅力化コンソーシアム」についてです。

 先ほどお話ししました「教育の魅力化」の取組の中で育まれる「生きる力」とは、学校だけで育まれるものではなく、多様な人々との関わりや、様々な経験を重ねていく中で育まれるものであり、地域とのつながりや信頼できる大人との関わりを通して、子どもたちは心豊かにたくましく成長するものと考えています。

 地域の子どもたちにどのように育ってほしいのか、何を実現していくのかという目標やビジョンを、地域の住民や市町村、小中学校、社会教育機関、地元企業などが高校とともに考え、対話を重ね、協働で策定していける協働体制を構築することが「教育の魅力化」を推進するうえで重要な取組であると考えています。

 県教育委員会としては、こうした協働体制、いわゆる「高校魅力化コンソーシアム」を将来的に全ての高等学校に広げ、地域と一体となって子どもたちを育む「地域とともにある学校」の全県展開に向けた取組を推進したいと考えています。

 「子どもたちに、自らの人生と、地域や社会の未来を切り拓く力を育むこと」と、「この地域で学びたい、住みたい、子育てをしたい、と思えるような魅力ある地域づくりを推進すること」の好循環を生み出す、という方向性につなげていく上でも、こうした協働体制は、大きな意義があると考えます。是非とも、ご理解・ご協力をお願いします。

 

 三つ目は、「教職員の働き方改革」についてです。

 県教育委員会では、本年3月に「教職員の働き方改革プラン」を策定しました。その中で、プランの基本的方針として、長時間勤務の是正、ワーク・ライフ・バランスの適正化、プラン達成に向けた職場環境の確保の3つを掲げ、プラン達成のための各学校と教育委員会が一体となった取組について説明しています。

 また、本プランにおいては月あたりの時間外勤務の上限の目安を原則月45時間、年360時間以内とし、今年度から2021年度までの3年間で段階的に縮減することを目指した数値目標を設定しています。

 学校が抱える課題が複雑化・多様化する中、教職員の長時間勤務は看過できない実態があり、解決すべき喫緊の課題となっています。さらに、これからの変化の激しい時代を生きる子どもたちに「たくましく生きる力」を育むために、教職員は学習指導等をはじめとする教育活動にこれまで以上に力を注ぐ必要があります。教職員一人一人が自らの働き方を見直すことで、教職員自身の心身の健康保持や日々の生活の充実につなげるとともに、明るく元気に子どもたちと向き合う時間を確保し、教育の質の向上を目指すことがこれまで以上に求められます。

 各学校の校長・事務長の皆様には、所属一人一人の業務実態を適切に把握していただき、地域や保護者の皆様の協力を得ながら、一層の取組を推進していただきますようお願いします。

 管理職が働き方改革を進めるための舵取り役になって、目指す方向に教職員のベクトルをそろえること、そして教職員一人一人が自らの働き方を見直し、できることから一つ一つ着実に進めていくことが重要となります。

 教職員一人一人の活力が、子どもたちに魅力のある教育を提供する力の源泉になります。

 保護者や地域のご理解とご協力を得ながら、「生き生きと働きやすい職場づくり」に取り組んでいただきたいと考えています。また、同時に、心に悩みを抱える教職員に寄り添うとともに、教職員の悩みや問題を相談できる校内体制づくりにも努めていただきたいと思います。

 

 四つ目は、「部活動の在り方」についてです。

 県教育委員会では、本年2月に「部活動の在り方に関する方針」を策定しました。

 学校の部活動は、体力や技術、感性の向上を図るだけでなく、生徒の自主性や協調性、責任感などを育成するとともに、生徒同士あるいは教師等との人間関係の構築が促されるなど、充実した学校生活を過ごしていく上で重要な教育活動です。

 しかし、近年の部活動を取り巻く環境においては、少子化による部員数の減少、教員の負担の増大や指導者不足など様々な課題が指摘されており、今後、部活動を持続可能なものとするためには、これらの課題解決に向けて、部活動の運営体制や望ましい指導の在り方など、抜本的な改革に取り組んでいく必要があると考えております。

 各学校においては、この方針に基づき、部活動における指導の在り方、適切な休養日や活動時間など、必要な検討、見直しを進めていただき、それぞれの学校の特色を生かした効果的な指導により、部活動がより一層充実していくことを期待します。

 さらには、生徒のバランスの取れた健全な成長と教職員のワーク・ライフ・バランスの実現が図られるよう、地域や保護者の皆様の理解を得ながら、各学校で取組を進めていただくようお願いします。

 

 五つ目は、「特別支援教育の推進」についてです。

 障がいのある子どもとない子どもが同じ場で共に学ぶインクルーシブ教育システムの構築を図るためには、多様な学びの場の一つとして、各学校の教育環境をより一層整備していくことが求められています。

 高等学校においては、障がいのある生徒が必要な支援を受けながら充実した学校生活を送れるよう、全ての学校において合理的配慮の提供について検討できる校内体制の整備が必要となります。また、特別支援学校においては、センター的機能のニーズの高まりを踏まえ、専門性の一層の向上が求められます。

 このような状況を踏まえつつ、今後10年の特別支援教育の推進について検討するため、今年度「特別支援教育在り方検討委員会」を設置いたしました。今年度1年間の検討をもとに、来年度「新特別支援教育推進プラン」を策定することとしております。

 各学校の校長・事務長の皆様には、特別支援教育の推進に向けて、より一層リーダーシップを発揮していただくことを期待いたします。

 以上、現在県教育委員会が進めている、主な施策について述べました。

 皆さんには、健康にも十分に留意いただき、それぞれの学校において、教育目標や学校運営方針を明確にした上で共有し、全教職員が連携して組織的な教育活動を展開できるよう取り組んでいただきたいと思います。

 教育委員会としましては、各学校と双方向のコミュニケーションをしっかりと行い、全力をあげて島根の教育の推進に取り組んでいきたいと思います。引き続き、よろしくお願いいたします。


お問い合わせ先

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