県議会答弁:令和7年9月定例会(久城議員質問分)令和7年9月22日
(議員質問)
現在の部活動の地域移行の状況・課題、モデル的に取り組んでいる事例などあれば伺う。
(教育長答弁)
議員がお取り上げになりました、今年3月に策定した「公立中学校における部活動の地域連携・地域移行に係る方針」に基づき、各市町村において具体的な検討が始まっております。
昨年度、国の実証事業を活用した益田市では、市内のモデル校に指定した横田中学校の女子バスケットボール部が休日の活動を地域クラブに移行しました。この地域クラブの運営は部活動の指導者が担っておられ、今年度からは平日も含めて完全に活動を移行しました。
取組の初期段階においては、関係機関との連携体制を強化するため、教員OBの総括コーディネーターを市の教育委員会に配置しています。これにより、中学校やスポーツ協会、競技団体等との調整が円滑に行えるようになり、地域移行に向けた体制整備が進みました。また、保護者や地域の理解と協力を得ることも重要であることから、各中学校のPTA総会等を活用し、市が策定した「部活動の地域移行に係る基本方針」の周知等も行っています。
同じく国の実証事業を活用した雲南市では、市内6校全ての中学校を対象に、地域クラブ活動への段階的な移行を目指しています。運動部・文化部とも活動の運営主体は、市が出資する第3セクターの株式会社キラキラ雲南であり、活動の計画・運営のほか、指導者バンクの整備や指導者の育成にも取り組んでいます。
昨年度、運動部では、休日の部活動13種目を試行的に地域クラブ活動として実施しています。約170人の生徒が参加し、指導者バンクに登録した101名の指導者のうち、70名が実際の指導に当たっています。文化部では、吹奏楽部を対象とし、休日の合同部活動を月に1回程度、法人が指定管理する文化ホールを会場に、中学生のほか近隣の高校生も対象として、社会人の雲南吹奏楽団員が講師となって、活動を行っています。
二つの市の事例では、地域クラブ活動を行うことにより、専門的な指導が受けられるほか、他校の生徒等との交流による関係づくりや、部活動顧問の負担軽減につながっていますが、一方で、指導者のさらなる充実や生徒の移動に係る手段をどのように確保していくのか、といったことや、各学校のスケジュール調整、参加者の安全確保や費用負担の軽減などの課題もあると伺っております。
(議員質問)
令和7年度末までに関係者による協議会等を状況に応じて設置し、学校単位での休日における活動の方向性の検討を踏まえて、県の基本方針を基に、市町村の方針の策定に努めるとあるが、状況はいかがか伺う。
(教育長答弁)
部活動の地域移行・地域連携に関する市町村の基本方針については、今月10日時点では、策定済の市町村は、先ほど取組事例をご紹介した、益田・雲南の両市と江津市の3、今後策定予定が12、未定が4となっています。
協議会等の設置については、設置済が3月時点の7から14に増え、今後設置予定が2、未定が3となっており、方針策定に向けた検討が進んでいます。
協議会等の設置が未定の3市町村については、地域の関係団体と調整中であったり、部活動の規模等により存続も含めた模索をしている状況であり、県としては、他地域での取組事例の情報提供等を行い、検討体制の構築に係る支援を行っています。
(議員質問)
“部活動の地域移行”に対する思いを伺う。
(教育長答弁)
部活動の地域移行や、運営主体は学校のままで、地域の参画を得て行う地域連携の大きな目的は、現在ある子どもたちの活動を大人の事情で制限することができるだけ無いようにすることだと考えております。
子どもたちが継続してスポーツ・文化芸術活動に親しむための持続可能な環境を地域全体で整えていくことが必要です。そのためには、「地域の子どもたちは、学校を含めた地域で育てる」という共通認識のもと、行政、学校、地域のスポーツ・文化芸術団体等が一緒になって知恵を出し合うことが重要であります。
現実に、少子化が進展し、部活動をこれまでと同様の規模で運営することや、専門性や意思に関わらず、教師が顧問を務めるこれまでの指導体制を今後も継続することが困難となってきております。学校においてどのような活動を残すのか、地域としてどのように支えるのか、限られたリソースの中で、地域の実情に合ったやり方を考えなければなりません。
私は、活動の受け皿の確保や費用負担の課題については「市町村」が、指導者の確保については国の事業を活用しながら「県」が、それぞれ主体となって取り組んでいく必要があると考えております。
県教育委員会では、国の補助制度である「部活動指導員」のほか、県単独事業として、「地域連携指導員」及び「地域指導者」の3つの外部指導者制度を設け、学校への指導者確保に取り組んでいます。こうした人材が、将来的な地域のスポーツ・文化芸術活動の指導者となるよう、人材の育成を進めております。これは、令和12年度に開催の島根かみあり国スポ・全スポにおける役員、審判員、サポーター等のなり手となりうる人材を養成していく側面もございます。
このような考えにより、これまでも市町村教育委員会に対して、活動の受け皿の確保、費用負担、指導者の確保といった諸課題を解決できるのであれば地域移行を進め、そうでなければ、外部指導者を活用して部活動の地域連携を図る手段もあることから、島根かみあり国スポ・全スポまでの時期を一つの目安として、部活動の在り方の検討を進めて行ってほしい旨、説明しております。
先ほど申しましたとおり、各市町村において具体的な検討が始まっておりますので、県教育委員会といたしましても市町村との情報共有を行いながら、今後の取組が進んでいくよう引き続き支援をしてまいります。
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