県議会答弁:令和7年9月定例会(須山議員質問分)令和7年9月18日

(議員質問)

 部活動指導員と地域連携指導員は会計年度任用職員の位置づけなので、当然のことながら最低賃金の大幅な引き上げにより、両指導員の報酬の引き上げも必須と考えるが、どのように改定されるのか伺う。

(教育長答弁)

 部活動の運営主体を学校から地域へ移行する「部活動の地域移行」と、運営主体は学校のままで、地域の参画を得て行う「部活動の地域連携」を進めていくために必要となる指導者を確保・育成するため、県教育委員会では、一つには教員に代わって単独で指導や引率ができる国の補助制度である「部活動指導員」、二つには教員が部活動の現場にいなくても単独で指導ができる「地域連携指導員」、三つには教員が部活動の現場にいることを条件に指導を補助する「地域指導者」の三つの外部指導者制度を設けております。

 このうち、一つ目の部活動指導員と、二つ目の地域連携指導員につきましては、任用形態を、県立または市町村立学校のそれぞれの設置者の会計年度任用職員としております。

 また、部活動指導員の報酬単価は、国の補助単価である、時間当たり1,600円とし、県独自の地域連携指導員は、部活動指導員と、その業務内容を比較し、時間当たり1,300円としております。

 議員がお取り上げになったように、今回、最低賃金が引き上げられることになっておりますが、先般とりまとめられた、国の来年度予算の概算要求では、補助単価の引き上げがあるかどうかは、現時点では示されておりませんので、引き続き、国の予算状況を注視してまいります。

(議員質問)

 地域指導者の謝金についても、部活動の地域移行や地域連携を促進するうえでも、改善すべきと考えるが、所見を伺う。

(教育長答弁)

 地域指導者は、先ほどお答えした、会計年度任用職員である部活動指導員や地域連携指導員とは異なり、教員の指導を補助する有償ボランティアとして導入しており、謝金単価は、部活動指導員とその業務内容を比較し、時間当たり1,000円としております。このほか、居住地から指導場所までの片道距離が15kmを超える指導者に対しては、100円を上乗せしております。

 部活動の外部指導者制度は、先ほど申し上げた部活動の地域移行や地域連携という将来的な目的のほか、毎日の活動においては、子どもたちの育成、教員の負担軽減を目的としており、市町村や学校のニーズに対応することが大切であります。

 これまで、学校が希望する時間どおりの配置が十分でなかったことを踏まえ、時間単価を引き上げることよりも、まずは、配置人数や時間数を増やすことを優先しながら、予算総額の確保に努め、今年度当初予算においては、全体で前年度比1.5倍の予算を計上しております。単価を引き上げることは、さらに予算総額を増やさない限り、これまで増やしてきた人数や時間の割り落としが必要となることから、現在の財政状況を踏まえますと、なかなか厳しい面もございますが、議員からご指摘がありましたように、外部指導者のモチベーションの向上、新たな人材の確保も必要でありますので、見直しを検討してまいります。

 県教育委員会としましては、部活動を支える地域指導者としてご協力をいただける方に、継続して関わっていただくとともに、指導力を高めていただきながら、将来的に、単独で指導ができる部活動指導員や、地域連携指導員となっていただけるよう、段階的な人材育成を図りつつ、引き続き、部活動の地域移行や地域連携に取り組んでまいります。

(議員質問)

 県立高校の厳しい定員割れの現状を、教育委員会はどのように受け止めているのか伺う。また、県立高校魅力化ビジョン後半戦ではどのような具体的施策を打ち出す考えなのか。場合によっては、学科再編や統廃合を含めた「高校再編」に踏み込む必要があるのではないかと考えるが、その地域的バランスをどのように確保するつもりなのか伺う。

(教育長答弁)

 昨年度実施した令和7年度県立高等学校入試における定員充足率は、全日制全体で83.3%となっており、前年度と比較して1.7ポイント上昇していますが、ここ数年では、80パーセント台で推移しており、議員ご指摘のとおり、入学定員を十分に充たしていない状況が続いています。

 入学定員の設定に当たっては、中学校の卒業者数やそれまでの入学定員に対する志願者数、実際の入学者数の状況等を勘案し、学級減による対応や、3学級以上の高校においては1学級の定員を30人から40人の範囲で設定するなど、各地域の実情に応じた対応をしております。

 東西に長く、中山間地域・離島を抱える本県では、それぞれの地域において、定住促進のため、普通科高校を出来る限り通学できる範囲内に配置する必要があると考えております。また、県内の各産業で必要とされる技術・技能を養うための複数の学科からなる専門高校を、市部を中心に複数配置する必要があります。

 先ほど申し上げたとおり、1学級を30人から40人とし、その倍数で各学校の入学定員を設定していることから、現実には、それぞれの志願者数に見合う定員設定とはならず、結果として、欠員が生じておりますが、これは先ほど述べた事情からやむを得ないと考えております。

 しかしながら、今後、1学級以上の欠員の生じている状態が数年続き、回復の見込みがない場合には、更なる学級減又は1学級の定員を減らす必要も生じます。

 このような基本的な考えのもと、今年3月に策定した『県立高校魅力化ビジョン後半5年間の「具体的な取組」』におきましては、地域ごとの高校配置の在り方や入学定員の設定の考え方について、次のように示しております。

 松江・出雲地域は、向こう5年間の中学卒業者数の大幅な減少は見込まれておらず、望ましい学校規模は引き続き「1学年4学級以上8学級以内」としております。また、現行ビジョン後の高校の在り方については、これから研究を進めるとしております。

 その他の地域については、学校規模のみにこだわることなく、地元市町村及び地域の参画を得ながら、協働して高校の魅力化・特色化を進め、より望ましい高校の在り方を県と地元市町村の間で共有し、地域における高校の在り方について研究を進めることとしております。

 このように、現行ビジョンの期間中に、更なる少子化に対応した望ましい高校教育の在り方について、地域のご意見も踏まえながら、12年度以降を計画期間とする次期ビジョンの策定に向けて検討してまいります。

(議員質問)

  教員確保のための方向性と、その具体策について伺う。

(教育長答弁)

 教員確保に向けては、教員採用試験の改善や教員志望者の裾野拡大など、教員確保に向けた直接的な取組と教職員の働き方改革の推進による教職の魅力をより一層高める施策とを車の両輪として進めていくことが大切だと考えております。

 教員確保に向けた直接的な取組としては、多くの受験者を確保するため、教員採用一次試験を2か月早めて実施、即戦力の中堅教員を確保するため、他県の正規教員経験者等を対象とした特別選考試験の実施、将来の受験者の裾野を拡大するため、高校生対象の教員志望セミナーや、県内外の大学1、2年生を対象とした学校職場体験の実施などを行っています。

 このうち、高校生対象の教員志望セミナーについては、今年度、昨年度と比べて60名増の、延べ173名が参加し、同じく、県内大学生の学校職場体験については、25名増の50名が参加しており、教員志望者の裾野が、着実に広がっているものと実感しております。

 令和5年度に岡山県にあるIPU環太平洋大学と教員養成に係る連携協定を締結し、以降毎年度、2年生の学生が県内小学校において、3日間の実習を行っています。5年度の実習に72名の学生に参加していただきました。その学生が今年度の採用試験を受験する学年となりましたが、31名の出願があり、昨年度の8名から大幅に増加いたしました。小学校での実習の中で、島根の子どもたちと直接触れ合う体験を通して島根で教員となる魅力や良さを肌で感じてもらった成果ではないかと考えております。

 6年度には、広島文教大学と連携協定を締結し、この年には、2年生の学生92名が県内小学校において実習を行いました。この学生たちが対象となる来年度実施の採用試験において、受験者が大幅に増えることを期待しております。

 また、教職員の働き方改革推進の取組については、教員以外のサポート人材の配置の充実、教員以外が担うべき業務の外部委託、校務のデジタル化を含めた職場環境の改善、悩みを抱える若手教員のための「教員サポーター」の配置などを行うとともに、働き方改革の取組について、新聞広告や特設のウェブサイトを通じて広報しております。

 これら様々な取組を今後も継続し、教員の着実な確保に努めてまいります。

(議員質問)

 近年の教員の募集人数に対する名簿登載者数と、実際の新規採用者数の推移について伺う。また、一般企業が実施しているような採用辞退を防ぐ方法を具体的に検討し、導入すべきと考えるが、所見を伺う。

(教育長答弁)

 過去3年間の教員採用試験の結果については、令和4年度の募集人員は312名、名簿登載者数は294名、採用者数は262名、同様に、5年度は順に317名、328名、269名、6年度は340名、329名、262名となっております。ここ数年は募集人員に対しておおむね8割程度の採用となっておりますが、今年度は採用試験を2か月早めたことから、他県との併願により、結果的に島根県での採用を辞退する受験者がある程度出ることも見込んで、募集人員360名を40名上回る400名の名簿登載を行っております。

 採用辞退を防ぐための方法については、これまでは、内定者が4月に不安なく配属校に赴任できるよう、新規採用前の集合型研修と、現場実習、オンラインによる事前相談会を実施しておりました。これらの取組に加え、今年度は島根暮らしの良さや魅力をより詳しく知っていただくために、商工労働部が作成したパンフレット「しってるようでしらないしまねの暮らし。」を10月1日の採用内定通知に同封することとしております。

 また、議員からご指摘をいただきましたが、例年実施しているオンライン相談会について、来年度からは例年よりも時期を早め、8月の採用試験結果の通知以降に開始することといたします。

 今後とも不安や悩みをできるだけ解消し、島根の教員になってもらえるよう、様々な工夫をしながら取組を進めてまいります。

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