県議会答弁:令和7年6月定例会(角議員質問分)令和7年6月23日
(議員質問)
全国の都道府県で夜間中学が設置されていない、または検討されていない都道府県はいくつあるか伺う。
(教育長答弁)
文部科学省の調べによりますと、今年4月時点で、区域内に県立、市町村立、私立といった設置者を問わず夜間中学が設置されていない都道府県は、15県であります。
そのうち、設置者を問わず新たに設置予定があるのが6県、検討中が3県、設置予定がない県が、本県を含め6県となっています。
(議員質問)
前回も聞いたが、夜間中学の設置について検討されないのはいかなる理由か伺う。
(教育長答弁)
令和5年9月議会において、議員の一問一答質問にお答えしたとおり、中学校の内容の学び直しにつきましては、不登校など、様々な事情により十分な教育が受けられないまま中学校を卒業した方などが該当になると思います。
そういった方々の多くは、現在、宍道高校や浜田高校の定時制・通信制課程に進学しており、両校では、定時制・通信制の柔軟なカリキュラムを生かして、「国語入門」、「数学入門」、「英語入門」といった科目を設定し、中学校で学ぶ基礎的な内容の復習から学習を始め、高校教育やその先に円滑につなげていけるようにしております。
若い世代にあっては、中学校の内容の学び直しと高校での学びを連続させることで、高校卒業後の進学・就職といった進路につなげていくことが、本人にとっても望ましいものと考えております。
中学校の学び直しについては、宍道高校や浜田高校の定時制・通信制課程が代替する学びの場となっておりますが、当然ながら、不登校等の児童生徒に対しましては、小中学校段階において、きめ細かく支援を行い、適切な学びの場を保障していくことが重要であり、そのために県教育委員会としましても、教員の加配や、非常勤講師の配置、今年度から校内教育支援センターの支援員配置助成等の事業を行っております。
また、夜間中学を新たに設置するとなると中学校の卒業認定のために全教科の学習を要することから、設備面や教員配置の面でかなりの財源や人員を必要とします。
市町村教育委員会からは、現時点でニーズがあるということは伺っておりません。
このような状況で、新たに県立の夜間中学を設置することは、現実的ではないと考えます。
以上のことから、夜間中学は、あくまで中学校ですので、県が対応している中学校の学習内容の学び直しへの支援以上の対応が必要ということであれば、市町村において、地域と密着した形で設置すべきと考えます。
こうした考えは、市町村教育長さん方にも直接申し上げております。
(議員質問)
島根県はニーズの把握について、どのように取り組んだのか伺う。
(教育長質問)
県教育委員会では、平成30年度の調査以降は、市町村教育委員会に対して、夜間中学設置に関する要望等が届いていないか、毎年度確認をしております。
(議員質問)
ニーズ調査の実施について再考が必要ではないか、所見を伺う。
(教育長答弁)
前回の県によるニーズ調査で、県全体の需要の程度が判明したと考えております。
夜間中学がどのような制度であるのかを理解した上で、どこに何人のニーズがあるのかといった今以上の調査をするかどうかについては、中学校の案件でございますので、市町村教育委員会においてお考えになることだと思います。
(議員質問)
大田市内で自主夜間中学を設置して活動される取り組みがある。この取り組みについて調査あるいは意見交換などを行っているか伺う。
(教育長答弁)
議員がお取り上げになられました「おおだ夜間中学」については、現時点、小中学校の不登校又は不登校傾向の児童生徒が通っておりませんので、県教育委員会が設置する島根県フリースクール等連絡協議会の対象ともなっておらず、その他の機会を含めて、調査あるいは意見交換といったことは、行っておりません。
(議員質問)
教育機会確保法第19条では「中学校を卒業したものと同等以上の学力を習得することを希望する者に対して、教材の提供、その他の学習支援のために必要な措置を講ずるよう努める」とされている。夜間中学を必要としている人はいないとは断定できない。そういった人たちに手を差し伸べるべきではないか、所見を伺う。
(知事答弁)
学び直しをしたいという方に、支援をしていくというのは、行政として必要なことだと考えております。
先ほど教育長からお答えをいたしましたとおり、島根県といたしましては、高校段階の学び直しの機会を提供する趣旨から、この夜間中学校がクローズアップされる平成28年度以前の平成22年度から、宍道高校や浜田高校の定時制・通信課程において義務教育で取り扱う内容の学び直しの科目を設置することによりまして、高校教育との接続を図り、高校卒業の資格を得ることができるように支援をしているところであります。
したがいまして、私は教育確保法の逐条解説は読んでいませんが、そういった法で求められている務めは一定程度、果たしているものと思っておりまして、逆に夜間中学校を一校ずつ設置しなければいけないと文科省が言っている根拠はいったい何なのかと、こういうことを都道府県に義務付けることができるのか、法律上、求められていないことを何をもってそういうことを求めているのかということを、ちゃんと確認するべきだと、私は教育委員会にお願いをしております。
要するに夜間中学という形態でないといけないという理由があるのかと、こういう形だと、こういう島根県のやり方だと、全く評価に値しないというのはどういう根拠なのか、夜間中学でないから、おまえのところは、白い地域だ、何もやっていないところだというレッテルを張って、お前の所だけだぞとか、残りは6つしかないぞというやり方で、都道府県教育委員会にこういったことを強いるやり方というのは、あまりフェアじゃないと私は正直、思います。
なぜこのやり方が認められないのか、実際問題として、話はずれますけども、中学校を卒業しても、なお中学校の教育の学び直しをしなければいけない現状にある義務教育をちゃんと見直せと私は常々申しています。現実を申し上げると、公立学校はこうですけども、私立の高校の中では大学進学のコースを設けていれば、学び直しからちゃんとできますと、中学校の授業内容の学び直しからできますというコースも設けている私立がたくさんあります。こんなことが常態化していることの方が問題であって、不登校で学校に行けなかったというケースであれば別ですけども、学校に通っていたのに、こういう学び直しのニーズが現実的にあるという状況の是正を、本筋として義務教育で行うということを文部科学省はやるべきであると私は思っておりまして、こういったやり方で、名誉棄損的な、何もやっていない県だ、というふうなことを言われるのは、教育内容としてでなくて、予算措置をする県知事としては大変心外であります。
私は、本来的な趣旨は、私も同じ思いでありますが、であれば、義務教育本体の中で、これだけ授業が分からない、基本的な内容ですら、2問ほど、例示で挙げますけど、重点要望の中で示したりしていますけども、ああいう基礎的な算数の内容が、できていないこういう現状の中で、自ら課題を見つけ自ら学んで自ら人生を切り開く力を、生きる力だ、それを身につけるのだというふうに、高らかにうたっている方が改めるべきだというふうに私は思います。
学び直しの意義は私も十分に理解いたしますけれど、併せて県として支援をしていること、そして、夜間中学設立に関するニーズがほとんどないことを考えますと、新たに県立の夜間中学を設立することは現実的でないと教育委員会と同じ認識を持っているところでございます。
夜間中学につきましては、中学校ということでありますので、県が対応しています中学校の学び直しへの支援以上の対応が必要ということがあれば、この対応は市町村の役割であると考えますし、本来であれば、義務教育の見直しも、強く求めるべきは、市町村である。
こんなことを県知事が一生懸命やっているのも本末転倒であると思いますけど、現実問題として公立の高校の中でこういった問題が出てくる。そして、義務教育で生じている問題の対応をこういった形で、学び直しを保証するために、少なくとも県で一校と言われても、県で一校設けたところで、夜間中学に通えるエリアはその周辺で大変限られておりますので、全体として保障したことにもなりませんし、全体として政策になっていないという問題も含めて、学び直しをどう対応していくか、私は、それ以前の問題として、学び直しということが、必要がないような義務教育の学びをどう実現するかということを併せて十分検討していただく必要が政府側にあると私は思っております。
十分な答弁になっていないかもしれませんし、余計なことを答えてしまったかもしれませんけども、私の認識は以上でございます。
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