県議会答弁:令和7年6月定例会(福井議員質問分)令和7年6月20日
(議員質問)
少子化による高校入学予定者の減を踏まえた、現時点での特に中山間・離島地域の今後の高校のあり方について、所見を伺う。
(教育長答弁)
全体的なことは、昨日の河内議員の一般質問に対してお答えしたとおりでございます。
特に、ご質問の中山間地域・離島の高校については、生徒が何らかの形で通学できる範囲に普通科高校を配置することが人口定住にとって必要だと思っています。
現時点でも、中山間地域・離島の高校では、生徒が少ないため配置される教員数が限られ、生徒の学習ニーズに合った多様な科目が開講されなかったり、生徒の進度に合わせた習熟度別の授業ができなかったりするなどの課題があります。
そのような課題を解決するため、県教育委員会では、専門教員による遠隔授業の取組を今年度から本格的にスタートさせており、現在、島根中央高校の3年生に対して習熟度別の数学と理科を、矢上高校と隠岐島前高校の3年生に対して情報2を教育センターから配信しております。
来年度には、宍道高校に「配信拠点センター」を設け、中山間地域・離島の高校に向け、より多様な科目の配信が行えるよう準備を進めています。
今後も、ICT技術も活用しながら、生徒の充実した学びの環境を確保してまいります。
(議員質問)
近接する複数の高校で、学校活動の合同実施の動きがある。生徒が多くの人と議論し多様な経験を積めるよう、高校間を移動して行う「合同授業」も考えられるが、所見を伺う。
(教育長答弁)
高校生にとって将来の社会生活に必要となる人間力や社会力を育むためには、人と人とが直に触れ合い、互いの意見を交換し合うなどしてお互いを敬い、励まし合いながら自分自身の力を磨く経験を積むことも大切です。
議員ご指摘のとおり、体育祭・文化祭などの学校行事や生徒会活動、部活動などを複数の高校で合同して行うことで生徒同士が切磋琢磨し、互いの個性や能力をより一層高めることができます。
江津地域の新設校開校に当たっても統合する2校をつなぐスクールバスを準備し、学校の諸活動を合同で行う取組を先行して行うことを計画しています。
また、授業においてもクラスの人数が少なくなることで、生徒同士の話し合いやグループによる協働的な学びが制限されるといったこと懸念されることから、このような課題を克服するためにも、近接する複数の学校が連携し、合同授業を行うことにより、生徒同士が多様な価値観に触れながら学びをより一層深めるといったことが期待されます。
その際には、学校間の移動時間を上手く活用することも大切です。
出雲市では、市内中心部にある出雲科学館において市内の小・中学生を対象とした合同学習が行われており、各学校から科学館へのバス移動の際には、移動時間を有効活用するため、ビデオ視聴による事前学習などを行っていると伺っております。
このような取組や他県の先進事例なども参考にしながら、合同授業の手法などについて検討してまいります。
(議員質問)
国立大学等に付属の小中学校があるように、一部の基礎自治体の小中学校を将来県立学校としていく事は選択肢としてありうると考えるが、所見を伺う。
(教育長質問)
今年2月の県・市町村教育長会議で確認したところ、市町村合同での学習活動や学校行事などは、現在、行われていないとのことであり、今後についても当面行う予定はないとのことでした。
しかしながら、近年の出生数の大幅な減少の影響で、将来的には、市町村単独で設置する小中学校では十分な教育環境が整わない状況になることも予想されます。この場合、議員ご提案のとおり、市町村の区域を越えて学校を設置することも考えられますが、小中学校段階における教育は、まず地域とともにあるべきと考えており、例えば、該当の市町村による一部事務組合を作って、組合立の学校を設置されるほうが地域の思いや願いを汲んだ教育ができると思います。
したがいまして、現時点では県立の小中学校設置を検討するということではなく、まずは該当市町村で地域に根差した小中学校教育をどのように進めていくのか、ご検討いただくことがよいのではないかと思います。
(議員質問)
多くの工業高校卒業生が県外の専修学校に進学している。県内の水産高校に専攻科があるように、工業高校にも専攻科があれば、県内企業も連携し、学生の県内就職は伸びていくと考えるが、所見を伺う。
(教育長答弁)
令和6年度の工業高校卒業生の進路は、就職が65%で、内訳は県内46%、県外19%となっています。進学は、35%で、そのうち県外の専修学校は12%の46名となっています。
ここ数年の県外の専修学校への進学者を系統的に見ると、IT・デザイン系が約6割、ビジネス系、医療・福祉系などが約2割となっており、電気・機械系、建築・土木系など工業に関する系統については、2割に満たない10名程度となっています。
全国的に見ても、工業高校へ専攻科を設置する事例は少なく、現状において本県でもニーズは大きくないと捉えておりますが、工業高校の生徒の進路や学びに対するニーズ、県内の専修学校の状況、県内企業等産業界からの要請等について、引き続き注視してまいります。
(議員質問)
専門高校から県内大学への進学者がここ数年増加している。一部の専門高校への理数系教員の県単独配置により、理系分野への県内大学進学に対し意欲・関心が高まり、進学増につながっていると聞く。県内大学への進学が結果として県内就職へつながるのであれば、この取組を強化すべきと考えるが、所見を伺う。
(教育長答弁)
令和4年度から、一部ではありますが、専門高校に県単独で理数系教員を加配措置しており、専門高校生徒の理系分野への進学に対する意欲・関心の喚起、就職を含めた進路選択の幅を拡げる機会の充実を図っております。
この他にも、生徒に大学での学びや学生生活を具体的にイメージしてもらうために、高大連携推進員を配置して県内大学と連携することで、大学というものの理解を深める機会を提供しています。
これらのことから、専門高校から県内大学を受験した生徒数は令和2年度卒業生の54名から6年度卒業生の97名へと43名増加しており、合格した生徒数も同様に37名から67名へと30名増加しております。
この専門高校の理数系教員の加配措置は、現在、常勤及び非常勤の講師で配置しておりますが、地域や科目によっては人材確保が難しく、予定する専門高校のすべてには配置することが出来ておりません。
教員の加配措置は、先に述べたとおり、県内大学への進路選択をした生徒が増加していることからも、進路選択の幅を拡げることに非常に効果があり、今後、確実に配置していきたいと考えておりますが、そのために、講師の人材確保が難しい地域でも配置が可能となるよう、加配教員を正規教員として採用できないか検討しております。
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