県議会答弁:令和7年6月定例会(久城議員質問分)令和7年6月19日
(議員質問)
“島根らしい教育”について、また“教育の目的”について基本的な考え方を伺う。
(教育長答弁)
知事の答弁に包含されておりますが、島根には、人と人とが直接ふれあい、つながりながら、大人も子どももともに学び合う地域社会があります。
子どもたちが、最も身近で、興味・関心も高く、毎日当たり前に感じる地域を素材に学ぶことは、子どもたちの学ぶ意欲を高め、豊かな心を育むとともに、地域に対する愛着や誇りにつながっていきます。
このような環境で行われる人が人から学ぶ、人が人を育てる学びが、島根らしい教育であると考えます。
島根の強みでもあるこうした学びは、子どもたちが実社会で生きるために必要となる力となるとともに、県内のみならず、海外を含む県外のどこに住んでいようとも、地域の人々と関わりを持って、一緒に地域の発展を支えていくような人を育てます。
この島根らしい教育を具現化するために、議員ご紹介のとおり、昨年度、「しまね教育振興ビジョン」を策定いたしました。
ビジョンでは、施策の4つの大きな柱、一つには、発達の段階に応じた学力の育成、二つには、教育上の配慮が必要な子どもの学びへの支援、三つには、地域との協働による学びの充実、四つには、教育の基盤となる環境の整備と充実を設け、具体的な施策を推進することとしております。
そのうちの1つ目の柱、「発達の段階に応じた学力の育成」では、小学校低学年段階からの基礎学力の育成、幼小連携・接続、論理的思考を育むための理数教育などに取り組んでまいります。
2つ目の柱、「教育上の配慮が必要な子どもの学びへの支援」では、障がいのある子どもたち、不登校の子どもたち、日本語指導が必要な子どもたち、経済的な困窮、困難な状況にある子どもたち、などについて将来の自立と社会参加を目指します。
このように、個性や能力、得意な分野を伸ばすことによって子どもたち一人ひとりの将来の選択肢を拡げ、夢や希望が実現できるようになることが、目指すところであります。
【参考】知事の答弁
(議員質問)
優しく、まじめで、辛抱つよいイメージのある県民性を、自然体で、島根の将来を担う子供たちに背中を見せていく事が、我々大人の所作であり、将来に対する我々の責任だと思うが、“島根らしさ”について知事の所見を伺う。
(知事答弁)
本県は、豊かな自然、また、歴史・文化に恵まれ、人々の絆の強い暮らしが受け継がれております。
議員からもご指摘のございます、真面目で穏やか、優しい人柄、また、地域社会などを通じまして、豊かな信頼関係の中で、子育てから老後までを安心して生活できる地域のネットワーク、絆など、都会には失われつつあるものがたくさん残っているというところが強みであると思っておりますので、島根の持つこういった素晴らしい魅力や強みが「島根らしさ」だと考えておるところでございます。
ただ一方で、真面目だとか、辛抱強い、つまり、努力を厭わないというところは、実は、現代日本社会においては、若干、流行からすると少し外れてまして、どちらかというと努力をするのであれば報われる努力をする、報われないことはしない、報われる見込みの少ないものはしないというのが今の流れでありまして、私自身はそういう報われる報われないっていうのは正しく分からないので、近視眼的にものを選ばないことの方が自分のためになると思いますので、それが正しいとは思いませんけれども、おそらく、島根の子どもさん方が、様々な全国メディアやネットで仄聞する話というのは、今はどちらかというとそちらの方が強いですので、それでいいのだろうかと思われるのだと思います。
そういうことに対しましては、やっぱり、真面目に辛抱強く努力を厭わないという、その真摯な姿勢というのが報われる社会を、我々大人の側が作っていかなければならないということだと思いますので、それは子どもさん方にそういう姿を見せていくとか、伝えていくだけではなくて、そういう真摯な姿勢で生きていくということが報われる社会というのをきちんと守っていかなければならないというのが、我々の務めではないかと思っているところでございます。
(議員質問)
あいさつも含めた“誰もが、誰かの、たからもの。”を具体的にする所作について所見を伺う。
(教育長答弁)
本県では、他の地域に誇れる島根の良さや魅力である「人のつながり、あたたかさ」を「誰もが、誰かの、たからもの。」として発信しています。
誰もが多様な価値観を認識しつつ、自ら感じ、考え、他者と対話し、互いに尊重しながら、社会を形作っていくことが大切です。
そのような中にあって、議員ご指摘のとおり、あいさつは非常に大事な行為であると考えております。
「子どもたちがあいさつをしてくれる」ということには、本県では、ふるさと教育の実施のため、学校内に多くの地域の方が入って来られます。知らない大人との空間や距離が、狭く、近く、そして何より暖かいことが、あいさつをすることのハードルを下げていることが、その背景にあると思います。
私も、毎年度4月の新規採用教職員の辞令交付式の際に、個人に対しては初めに名前を言った上で、集団に対しては「皆さん」と呼びかけた上で、あいさつをすることは相手に「あなたの存在を認めている」ということを伝える、そして、そこから「人間関係を構築しようとしている」ことを伝えるといった意味がある、そういった大切な意味があるということを必ず話しています。
教員一人ひとりがその意味を理解して、実践してくれることを期待しています。
学校において、教員が子どもたちの目を見て聴いたり、話したり、子どもたちが、学習や遊びの中で、お互いに励まし合ったり、助け合ったり、家族にその日の学校での出来事を話したり、地域の方々が、子どもたちの通学の見守りや声がけをしたり、といったことも、大切であると考えております。
引き続き、お互いの個性や多様性を認め合い、励まし合い、支えながら、子どもたち自身が「自分が誰かのたからもの」であり、「誰もが自分のたからもの」であると思えるような教育を展開してまいります。
(議員質問)
“地域と連携した教育”についての考え、持論を改めて伺う。
(教育長答弁)
小中学校においては、地域全体で子どもたちの学びを支える地域学校協働活動を通して、学校・家庭・地域の連携・協働が図られています。
例えば、益田市では、地域の方々の支援を得て、高津川に生息する鮎を題材にした学習が行われているほか、令和4年度に「コミュニティ・スクールと地域学校協働活動の一体的推進」に係る文部科学大臣表彰を受けられた豊川地区などにおいて、放課後や週末の家庭教育支援として学習や体験・交流などの学びの場づくりが行われています。
また、県立高校では、高校魅力化コンソーシアムの活動や探究的な学びを通して、高校生が地元の企業や地域の多様な人々と関わり、経験談や価値観に触れることで、将来の職業に対するイメージや進路選択の幅を拡げることにつながっています。
このような学校と地域が連携した取組の橋渡しを担うコーディネーターは、学校の代表でも、地域の代表でもなく、中立的な立場として学校・家庭・地域、それぞれのニーズや課題を最大公約数で捉えながら様々な活動に関わっており、地域と連携した教育は、そうした「人」の存在に支えられていると考えています。
先日、私は、先ほどの豊川地区と同じ文部科学大臣表彰を昨年度受けられた、益田市の西益田小学校を訪問し、地域のコーディネーターの方と意見交換をいたしました。
その方は、ご自身の存在意義を、一つには自分がいることで、子どもの放課後の時間が豊かになること、二つには自分がいることで、子どもの授業の時間が豊かになること、三つには自分がいることで、地域が元気になることと、語っておられました。
今後も、このような学校と地域をつなぐコーディネーター人材の育成や連携・協働体制の充実を図り、地域と連携した教育を進めてまいります。
お問い合わせ先
島根県教育委員会
〒690-8502 島根県松江市殿町1番地(県庁分庁舎)
島根県教育庁総務課
TEL 0852-22-6605
FAX 0852-22-5400
kyousou@pref.shimane.lg.jp