県議会答弁:令和7年6月定例会(河内議員質問分)令和7年6月19日
(議員質問)
学校の統廃合について、県教育委員会としての基本的なスタンスを伺う。特に小中学校については市町村との連携のあり方、県立高校については教育の質や地域特性を踏まえた戦略的配置の考え方。また、学科やカリキュラムの再編の必要性や、地域に根ざした教育をどう構築していくのか、県の考えを伺う。
(教育長答弁)
県立高校については、今年3月に策定した「県立高校魅力化ビジョン後半5年間の「具体的な取組」」において、松江・出雲地域は、向こう5年間の中学卒業者数の大幅な減少は見込まれておらず、望ましい学校規模は引き続き「1学年4学級以上8学級以内」としております。
また、ここ数年の特に松江市などの出生数の大幅な減少による影響を受ける10数年後の高校の在り方については、これから研究を進めるとしております。
その他の地域については、学校規模にのみこだわることなく、地元市町村及び地域の参画を得ながら、協働して高校の魅力化・特色化を進めてまいります。
具体的な取組としましては、地域との協働を通した魅力化・特色化の推進、新しい学科等の開設や単位制の導入についての検討、地域における高校・学科の在り方や配置についての検討を行ってまいります。
また、江津地域については、令和5年6月から江津地域の県立高校の在り方について検討をはじめ、令和10年の新設校開校に向けて、地域の方々とも意見交換をしながら準備を進めております。
教員不足解消のために、高校を統廃合する、学科を再編するといった考えは、ただいま現在はございません。
必要な教員の確保については、申し上げたとおり、短期的、中長期的な対策に取り組んでまいります。
今後、地域の実情に応じた県立高校の在り方や配置について引き続き研究をしていくとともに、更なる少子化に対応した望ましい高校教育の在り方について、地域のご意見も踏まえながら検討してまいります。
なお、市町村立小・中学校の統廃合については、設置者である市町村の権限において行われますので、県の方から何か方針をお示しする考えはございません。
子どもたちの学びが地域によって制限されることなく、魅力的で充実した教育の機会が確保されるよう検討されるものと思っております。
(議員質問)
工業高校など専門高校における進学率の上昇に伴う人材の県外流出について、どのような課題意識を持っているのか伺う。また、県内企業との連携強化やキャリア教育の再設計によって、地元就職・定住を促進するための具体的な戦略を伺う。
(教育長答弁)
専門高校で高度な知識・技能を習得したことをきっかけに、さらに学びを深めていきたいと希望する生徒もおり、大学などへ進学する者もいます。
専門高校の卒業生に占める進学者の割合は、令和4年度54.92 %、5年度52.97%、6年度54.07%、卒業生に占める県外進学者の割合は同様に、31.08%、30.95%、31.13%と、近年では横ばい傾向となっております。
県立高校は、地元に職業人材を送り出すことが役割としてございますが、生徒一人ひとりについてみれば、希望する進路が実現できることが最も重要で、そうなるよう教職員一丸となって進路指導に当たっております。
県外への進学希望者に対して、「その学びは県内でもできるよ。」と言うことはあっても、「県外をやめて県内にしなさい」といった指導はいたしておりません。従いまして生徒の進路が、進学であったか、就職であったか、県内であったか、県外であったか、については、生徒の希望した進路が実現できたかどうかの点について振り返ることはございますが、県外進学率の上昇といったことが仮にあるとしても、県教育委員会としての課題と捉えることはございません。むしろ県内企業が県外企業と比較しても、生徒に選ばれる企業となるよう産学官人材育成コンソーシアムでの意見交換や、経済四団体への新規学校卒業予定者等の採用等に対する要請の場において、私から直接、経済団体の代表の方々にお願いしているところでございます。
生徒にとって、高校での今の学びと将来とのつながりを見通しながら、社会的・職業的自立に向けて必要な資質・能力を身に付けていくために、地元企業へのインターンシップや企業見学、地域と連携・協働しながら取り組む探究学習が有効であります。地元企業と連携することにより、直接見たり、聞いたり、体験したりすることができることから、より学習効果が高まると考えております。
この結果として、卒業時に地元企業を選択したり、いったん進学・就職で県外に出たとしても、最終的に地元企業に就職することにつながることも期待されます。結果として大いに期待されます。企業にとっても、生徒が地元企業を理解することや、生徒の進路選択における選択肢としての機会創出に十分な効果があるというメリットがありますので、引き続きこれまでの取組をしっかり行ってまいります。
先ほど申し上げた経済団体へのお願いについてでありますが、高校からは、生徒の県外企業を選んだ理由が給与であったり、福利厚生、教育支援体制を魅力に感じたと言っている生徒が多くいたと聞いております。こういった生徒の中にも、中国地方あるいは県内に支店・営業所がある企業を優先して選んでいるということもございます。
高校における地元と連携した学習や義務教育段階のふるさと教育などの影響もあって、高い地元志向がある中で、地元企業にもこういった点を踏まえて、生徒が働きたいと思う様な環境づくりを行っていただきたいと私は考えております。
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