県議会答弁:令和7年6月定例会(須山議員質問分)令和7年6月16日

(議員質問)

 しまねの学力育成推進プランにかける思いを伺う。

(教育長答弁)

 いつも取り上げております一昨年の全国学力・学習状況調査、小学校6年生の椅子の問題、4脚で7キロ、これが48脚では何キロか、という問題ですが、この正答率が、全国で55.5%、本県が48.7%の結果に象徴されますように、基礎学力、四則計算、話す力といったものが十分習得されていない子どもが多い、という実態がございます。

 昨年度、私が全体の3分の1に当たる小学校65校を訪問し、それぞれの校長から学力育成についての状況を確認いたしました。

 全般的に、全国調査の自校結果を分析し、全ての教員で共有している状況を確認しております。ただ、実際に全ての教員がその年の全ての問題を解いている学校はわずかであり、したがって、具体的な問題を理解せずに、例えば「数と計算」領域ができている、できていない、という一面的な評価にとどまっている学校が多数ございました。

 これでは今年出された問題、同じ問題を多くの来年の6年生が解けるような授業改善はできないと思いました。

 全ての教員が全ての問題を解いてみるところから始めて、自校の児童生徒の回答を分析し、どこでどのように間違っているのかを理解する必要がございます。

 そして、どの学年の、どの単元の、どの授業を改善すれば、そのつまずきが解消できるのかを、小学校6年生、中学校3年生の担任だけでなく、1年生の担任から全ての教員が考え、結果を共有し、全ての学年の授業で改善に取り組んでいくことが必要であると、訴えてまいりました。

 同様のことを校長会、市町村教育長との会議、指導主事研修といった場で強調してまいりました。まずは学校現場でしっかり状況の把握を行うことが大切でございますので、この点を市町村教育委員会のご指導のもと、各学校でさらに徹底してほしいと思っております。

 「第2期しまねの学力育成推進プラン」は、議員からもご紹介がありましたとおり、教員が日々取り組む授業が子どもたちにとって今まで以上に有益なものとなるよう、各教員の「授業づくり」を最も重視しております。

 新たなプランの実施を通して、これまでに培った教育の成果を基礎とし、教員の授業改善により、子どもたちの可能性を最大限に引き出すよう、全力で取り組んでまいります。

(議員質問)

 しまねの学力育成推進プランの取組の実施状況の実態をどのように把握しようとしているのか伺う。

(教育長答弁)

 今年度の重点アクションでは、議員がお取り上げになった2つのほかに、ICT活用指導力向上にかかる研修での学びを生かした授業づくり、子どもが自分に合った学び方を選択できる授業づくりの合わせて4つを掲げております。

 重点アクションへの取組状況は、指導主事による学校訪問、県・市町村の学力向上に携わる担当者で行う学力育成実務者会議、県・市町村教育長による学力育成会議等、様々な場や方法を通じて、現場の声を吸い上げ、把握していく考えでございます。

 こうした現場の声に基づき、学校や市町村における取組の進捗状況を評価し、必要に応じて支援を行ってまいります。

(議員質問)

 重点アクションで掲げられた評価参考指標について、これまでの結果をどう評価されているのか伺う。また、目標達成に向けての教育長の意気込みを伺う。

(教育長答弁)

 先ほど申し上げた4つの重点アクションの評価参考指標として、具体的に申し上げますと、例えば「授業では、自分で学ぶ内容を決め、計画を立てて学ぶ活動を行っていると答えた児童生徒の割合」、「学習の中でICTを活用することについて、自分の考えや意見を分かりやすく伝えることができると思う児童生徒の割合」、「小学校5年生までに受けた授業は、自分にあった考え方・教材・学習時間になっていたと思う児童生徒の割合」などについて、今年度の肯定的回答の割合が昨年度より増えることや、全国調査の平均正答率が全国値以上になることなど、9つの目標を掲げております。

 各指標のこれまでの推移ですが、例えば、小学校及び中学校での「総合的な学習の時間における課題解決的な学習」では全国と比較しても前向きな成果が見られており、探究的な学びが着実に育まれていることがうかがえます。また、中学校で生徒自身が授業を「自分に合っていた」と感じている割合も高く、個別最適な学びに向けた取組も一定の広がりを見せております。

 一方で、算数や数学に関する理解度や学習意欲、また、全国調査の平均正答率においては、依然として課題が見られます。児童生徒の学力の確かな定着と、学びに向かう意欲の育成に向けて、引き続き力を入れていく必要があります。

 加えて、ICTの活用についても、思考の共有や意見を伝えることの有効性を十分に実感できていない子どもたちも多く、授業での活用の質をさらに高める工夫が必要です。

 目標達成に向けては、まず小学校低学年段階における基礎学力の確実な定着が極めて重要であると考えております。このことが子どもたちの将来の選択肢を大きく広げることにつながります。

 子どもたちが自ら選んだ道にしっかりと進んでいけるよう、結果の分析を踏まえながら、市町村教育委員会や学校と一丸となって、引き続き着実に取り組んでまいります。

(議員質問)

 しまねの学力育成プランには、なぜたつじんテストの記載がないのか、また、このたつじんテストと全国学力・学習状況調査の振り返りと授業改善を、現場の教師はどのように関連づけて行うのか所見を伺う。

(教育長答弁)

 「たつじんテスト」は、語彙、数・量、図形の感覚、論理的な推論力など、教科横断的な「学びの基盤」に関わるつまずきを把握するものであります。

 例えば、向かい合った人の視点をこちらから想像して、左右を判断するなど、視点を置き換える力、図形の見えなくなっている部分を想像して全体の形を推測する力、小数と分数の大小関係や時間の長さ・順序を正しく捉える力、意味が最も近い言葉を選び取る力などを調べる内容となっています。

 こうした力は、授業内容を理解する上で、まさに基盤となるものですが、これらの力が不十分であることに気がつかないまま、各教科の授業が進められている可能性があります。

 その結果、授業で扱った問題は解けても、少し条件が変わった類似の問題には対応できない、自分で想像して解決策を考えることができない、といった状況を引き起こしています。

 実際、昨年度行った試行の結果からも、こうした傾向が確認されております。

 全国調査におけるつまずきの内容と、たつじんテストによって明らかとなる学びの基盤のつまずきとを丁寧に紐づけて、分析することが重要となります。

 例えば、この問題が分からない子は総じて先ほど申し上げた視点の置き換えができていないなどと言った紐づけは、子どもたち一人ひとりの顔が見え、より正確に細かくできる学校現場で行い、その状況をできるだけ早いタイミングで集約する予定であります。

 課題が見られた内容があれば、その課題を前提にした授業の組み立てをするとか、あらかじめ課題を解消しておくなどの対応が必要となります。

 どういう授業改善をすれば、学びの基盤につまずきをもつ子どもたちが、日々の授業を理解できるようになるかを県教育委員会と市町村教育委員会や学校とで考え、その内容を共有していくということを進めたいと考えております。

 なお、新しいプランには、学力育成に関する個別の事業は記載しておりませんが、議員からはたつじんテストについて記載があるべきではないかとのご指摘をいただきました。

 これを受けまして、「たつじんテスト」の活用方法や成果を資料にまとめて、毎年度作成する重点アクションとともに推進プランと一体化したものとして市町村教育委員会や学校に周知していきたいと考えております。

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