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県議会答弁:令和3年9月定例会(大屋議員質問分)令和3年9月16日

(議員質問)

 教育長として教育に対する考え方について伺う。

 

(教育長答弁)

 まず、学校教育についてであります。私が学校教育で大切にしたいことの一つに、子どもの将来の選択肢を大きく拡げることがあります。

 例えば、多くの普通高校では、2年生になるとき、文系と理系を選択しますが、この時点で既に理系に関心がない、興味がない、興味があっても、数学や理科が苦手で、理系が選択肢に入っていない子どもが多数いると思います。

 少なくとも、高校1年が修了するときに、どちらでも選択できる学力や興味を持っている生徒に育成する必要があります。

 その上で、本人の選択をアシストするために、更なる学力向上や、将来どういう人生が描けるのかというキャリアパスの提示を学校がすることが大切であります。

 そのためには、小学生のときから、「分かる楽しさ」をもっと体験することが必要です。

 子どもたちに「わぁ~、すごい!」と言わせたい。そして、その後「なるほど~!」と分からせたい。そうしたことを、今よりもっと、もっと、もっと数多く体験させたいと思います。

 その上で、「なぜか分からないけど、すごい!」、そんなことも体験させたい。高校生、大学生になってから分かるということがあるんだと、興味・関心を持ち続けさせたい。今すぐ、学校でできることを相談していきたいと考えています。

 専門高校からの選択肢も拡げたいと考えています。就職に関しては、身近にもいろいろな企業があることを提示することが大切ですが、進学の道も拡げたい。

 例えば、この農業高校のこの学科から、県立大学の地域政策学部に進学すれば、普通科卒業生に対し、こんなアドバンテージがあり、こんな道が開ける。県職員となって、小さな拠点づくりの支援を担当することができる、といった具体的なキャリアパスを提示したい。

 県立大学の入試改革、学部再編により、受け入れ口は拡がり、そういう道に進むことができるようになったことを、高校生に自分のこととして考えさせたいと思います。

 特別支援学校についても、同様であります。現在のコロナ禍の中では、これまでと同じような活動は十分にはできず、代替の活動にも苦労しています。

そんな状況にあっても、子どもたちの卒業後の暮らしや人生を考えた学習やトレーニングを重ねていることを頼もしく思います。

 2030年には、本県で、全国障害者スポーツ大会が開催されます。大会での選手の活躍を目指すことも大事ですが、最も大切なことは、そこへ向かうこれからの9年間、どう取り組むかということだと思います。

 今、学んでいる子どもたちだけでなく、卒業生やその他の障がい者の方々が、スポーツをするため、見るために街に出る、そのために支える人、共に楽しむ人を育成する、そのきっかけが大会の開催であり、準備期間であります。

 東京パラリンピックで、いろいろな種目が人々に知れわたりました。この機を逃さず、例えば、金メダルを獲得したボッチャという競技は、目標となるボールが動くため、同じ展開となる試合はなく、最後の一投で大逆転もあるという、ハラハラ、ドキドキ、そしてワクワクする競技であります。

 こういった競技を学校で行う、近隣の小中学校などと対抗戦を行う、地域の高齢者の方々などと交流試合を行うといったことから始めてみようと思います。子どもたちに何かしらの変化が起きて、笑顔が一つ増えたらいいなと思っています。

 今、新しい学びの形であるICTを使った教育が始まります。児童生徒に1人1台パソコンが配備され、授業や学習がどう変わるのか、その結果、子どもたちにどんないいことがあるのかが、未だ確立しておりません。

 先日、1人1台パソコンを使った県立高校の授業のビデオを見ました。教材や課題の提示が素早く行われ、グループによる課題解決が、話し合いをしながら同時に発表資料も作成するといった、作業の短時間化が行われていました。

 それによって生み出された時間を何に使うのか、そこでは、学び合いの時間が多く持たれていました。

 先生からの一方通行でもなく、一部の生徒だけとのやりとりでもなく、生徒全員が先生や仲間とのやりとりを行うことが、ICTを使うことによって、これまで以上にできている、そういう印象を受けました。

 課題に対する自分の考えを人に話すことで、私なりの言葉ですが、「自分の言葉化」ができる時間が、生徒全員に生まれたわけであります。

 自分の言葉で説明する、あるいは尋ねる、といった行為が、思考過程を整理し、理解を深め、次の問題への意欲を持たせることにつながっていく、その上で、授業の最後に宿題となる課題が配信され、家庭学習に挑んでいく、そんな効果を感じました。

 昨年度から新たに「大学入学共通テスト」が始まりました。単に暗記した知識の再生を求める問題は減り、持っている知識をどう使うかという思考力や判断力が問われる問題が増えています。

 こうした問題に対応できる力をつけるためにも、自分の言葉で説明できるようにすることはとても重要だと考えます。

 デジタル技術を用いて、アナログな時間を増やして、「言葉を使う」。このことをもう少し研究してみたいと思います。

 次に、学校におけるコロナ対策であります。本県では、公立学校でのクラスターの発生はありません。また、感染が拡大した例もありません。

 これが、学校の信頼を生み、その信頼こそが、児童生徒、保護者、その他関係の方々が、学校からお願いする感染対策を怠らず実行していただいているもとになっていると考えています。

 学校現場で対策に奮闘する教職員を讃え、その労苦をねぎらいたいと思います。

 最後に、社会教育についてであります。地域の力は、そこに住む人のエネルギーの集合体であります。

 住民の方が、いくつになっても「学び」を続け、「学び」の成果が達成感をもたらし、満足というエネルギーを生み、あと少し、もう少しという欲が向上心を芽生えさせ、更なる「学び」に発展する。このことが、人々の暮らしに活力を生み、日常生活に普段ない動きを生み出していきます。

 そして、リーダーが登場し、皆で協働して、地域の課題解決に挑戦していく。島根の各地域を支えるのは、こうした人々の「学び」の力が源になっていると思います。この「学び」の力をいかに持続させるか、いかに高めていくかが社会教育の役割だと考えています。

 これからも現場をよく見て、多くの人の話を聞いて、柔軟に考え、わかりやすく説明し、効果が上がるように実行していくことで、「施策の実現力」を高めて、教育行政に当たってまいります。

 


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