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森山議員(自民)

 

(問)乳幼児からの教育・養育・子育て支援について

1.小中学校において、子どもの人格形成にかかわる教育、特に道徳教育はどのように行われているのか伺う。

2.生活習慣を身につける取組はどのように進められているのか伺う。

3.乳幼児から高齢者にいたる幅広い年齢層に対して、基本的な生活態度や習慣、常識的な生活行動を身につけさせたり、見直しを促すような総合的な取組を行うべきであると考えるが、所見を伺う。

 

(答)教育長

1.まず、子どもの人格形成にかかわる教育、特に道徳教育についてお答えいたします。

 子どもの人格形成につきましては、知育・徳育・体育をバランスよく育むことが肝要だと言われておりますが、それに私は、その基盤の部分となります、感性・情緒、豊かな心など、「心の教育」を進めることが大事であると強調してまいりました。

 そのため、道徳教育では、道徳の時間だけでなく、国語や体育、ホームルームなどすべての教科等で関連づけて行うこと、道徳の時間は堅苦しいものではなく、本音で語り合えるような時間になるような工夫をすること、実体験を通して児童生徒の様々な感性を引き出し、それを活かす指導を工夫することなどを、お願いをしてまいっております。

 このことについては、新学習指導要領の取組を進めるために教育委員会で作成したリーフレット「島根の教育で大切にしたいこと」の中でも強調しておりまして、県内の小・中学校では、日々の教育活動の中でそうした取組を進めております。

 また、本県が強力に進めております「ふるさと教育」などにおいても、幼児や高齢者との触れ合いや自然体験、あるいは奉仕体験や異学年の交流など、様々な実体験やコミュニケーションの活動を取り入れまして、子どもたちが実感をもって考えたり、地域の「ひと・もの・こと」に五感をもってかかわる活動を行っております。

 このような学習を通しまして、他を思いやる心や卑怯を恥じる心などの、社会人としての必要な道徳性を身につけ、感性を磨き、心を豊かにしていく取組、言い換えますと、人格形成に欠かせない教育を、全ての教育活動を通して行うことを目指しております。

 

2.次に、生活習慣を身につける取組についてお答えします。

 議員から、ご紹介のあった江戸の「子育てしぐさ(思草)」について、私も含蓄のある言葉だと思っております。

 乳幼児期から、多感な時代である思春期まで、それぞれの発達段階に応じて、適切な生活習慣を身に付け、社会人としての人格形成を図ることが大切だと考えています。

 このような視点から、講演会やフォーラムの開催、実践事例集の発行などの啓発事業を行うことによりまして、現在各小中学校においては、

(1)「元気大作戦カード」「いい日づくりハッピーちょきん」などの生活チェックカードを作成した取組でありますとか

(2)松江市内全ての中学校区ごとに、毎月「ノーテレビ・ノーゲーム運動」週間を設定しまして、幼稚園、小中学校が連携して取り組んでいる事例

(3)出雲市の旧多伎町内の幼稚園、保育園、小中学校が一斉に、毎月第一週を「六三○ウィーク」と称しまして、六時三十分までに起床するなどの「早寝・早起き・朝ごはん」運動

などの取組が進められております。

 昨年七月に浜田市で開催した「子どもの生活習慣づくり実践事例発表会」においては、出雲第一中学校区の幼稚園、小・中学校のPTAや学校医、市の保健師やコミュニティセンター、島根大学医学部等が連携し、地域をあげて取り組んでいる事例が紹介されました。

 こうした取組を推進しますため、平成十九年度から保健体育課内に「健康づくり推進室」を設置いたしまして、心身の健康づくりや生活習慣の確立に向けた取組を進めております。先程紹介しましたように、県内各地で取組が活発化していると感じておりまして、他県からも関心と評価をいただいております。

 また、県内各地の公民館でも、「地域力醸成プログラム」に「ふるまい向上」にかかわるメニューを取り入れて、取り組んでまいります。

 

3.次に、基本的な生活習慣、生活行動を身につけさせる総合的な取組についてであります。

 今年から既に始めております「ふるまい向上プロジェクト」は、教育サイドからだけではなく、健康福祉部、県警本部など、子育てにかかわる全ての関係機関や団体が連携して「ふるまい向上」に取り組むこととしております。

 ここでいうふるまいとは、望ましい生活行動や生活習慣、礼儀、作法、躾、道徳、倫理観、思いやりの心などであり、若い親時代に限らず、お年寄りまでの世代を通じてのふるまい向上も目指しますが、ことに焦点を絞って乳幼児とその親について推進したいと考えております。

 また、これらの取組を推進する体制として、来年度、子育てに関係する様々な団体の関係者からなる推進協議会を設けるとともに、それをコーディネートする社会教育主事を義務教育課に配置することとしております。

 先日発行した教育しまねでは、「ふるまい向上を県民運動に」と題した特集を掲載し、子育て真っ最中のアクアスの白イルカアーリャや、親子、地域で実体験をすることの大切さなどを紹介しました。

 女流二冠を獲得した里見香奈さん、昨日知事の方の訪問もございましたが、「女流名人にふさわしい行動や立ち居ふるまいをするように努力したい」と言っておられました。

 このふるまい向上を推進するに至った問題意識としては、小学校の入学時から既に、コミュニケーションがとれない、話が聞けない、すぐにキレるなどの問題行動が増えていること、テレビやゲームの過度な見すぎ、やりすぎがあること、携帯電話の誤った使い方が見られることなどがあります。

 社会全体を見ても、コミュニティの力、互助の慣習も弱くなりました。卑怯を恥じる心、弱いものをいたわる心も鈍化しております。いわば社会全体のふるまいが劣化してきたと言えます。

 これらを是正していくために、乳幼児期からの養育、教育を行うことが、遠いようですが一番効果的だと思います。そして、それは、乳幼児とともにそれを育てる若い父親、母親の養育・教育についても指導や支援を行っていく必要があります。

 ふるまい向上を県民運動として進めていくためには、息の長い活動が必要であり、県、市町村の行政を始め全ての関係者が、従来から進めてきた活動に対して、問題意識を一層強めながら取り組んでいく必要があると考えております。

 


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